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自分がいかに、殻に閉じこもってて、勝手に周りを敵視してたか、敵認定してたか、分かってきたから

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そして主人公は、腹は立ってるんだけど、同時に、

『憐れな奴らだな……』

とも思うんだよね。

だって主人公は、前世の養親とその家族への憎しみで目が眩んで世界そのものまで呪ってたりもしたけど、今でも呪ってるけど、でも、そんな自分を客観的に見られるようになってきてるんだ。

自分がいかに、殻に閉じこもってて、勝手に周りを敵視してたか、敵認定してたか、分かってきたから。

それに比べて、<武装強盗団>の連中は、主人公ができるようになったそれをできないままにさらに拗らせたからこうなったんだろうからね。

だけど、主人公は気付くんだ。自分がなぜそれをできたのか。

『俺の努力……じゃないじゃん……』

そう。彼がそれをできるようになったのは、こっちの世界での両親をはじめ、彼を見捨てず見限らず受け止めてくれてた周囲の人達のおかげ。自分のそれができるように<手本>を示してくれてた人達のおかげ。

『こいつらには、そういう人が周りにいなかったんだろうな……』

それが、主人公と<武装強盗団>達の違い。

でも、だからと言って、理不尽に他人の命を奪っていいわけじゃない。

しかも、彼にも分かってしまうんだ。

『ここで俺がいくら言葉を重ねても、こいつらには届かないよな……だって俺がそうだったし……』

だとすれば、今、自分はこの国の軍人で、市民を守る義務がある。その義務に従って市民を守るには……

『こいつらは、俺だ……大事なことを教わらなかった俺だ……だから容赦しない。市民を守るために……!

俺がもし、同じことをしてたら容赦なくやられてた……!

当然だ。俺やこいつらの<憎しみ>なんて、何の関わりもなかった人にはそれこそ何の責任もないもんな。その命を踏みにじろうってんだから、他に止める手段がないのなら、容赦なく<市民を守るための手段>を実行するだけだ……』

そうして、主人公はそれを実行するんだよ。

あれほど、

『どいつもこいつもぶっ殺してやる!!』

とか考えてたのに、今まさに実際に<命を奪う行為>をしてるのに、何の高揚感もなくて、ただただ訓練通りに、

『作業をこなしていく』

だけなんだ。

<初めて人を殺した実感>

もなく。

武装強盗団は、確かに死を恐れずに突っ込んでくるからおっかない相手ではあるけど、<戦闘技術>そのものは自己流の無茶苦茶なもので、動機は不純でも真面目に訓練を受けて教官のお墨付きをもらえた主人公にとっては、そんなに怖い相手でもなかった。

加えて、皮肉なことに、世の中を恨みすぎて<ソシオパス>になってたから、相手の命を奪うことにも躊躇がなくなってたんだよね。

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