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リリア・ツヴァイの章
ロボットじゃないロボット
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私の名前はリリア・ツヴァイ。見た目は十二歳くらいの女の子だ。
だけど私は、実は<人間>じゃない。
体は元々人間のものだけど、私は人間じゃない。と言うか、私は本来、人間の死体だったものを再利用して作られた存在だ。
ある科学者の気まぐれによって。
私がいるのは、惑星リヴィアターネ。発見当初は<第二の地球>ともてはやされた、地球に非常に良く似た自然豊かな惑星だ。
だけど、そこにはとんでもない災いが眠っていた。人間が降り立ち開発を進めたことで、眠っていたそれが目を覚ましてしまったんだよね。
それによって一億二千万人以上の人間が、僅か数ヶ月で死に絶えた。私の基になっているのも、その時に死んだ人間の一人だ。その人間の体を、私の造物主であるアリスマリア・ハーガン・メルシュ博士が<改造>し、私を作った。
手っ取り早く言うならば、私は<ロボット>だね。
人間の体を用いて作られたけれど、頭の中にあるのは人工脳で、人間のそれじゃない。だから私は人間じゃない。人間の体を持ってるだけのロボットだ。
でも、不思議なもので、私は自分がロボットだという実感があまりない。
だって、人間と同じように息もするし食事もするし排泄もする。生理機能は、月経がないことと体が成長しないこと以外はほぼ完全に人間のそれで、力も、元の体である、おそらく十二歳くらいの女の子のそれしか持ってない。
しかも、私はたぶん死なない。体は死んでも、頭の中の人工脳が例え破壊されても、私のデータは<本体>のストレージにバックアップが常に取られるから、新しい体にデータをインストールすれば簡単に元に戻れると思う。
だから、『人間じゃない』。
人間はそんな風にできないもんね。
それでも私にあるのは、人間としての感覚なのかな。面白いとか悲しいとか苦しいとかおなか減ったとか眠いとか、普通のロボットにはないものが私にはあるから。
今、私の目の前に広がっている光景は、この惑星に眠っていた災禍、偽生症(Counterfeit Life Syndrome)=CLSと名付けられたそれによって<動く死体>と化した人間達を処置する為、総合政府から派遣されたロボット艦隊による衛星軌道上から行われた爆撃で完全に焼き払われた都市の痕跡だった。
それを見詰める私の隣で、女の子がうずくまってる。ううん、<女の子に見えるロボット>だな。
彼女の名前はリリアテレサ。正式名称はリリアJS605s。人間の生活をサポートする為に作られた市販品のロボットだ。
彼女は私と違って普通のロボットなのに、眼下の光景が辛くてうずくまってしまったのだった。
そして私は、そんな彼女の体を抱き締めた。私の<本体>でもある彼女をね。
だけど私は、実は<人間>じゃない。
体は元々人間のものだけど、私は人間じゃない。と言うか、私は本来、人間の死体だったものを再利用して作られた存在だ。
ある科学者の気まぐれによって。
私がいるのは、惑星リヴィアターネ。発見当初は<第二の地球>ともてはやされた、地球に非常に良く似た自然豊かな惑星だ。
だけど、そこにはとんでもない災いが眠っていた。人間が降り立ち開発を進めたことで、眠っていたそれが目を覚ましてしまったんだよね。
それによって一億二千万人以上の人間が、僅か数ヶ月で死に絶えた。私の基になっているのも、その時に死んだ人間の一人だ。その人間の体を、私の造物主であるアリスマリア・ハーガン・メルシュ博士が<改造>し、私を作った。
手っ取り早く言うならば、私は<ロボット>だね。
人間の体を用いて作られたけれど、頭の中にあるのは人工脳で、人間のそれじゃない。だから私は人間じゃない。人間の体を持ってるだけのロボットだ。
でも、不思議なもので、私は自分がロボットだという実感があまりない。
だって、人間と同じように息もするし食事もするし排泄もする。生理機能は、月経がないことと体が成長しないこと以外はほぼ完全に人間のそれで、力も、元の体である、おそらく十二歳くらいの女の子のそれしか持ってない。
しかも、私はたぶん死なない。体は死んでも、頭の中の人工脳が例え破壊されても、私のデータは<本体>のストレージにバックアップが常に取られるから、新しい体にデータをインストールすれば簡単に元に戻れると思う。
だから、『人間じゃない』。
人間はそんな風にできないもんね。
それでも私にあるのは、人間としての感覚なのかな。面白いとか悲しいとか苦しいとかおなか減ったとか眠いとか、普通のロボットにはないものが私にはあるから。
今、私の目の前に広がっている光景は、この惑星に眠っていた災禍、偽生症(Counterfeit Life Syndrome)=CLSと名付けられたそれによって<動く死体>と化した人間達を処置する為、総合政府から派遣されたロボット艦隊による衛星軌道上から行われた爆撃で完全に焼き払われた都市の痕跡だった。
それを見詰める私の隣で、女の子がうずくまってる。ううん、<女の子に見えるロボット>だな。
彼女の名前はリリアテレサ。正式名称はリリアJS605s。人間の生活をサポートする為に作られた市販品のロボットだ。
彼女は私と違って普通のロボットなのに、眼下の光景が辛くてうずくまってしまったのだった。
そして私は、そんな彼女の体を抱き締めた。私の<本体>でもある彼女をね。
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