92 / 100
決戦
92ページ
しおりを挟む
<いつか魔王が来るってことを前提にして街ごと逃げられるような都市計画>
実際、それが現実的な落としどころだと思うんだよ。
『魔王は倒せない』
『魔王の進路を逸らしたら別のところに被害が出る可能性がある』
『変に魔王に歯向かっても無駄死にになる可能性が高い』
ならな。しかも、数百年数千年に一度あるかないかの災害なんだろう? だったら魔王が来た時にケツまくって逃げりゃそれですむことじゃねーか。そして魔王が去った後に街を再建すりゃ、あとは少なくとも数百年は安泰なんだってんならな。いや、魔王以外にも天災はあるから安泰ってわけにゃいかねえのかもだが。
いずれにせよ、プリムラが通ってた学校だって、学校ごと移転できりゃ済んだ話だと思う。人間ってのは一度腰を落ち着かせちまうとそこから動くことを厭う傾向のある生き物だからそれをしたくないって気持ちも想像できなくはないんだが、にしたって天災相手に意地張ったってどうしようもねえだろ。
と、俺は思うんだよ。でもまあ、俺が思い付く程度のことは他にも思い付く奴はいるだろうから、実際、そういう都市作りをしてるところもあったりするんだろうな。
とか考えつつも、現状、<パトラアゲスト>がそうじゃなく、プリムラの通う学校もそうじゃないなら、やるだけやってみるだけだ。
改めてそう自分に言い聞かせて、準備をする。
で、いよいよ、
「魔王視認! こちらに向かっています!!」
仮の城壁の上に建てられた仮の物見櫓で見張ってた兵士が叫ぶ。
目の前にはほとんど凹凸のない荒野が広がってるだけだから、塔の高さから考えてざっと後二十キロってところか。つまり、今ここは、魔王と街のちょうど中間点辺りだな。
今は正中よりちょっと前。夕暮れまでには魔王が来るってことだ。
と、その前に、
「魔獣の群れを確認!」
魔王よりは前にいるが小さいことである程度近付かないと見えない魔獣まで見え始め、見張りの兵士が声を上げる。
さあて、前哨戦だぞ。
冒険者や軍の兵士達は、正直、魔獣をどうにかするためにいるようなもんだ。魔獣を放っておくと、せっかく避難した住人達が被害を受ける危険性も高い。
魔王の姿を確認してさらに一時間ほどで、魔獣が来た。この辺は荒野でそもそも魔獣化するような動物が少ないのはありがたいものの、ここに来るまでの道すがら魔獣化させたのも引き連れてるから、そこそこの数はいる。しかし、軍だって訓練は積んでるわけで、弓兵を並べ、まずは矢の弾幕で迎え撃とうということか。
実際、それが現実的な落としどころだと思うんだよ。
『魔王は倒せない』
『魔王の進路を逸らしたら別のところに被害が出る可能性がある』
『変に魔王に歯向かっても無駄死にになる可能性が高い』
ならな。しかも、数百年数千年に一度あるかないかの災害なんだろう? だったら魔王が来た時にケツまくって逃げりゃそれですむことじゃねーか。そして魔王が去った後に街を再建すりゃ、あとは少なくとも数百年は安泰なんだってんならな。いや、魔王以外にも天災はあるから安泰ってわけにゃいかねえのかもだが。
いずれにせよ、プリムラが通ってた学校だって、学校ごと移転できりゃ済んだ話だと思う。人間ってのは一度腰を落ち着かせちまうとそこから動くことを厭う傾向のある生き物だからそれをしたくないって気持ちも想像できなくはないんだが、にしたって天災相手に意地張ったってどうしようもねえだろ。
と、俺は思うんだよ。でもまあ、俺が思い付く程度のことは他にも思い付く奴はいるだろうから、実際、そういう都市作りをしてるところもあったりするんだろうな。
とか考えつつも、現状、<パトラアゲスト>がそうじゃなく、プリムラの通う学校もそうじゃないなら、やるだけやってみるだけだ。
改めてそう自分に言い聞かせて、準備をする。
で、いよいよ、
「魔王視認! こちらに向かっています!!」
仮の城壁の上に建てられた仮の物見櫓で見張ってた兵士が叫ぶ。
目の前にはほとんど凹凸のない荒野が広がってるだけだから、塔の高さから考えてざっと後二十キロってところか。つまり、今ここは、魔王と街のちょうど中間点辺りだな。
今は正中よりちょっと前。夕暮れまでには魔王が来るってことだ。
と、その前に、
「魔獣の群れを確認!」
魔王よりは前にいるが小さいことである程度近付かないと見えない魔獣まで見え始め、見張りの兵士が声を上げる。
さあて、前哨戦だぞ。
冒険者や軍の兵士達は、正直、魔獣をどうにかするためにいるようなもんだ。魔獣を放っておくと、せっかく避難した住人達が被害を受ける危険性も高い。
魔王の姿を確認してさらに一時間ほどで、魔獣が来た。この辺は荒野でそもそも魔獣化するような動物が少ないのはありがたいものの、ここに来るまでの道すがら魔獣化させたのも引き連れてるから、そこそこの数はいる。しかし、軍だって訓練は積んでるわけで、弓兵を並べ、まずは矢の弾幕で迎え撃とうということか。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
グリムベル第13孤児院所属 SSSランク能力者ダイン ~異世界の理不尽は異能の力で押し通る~
こげ丸
ファンタジー
※作者の個人都合で更新停止中です……<(_ _")>
【ひとことあらすじ】
剣と魔法のファンタジーを異能の力で押し通るお話です(;・∀・)
【ふつうのあらすじ】
無数の小さな都市国家からなる世界メリナード。
この世界では定期的に大規模な魔物の侵攻が発生するため、すべての国は高い城壁に守られた城塞都市という形をとっていた。
そんな城塞都市国家の一つシグルスには、孤児院で暮らすひとりの少年がいた。
少年の名はダイン。
この街の孤児院に来て一年になるその少年は、ある日、小さな魔物の襲撃の現場に遭遇した事から、次第に巨大な陰謀に巻き込まれていく。
その中で世界の理不尽を感じたダインは、その能力を駆使して理不尽を覆す戦いを始める。
神代魔法の継承者〜雑魚が奈落の底で最強と化したそうです〜
伊弉冊(いざなみ)
ファンタジー
普通の高校に通う17歳の青年は、クラスでいじめられていた。そんな日々の中、ある日突然教室の床に輝く魔法陣が現れ、彼らは異世界に召喚せれてしまう。周りのクラスメイトたちはみんな超がつくほどのチート能力を有していたが、何故か主人公だけにはそのような能力がなかった。その結果、異世界に来てまで再びいじめられる彼は、迷宮攻略にていじめっ子たちの陰謀により、奈落の底へと落とされてしまう。暗い闇の中で彼が得た力。それは、神代と呼ばれるはるか昔に存在した、今はもう存在しない神代魔法を自由自在に操ることができる力だった。
王道成り上がりファンタジーを目指して頑張りたいと思います。皆さんの感想なども取り込んでいけたら良いと思っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる