私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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あんたを勝手にこの世に送り出したのは、他の誰でもないこの私だ。文句があるなら私が聞いてやる。

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『あんたを勝手にこの世に送り出したのは、他の誰でもないこの私だ。文句があるなら私が聞いてやる。だが、あんたの憂さ晴らしのために他人を傷付けるのは、絶対に許さん!!』

これで一つ思い付いた。

主人公は、両親を早くに亡くして親戚の家で育ったんだけど、その親戚が主人公に対しては冷淡でさ。しかも奴隷みたいにこき使うの。

『面倒見てやってるんだからこのくらい当然だ!』

ってことで。

でもね、その養親。主人公が相続した両親の遺産を、

『主人公のために使う』

ことを条件に管理を任されてたのに、高級外車の購入に使ったり、自分達の実子を私学に入れるための学費とかに使っちゃうんだよね。

それに気付いた主人公が、ネットの掲示板にそのことで相談するんだけど、養親も実はそこの常連で、自分達のことだって察するの。

で、

『世話になってるくせに何様!?』

『お前を養ってやってることの正当報酬だ!』

って考える連中を焚き付けて主人公を袋叩きにすんの。

そうやって精神的にも追い詰められた主人公は養親とその家族の皆殺しを決意。だけど、その準備をしている最中、ウイルス性の脳炎を発症。養親がすぐに対応しなかったこともあって亡くなっちゃうの。

で、お約束の<異世界転生>。

鍛冶屋の次男として転生するんだけど、五歳までは普通に育って、でも、麻疹に罹って高熱を出したことをきっかけに前世の記憶が蘇ってね。

それまでもすぐに癇癪を起こす気難しい子として両親の手を煩わせてたのに、前世の記憶が戻ったことで、極度の人間不信も芽生えさせちゃって、さらに扱いが難しい子になっちゃうんだよ。

だけど両親はそんな主人公のことも受け止めようとしてくれる。

なのに人間不信を拗らせてる主人公は両親のことを認められなくて反発して、誰彼構わず食って掛かって、手の付けられない<悪童>として周囲から嫌われんの。

それでも、両親は主人公のことを見捨てない。

さすがにこちらの世界での主人公の兄が、

「なんで父さんも母さんもあんな奴の肩を持つんだ!? あいつは何やったってダメだろ! 生まれつきのクズなんだからさ!!」

兄自身、両親のことが大好きだからこそ、こんな素晴らしい両親を困らせる弟(主人公)が許せなくて、そう言うんだ。

でも、そんな兄に、両親は、

「私達は、この世界に寄る辺ない余所者として生まれたんだ。だけどこの世界の人達はそんな私達をあたたかく迎え入れてくれた。だから私達もあの子を決して見捨てないんだ」

「なにより、あの子をこの世に送り出したのは私達だからね」

って諭すんだよ。

それでも兄は、

「だからって、あんな……!」

と憤るんだけどさ。両親のことが好きだからこそ。

で、主人公は、自分を見限ろうとする兄だけじゃなく、

『綺麗事言って、ホントは俺のことを邪魔だと思ってるクセに……!』

てな感じで、両親に対する不信感もますます拗らせちゃうんだよね。

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