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『自分の方が正しい』と思ってるから

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『他人が自分の思ってる通りにやるのが当然』

って思ってる主人公にとっては、

『人はそれぞれ違ってるのが当然』

のその世界とは、根本的に噛み合わなかった。しかも本人は『自分の方が正しい』と思ってるから反省もしない。改めようともしない。

そんな主人公に対しても周囲は丁寧に接しようとしてくれるんだけど、どうしてもただの綺麗事に思えてしまって不信感が募ってしまう。

仕方なく、施設側は主人公一人だけで作業できるように個室まで用意してくれようとしたのに、それを主人公は<隔離>と解釈してしまって、

「なんで俺が隔離されなきゃいけないんだ!?」

って食って掛かる。

するとその施設の<所長>が出てきて、

「あなたには<治療>が必要なようですね」

と告げるんだ。

だけど主人公は、

「俺はどこも悪くない! 勝手に病気にすんな! 病気なのは他の奴らだろ!!」

喚き散らして病院に行こうとしない。

施設の所長も職員達も丁寧に説明しようとするのに、主人公は聞く耳を持たずに自室に閉じこもってしまう。

ここまでの時点でもさ、『悪い』のは、どっちなんだろうね?

主人公は、自分の気に入らない相手は罵っていいと思ってる。だけどこの世界の人達にとってそれは<普通>じゃないんだ。

しかも主人公に対しても、頭ごなしに、

『自分達に従え!!』

みたいに言うんじゃなくて、とにかく分かってもらおうと丁寧に接するんだよ。

なのに主人公は聞く耳持たない。

仕方なく施設側は、カウンセラーを派遣してもらって、<自宅療養>という形で治療を始める。

ただ、この世界では、他人を気遣い敬い丁寧に接することがあまりに当たり前で主人公みたいなのはそれこそ<精神疾患の一種>っていう認識で、その上、主人公レベルのはもう文献にしか残ってないような特異な事例だった。

その所為で、対処するためのノウハウも失われてて、関わる人達は本当に苦労する。

どうにかして主人公が立ち直れるようにってことで誰もが努力を惜しまない。

ここでは、誰もがそうやって誰かの助けで生きてきたから、自分も同じように、

<上手く生きられない人>

のために力になろうとするんだよ。

だけどその間にも主人公は、

『どいつもこいつも寄ってたかって俺を異常扱いしやがって……!』

的に鬱屈していくんだ。

それに対処するためのノウハウが残ってればまだ上手く対応できたのかもしれないけど、失われてたからね。文献を調べることで失われたノウハウの再現も試みられるものの、ここの人達にとってはもう、<理解不能な異星人のメンタリティ>と化してて、困難を極めた。

そして、有効な手立てが打てずにいることで、主人公は遂に<事件>を起こしてしまうんだよ。

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