私が異世界物を書く理由

京衛武百十

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フィクションだからできること

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だけど、主人公の周りにいるのは、親も大人も、<他人の所為>にして自分の道理に外れた行いを正当化しようとする人ばかり。

そんな人しかいないんじゃ、『そうじゃない』ってのを学びようがない。

前世でも、学んでこなかった。誰も教えてくれなかった。

むしろ、

『他人の所為にして自身の不法行為を正当化する』

という在り方を示されてきた。周りがそうだから、主人公だってそれに影響されて当然じゃん?

ただ、主人公は、

『自分はそんな奴らとは同じにはならない!』

って想いがあるから、魔法で気に入らない相手を殺したりとか消滅させたりとかは、しないように心掛けているけどね。

そうやって自分で一定のラインを作って、

『だから自分は他の奴らとは違う』

みたいに考えるようにしてきたんだよ。

もっとも、その、

『<自分が決めたライン>さえ越えなければ構わない』

って考えで、自分に対して攻撃的な者、悪意を向ける者、害意を向ける者については魔法で捻じ伏せていくんだけどさ。

この時点で、

『典型的な陰キャがチート能力を得てイキる展開じゃん!』

とか言うのがいたら、それこそが、

『他人の所為にして自身の不法行為を正当化するのは、結局、他人から疎まれる』

っていう何よりの証拠だよね。

当然、主人公が生きてる世界でも、彼のことを、

『イキってる』

『思い上がってる』

『調子に乗ってる』

みたいに感じる人も出てくるんだ。

そしてそういう人達が主人公の前に立ちはだかる。

だけど同時に、主人公の<途轍もない才能>に単純に惹かれる人も出てくる。

ヒロインをはじめとした、主人公の<仲間>……ううん、この場合、<取り巻き>って言った方がいいかな。

主人公は、自分の考えに賛同してくれる人には<優しい>からね。

大事にしようとしてくれるからね。

でも、自分が許容できない考えを持ってる<取り巻き>はどんどん切り捨てていくんだよ。

自分に懐いてくれてた女の子だって容赦なく。

それで離れていけば追わないし、何だかんだと居残ってくれたら都合よく利用する。

はっはっは! 清々しいまでのロクデナシですな。

だけどさ、<リアル>を追求したらこんな感じになるんじゃないの? 自分の周りの人間を見てごらんよ。漫画やラノベやアニメの主人公みたいに綺麗事で突っ走って物事を成し遂げるのなんて、いる?

綺麗事を振り回すだけならそれなりにいたりもするかもだけど、ネット上でも見掛けるかもだけど、そういうのって、ちょっと粗を突いたら逆ギレしたり言い訳の終始したりで、何も成してないじゃん。それなりの地位にいたりするのでさえ、結局は口だけで何も成し遂げてないし、ましてや、

<普通の少年少女>

じゃ、それこそ、

『イタい奴』

みたいに思われてお終いじゃん。

主人公がたとえ鍛え上げられた才能溢れるイケメンとかだったとしても、フィクションみたいに世界を救ったりとかなんて、現実じゃ起こらないじゃん。

主人公が世界を救ったりなんてこと自体が、そもそも、

『フィクションだからできること』

なんだよね。

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