77 / 100
己というもの
77ページ
しおりを挟む
こうして俺達は、改めて<ヴァドリフス討伐>を開始することになった。俺とアガルラは『死なない』からということで囮になり、その隙をリョウとアギーとバグレスが力で押し切るという、素晴らしく、
<頭の悪い作戦>
だ。でもまあ、それで勝機があるならいいじゃないか。加えて、俺も、<被害>ってのを目の当たりにしたことでちょっと頭には来てたんだ。
魔獣は、ただの野生の獣じゃない。人間をはっきりと憎み意図して害しようといてる、
<急迫不正の侵略者>
だ。野生の獣との生存競争でさえない。明確な害意で攻撃してくる<敵>なんだ。
だから俺も遠慮なくやれる。無益な殺生はしたいとは思わないが、前にも言った通り魔獣は<生き物>でさえない。魔素とかいうもので構成された<殺人ロボット>みたいなもんなんだよ。
そんな奴に好き勝手されるってのは、さすがに癪に障るってもんだ。
そうしてアガルラが<隠密の魔法>を改めてかけて、その上でアギーとバグレスには<肉体強化の魔法>を掛けて、崖に近付いていく。で、崖の上に俺が立って、
「よう! 第二ラウンドといこうじゃないか」
と挑発した。瞬間、ヴァドリフスは恐ろしい速さで俺に迫ってくる。しかし俺の役目はこれだけだ。こうやってヴァドリフスをおびき寄せ、食われる直前で、アギーとバグレスが攻撃。
「!?」
<隠密>で気配を断っていた二人が突然攻撃を繰り出してきたことでヴァドリフスは飛び退いて宙に浮き、しかし空中では自由に動けないこいつに、リョウが、
「ゲッ〇アアアアッ! ヴィイイイムッッ!!」
全力のゲッ〇ービームをぶちかます。あまりにも単純であまりにも効率厨であまりにも脳筋な作戦の前に、空中で身をよじって一旦はビームを躱したもののそのまま薙ぎ払うように射線をずらされ真っ二つにされたヴァドリフスが崖下へと落ちていった。
さらにリョウが、崖の端から身を乗り出して射線を確保。そのリョウの体をバグレスが支えてそのまま二発目のゲッ〇ービームを放ち、崖下に落ちたヴァドリフスの体のほとんどを蒸発させる。
まったくもって呆気ない結末のようにも思えるだろうが、もしこれが上手くいかなかった時には今度がアガルラが囮をすることになってたからな。たまたま一回目で上手くいっただけだ。
<爆発を忌避せずにいられない程度の防御力>
<完全な陸上動物で空中ではほぼダルマ>
というのを確認した上での作戦ではあるが。
そして、勝つ時はえてしてこんな風に呆気なく終わることも多いってだけの話だ。
<頭の悪い作戦>
だ。でもまあ、それで勝機があるならいいじゃないか。加えて、俺も、<被害>ってのを目の当たりにしたことでちょっと頭には来てたんだ。
魔獣は、ただの野生の獣じゃない。人間をはっきりと憎み意図して害しようといてる、
<急迫不正の侵略者>
だ。野生の獣との生存競争でさえない。明確な害意で攻撃してくる<敵>なんだ。
だから俺も遠慮なくやれる。無益な殺生はしたいとは思わないが、前にも言った通り魔獣は<生き物>でさえない。魔素とかいうもので構成された<殺人ロボット>みたいなもんなんだよ。
そんな奴に好き勝手されるってのは、さすがに癪に障るってもんだ。
そうしてアガルラが<隠密の魔法>を改めてかけて、その上でアギーとバグレスには<肉体強化の魔法>を掛けて、崖に近付いていく。で、崖の上に俺が立って、
「よう! 第二ラウンドといこうじゃないか」
と挑発した。瞬間、ヴァドリフスは恐ろしい速さで俺に迫ってくる。しかし俺の役目はこれだけだ。こうやってヴァドリフスをおびき寄せ、食われる直前で、アギーとバグレスが攻撃。
「!?」
<隠密>で気配を断っていた二人が突然攻撃を繰り出してきたことでヴァドリフスは飛び退いて宙に浮き、しかし空中では自由に動けないこいつに、リョウが、
「ゲッ〇アアアアッ! ヴィイイイムッッ!!」
全力のゲッ〇ービームをぶちかます。あまりにも単純であまりにも効率厨であまりにも脳筋な作戦の前に、空中で身をよじって一旦はビームを躱したもののそのまま薙ぎ払うように射線をずらされ真っ二つにされたヴァドリフスが崖下へと落ちていった。
さらにリョウが、崖の端から身を乗り出して射線を確保。そのリョウの体をバグレスが支えてそのまま二発目のゲッ〇ービームを放ち、崖下に落ちたヴァドリフスの体のほとんどを蒸発させる。
まったくもって呆気ない結末のようにも思えるだろうが、もしこれが上手くいかなかった時には今度がアガルラが囮をすることになってたからな。たまたま一回目で上手くいっただけだ。
<爆発を忌避せずにいられない程度の防御力>
<完全な陸上動物で空中ではほぼダルマ>
というのを確認した上での作戦ではあるが。
そして、勝つ時はえてしてこんな風に呆気なく終わることも多いってだけの話だ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?
レオナール D
ファンタジー
異世界に召喚されて魔王を倒す……そんなありふれた冒険を終えた主人公・八雲勇治は日本へと帰還した。
異世界に残って英雄として暮らし、お姫様と結婚したり、ハーレムを築くことだってできたというのに、あえて日本に帰ることを選択した。その理由は家族同然に付き合っている隣の四姉妹と再会するためである。
隣に住んでいる日下部家の四姉妹には子供の頃から世話になっており、恩返しがしたい、これからも見守ってあげたいと思っていたのだ。
だが……帰還した勇治に次々と襲いかかってくるのは四姉妹のハニートラップ? 奇跡としか思えないようなラッキースケベの連続だった。
おまけに、四姉妹は勇治と同じようにおかしな事情を抱えているようで……? はたして、勇治と四姉妹はこれからも平穏な日常を送ることができるのだろうか!?
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
【R18】僕の異世界転性記!【挿絵付】
サマヨエル
ファンタジー
【閲覧注意!】性的描写多数含みます。苦手な方はご遠慮ください。
ふと気がつくと見知らぬ場所で倒れていた少年。記憶の一切が無く、自分の名前すら思い出せない少年の本能は告げていた。ここは自分の居るべき世界ではない、異世界であると。
まるでゲームのような世界に胸を高める中ひょんなことから出現したステータスウィンドウには驚愕の一言が!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
特殊スキル:異世界転性
種族問わず。性交の数だけ自身のステータス上昇とスキル取得ができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誰もがうらやむ異世界性活が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる