72 / 100
魔王ドレーア
72ページ
しおりを挟む
そうだ。自分が自分であることを確実に証明できるものなんて実際には存在しない。『遺伝子で証明できる』ってんなら遺伝子も完璧に再現してるんならそれはやっぱり同一人物ってことになるしな。
逆を言えば、前世の俺と今世の俺は遺伝子からしてまったく繋がりがないだろう。となれば科学的には同一人物であることを証明できない。
『俺は俺だ』
そう思うから<俺という人間>だって思うしかないんだよ。
再生者や<死ねない者>なんてのが存在する世界で、
<自己の同一性>
なんてものを気にするだけ無駄だと思うぜ。
と俺は思うんだが。アガルトライツがそれをここまで気にするってのは、相応の理由があるだろうなとは感じた。だから、
「もしかして、お前も再生者か何かか?」
無礼とは思うが敢えてそう尋ねさせてもらう。と、
「!?」
ビクッと反応する。当たりだったか……
「まあ、その辺りの事情は俺は別にとやかく言うつもりもないよ。それに、あんまり長話してる余裕もない。とにかく試すだけだ」
そう言って俺は、ヴァドリフスが頭を反対側に向けている間に飛び出して、猛然と走った。<隠密>の術の効果があるから、気配を悟られることなく距離を稼げた。そして頭をこちらに向けた瞬間に気付かれて、襲い掛かってくる。凄まじい速度だ。だから俺は、ヴァドリフスが近付いたところで爆弾に火を点けた。
瞬間、飛び退って距離を取る。
こいつ、『火薬の臭いを嗅ぎ分ける』というよりは、
『爆発する火薬を察知する』
と言った方がいいみたいだな。なので、それを確かめるために、火の点いた爆弾を投げつける。すると躱そうとさらに距離を取った。直後、空中で爆発。で、奴は改めて俺を狙ってくる。
まだ爆弾はいくつも持ってるにも拘わらずだ。
なので再び爆弾に火を点けると、距離を取る。で、爆弾を投げつけてさらに下がらせてその間に距離を稼ぐ。リョウ達から引き離すためにな。
そして今度は、爆弾そのものじゃなく、爆弾に使ってる<導火線>だけに火を点けてみた。
そしたらなぜか下がらない。<導火線に火が付いた臭い>を察してるってわけでもないのか。
続けて爆弾に繋がった導火線に火を点けると、やはり下がった。
<爆裂魔法の類>も嗅ぎ分けるということは、なるほど<火薬の臭い>ってことじゃなくて、どういう理屈かは分からないが、
<爆発という現象>
そのものを事前に察してるってことかもな。なんとまあ、メンドクサイ奴だ。しかしこれだと、火薬の臭いを避けてくれるわけじゃないから、爆弾が尽きたらお陀仏だな。
逆を言えば、前世の俺と今世の俺は遺伝子からしてまったく繋がりがないだろう。となれば科学的には同一人物であることを証明できない。
『俺は俺だ』
そう思うから<俺という人間>だって思うしかないんだよ。
再生者や<死ねない者>なんてのが存在する世界で、
<自己の同一性>
なんてものを気にするだけ無駄だと思うぜ。
と俺は思うんだが。アガルトライツがそれをここまで気にするってのは、相応の理由があるだろうなとは感じた。だから、
「もしかして、お前も再生者か何かか?」
無礼とは思うが敢えてそう尋ねさせてもらう。と、
「!?」
ビクッと反応する。当たりだったか……
「まあ、その辺りの事情は俺は別にとやかく言うつもりもないよ。それに、あんまり長話してる余裕もない。とにかく試すだけだ」
そう言って俺は、ヴァドリフスが頭を反対側に向けている間に飛び出して、猛然と走った。<隠密>の術の効果があるから、気配を悟られることなく距離を稼げた。そして頭をこちらに向けた瞬間に気付かれて、襲い掛かってくる。凄まじい速度だ。だから俺は、ヴァドリフスが近付いたところで爆弾に火を点けた。
瞬間、飛び退って距離を取る。
こいつ、『火薬の臭いを嗅ぎ分ける』というよりは、
『爆発する火薬を察知する』
と言った方がいいみたいだな。なので、それを確かめるために、火の点いた爆弾を投げつける。すると躱そうとさらに距離を取った。直後、空中で爆発。で、奴は改めて俺を狙ってくる。
まだ爆弾はいくつも持ってるにも拘わらずだ。
なので再び爆弾に火を点けると、距離を取る。で、爆弾を投げつけてさらに下がらせてその間に距離を稼ぐ。リョウ達から引き離すためにな。
そして今度は、爆弾そのものじゃなく、爆弾に使ってる<導火線>だけに火を点けてみた。
そしたらなぜか下がらない。<導火線に火が付いた臭い>を察してるってわけでもないのか。
続けて爆弾に繋がった導火線に火を点けると、やはり下がった。
<爆裂魔法の類>も嗅ぎ分けるということは、なるほど<火薬の臭い>ってことじゃなくて、どういう理屈かは分からないが、
<爆発という現象>
そのものを事前に察してるってことかもな。なんとまあ、メンドクサイ奴だ。しかしこれだと、火薬の臭いを避けてくれるわけじゃないから、爆弾が尽きたらお陀仏だな。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
桐壺の更衣になるはずだった私は受領の妻を目指します
白雪の雫
恋愛
美容オタクというか休みの日は料理を作ったり、アロマオイルマッサージをしたり、アロマオイルを垂らしてバスタイムを楽しんでいるアラフィフ女な私こと桐谷 瑞穂はどうやら【平安艶話~光源氏の恋~】という源氏物語がベースになっている乙女ゲームに似た世界に、それも入内したら桐壺の更衣と呼ばれる女性に転生した・・・らしい。
だって、私の父親が按察使の大納言で母親が皇族だったのだもの!
桐壺の更衣ってあれよね?
父親が生きていれば女御として入内出来ていたかも知れないのに、父親が居ない為に更衣として入内するしかなかった、帝に愛されちゃったが故に妃達だけではなく公達からも非難されていた大納言家の姫にして主人公である光源氏の母親。
そして主人公が母親の面影を求めて数多の姫達に手を出すと同時に、彼女達を苦しめ不幸となる切っ掛けともなった女性──・・・。
ゲームでは父親の遺言から幼い光源氏を残して逝くところまでが語られるけど、実は後見人が居ない状態で入内する前に私を心配して保護しようとしてくれている年上男性の存在が語られているし立ち姿もちゃんとあるのよね~。
その男性は智寿といって受領で超金持ち!長身のゴリマッチョ!しかもセクシーな低音ボイス!
実は女性受けしそうな外見をしている帝や光源氏、頭中将達といったキャラよりも筋骨隆々な智寿様が推しだったのよね~♡
今の私は大納言の姫とはいえ根は二十一世紀の日本で生きていた庶民。
そんな私が帝の妃として・・・否!何もかも占いで行動が決められるという窮屈な場所で生きて行けるはずがない!
よしっ!決めた!
二十一世紀・・・とは言わないけれど、せめて健康的で清潔な生活を送る為に私は智寿様の妻になる!!!
私が入内しなければ藤壺も葵の上も六条の御息所も・・・皆不幸にならないもの!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義です。
跼蹐のゴーレムマスター~ビビリ少女ラヴィポッドはゴーレムに乗って~
現 現世
ファンタジー
森で作物を育てながらひっそりと暮らす少女──ラヴィポッド。
彼女はとある魔術を成功させた。
古代に用いられていた、失われた魔術。
『ゴーレム錬成』
主の命令に忠実な自動人形──ゴーレムを作り出す魔術。
臆病な少女は母を探すため、ゴーレムと共に冒険に出る。
体を丸めてガクブルと震える姿から、少女は後にこう呼ばれた。
『跼蹐のゴーレムマスター』と。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
異世界ブンドド ~夢とロマンに生きる王女~
あてだよ
ファンタジー
ブンドドしたい!
それだけを夢見た一人の女の子が、転生を切っ掛けに夢とロマンを追い求める物語。
飛行機事故で只一人死亡した主人公は、神様からロボット物の映像作品を見放題のスキルをもらい受け、異世界アークにある王国の王女、ティアル・ノインクーゲルへと転生を遂げる。
SFとは真逆の、剣と魔法の世界で、ティアルは巨大ロボへの憧れを実現するべく、一人突っ走る。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる