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日常
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で、そうこうしてる間に冒険者ギルドを監督してるらしい役人が兵士と一緒にやってきて、<ガラの悪い冒険者>を連行していった。目撃者の証言から完全に向こうが悪いってのが証明されたからな。しかも俺もリョウも一切手出ししていない。触れてもいない。実際にねじ上げたのは<イケメン冒険者>だからな。
「後で事情を聞く場合もあるかもしれないので、それを承知しておくように」
と役人に言われていたが、
「はい、分かっています」
とこれまたイケメンスマイルで返しやがった。いやはや、どこまでもイケメンだな。で、
「改めてご挨拶させてください。私の名前は<アガルトライツ・リーベンス>。見ての通りの冒険者です。この街に着いたばかりで、まずギルドにと思ったのですが、そこで先ほどの光景に遭遇したというわけでして」
態度も物腰も笑うぐらいにイケメンだな。なんか裏があるんじゃないかと疑ってしまう程度には。
『初手でイケメンムーブする奴はだいたい裏がある』
的なお約束もあった気がする。でもまあ、この<アガルトライツ・リーベンス>と名乗ったイケメンのことについては、俺達はまったく関心がないので、裏があろうとなかろうとどうでもいい。リョウもノーラも、色恋沙汰には一ミリも食指が動かないタイプなんだよな。だから俺との間にもそういうのはまったく生じる気配もない。
でも、俺はそれでいい。そういうのは前世で懲りてる。俺は結婚には向かないタイプの人間なんだ。プリムラに対してはちょっと情も移っているが、だからって父親面するつもりもない。人外ズな俺やノーラやリョウと違って普通の人間なプリムラにゃ、人間として幸せになってほしいんだよ。
そんな俺達の前で、
「魔獣ヴァドリフス討伐。ヴォーンローグ銀貨五百枚ですか。いいですね」
新たに貼り出された依頼書にそんな依頼を見付け、アガルトライツは目を輝かせた。
銀貨二百枚のファダルフォンでも二人だとちょいとヤバかったから、銀貨五百枚ともなればそれよりさらに厄介な相手という推測が成り立つ。それを『いいですね』とは、このイケメン、さてはバトルジャンキーだな?
とも思ったが、
「おい! その依頼は俺達が受ける! 横取りすんな!!」
リョウがそう言って噛み付いた。
「こらこら待て待て。俺は受けるとは言ってないぞ?」
と諫めたが、アガルトライツは、
「それではパーティを組んで一緒にやりませんか?」
とか言ってきやがった。するとリョウは、
「おう! そういうことならアリだ!!」
って言いだしやがって……
「後で事情を聞く場合もあるかもしれないので、それを承知しておくように」
と役人に言われていたが、
「はい、分かっています」
とこれまたイケメンスマイルで返しやがった。いやはや、どこまでもイケメンだな。で、
「改めてご挨拶させてください。私の名前は<アガルトライツ・リーベンス>。見ての通りの冒険者です。この街に着いたばかりで、まずギルドにと思ったのですが、そこで先ほどの光景に遭遇したというわけでして」
態度も物腰も笑うぐらいにイケメンだな。なんか裏があるんじゃないかと疑ってしまう程度には。
『初手でイケメンムーブする奴はだいたい裏がある』
的なお約束もあった気がする。でもまあ、この<アガルトライツ・リーベンス>と名乗ったイケメンのことについては、俺達はまったく関心がないので、裏があろうとなかろうとどうでもいい。リョウもノーラも、色恋沙汰には一ミリも食指が動かないタイプなんだよな。だから俺との間にもそういうのはまったく生じる気配もない。
でも、俺はそれでいい。そういうのは前世で懲りてる。俺は結婚には向かないタイプの人間なんだ。プリムラに対してはちょっと情も移っているが、だからって父親面するつもりもない。人外ズな俺やノーラやリョウと違って普通の人間なプリムラにゃ、人間として幸せになってほしいんだよ。
そんな俺達の前で、
「魔獣ヴァドリフス討伐。ヴォーンローグ銀貨五百枚ですか。いいですね」
新たに貼り出された依頼書にそんな依頼を見付け、アガルトライツは目を輝かせた。
銀貨二百枚のファダルフォンでも二人だとちょいとヤバかったから、銀貨五百枚ともなればそれよりさらに厄介な相手という推測が成り立つ。それを『いいですね』とは、このイケメン、さてはバトルジャンキーだな?
とも思ったが、
「おい! その依頼は俺達が受ける! 横取りすんな!!」
リョウがそう言って噛み付いた。
「こらこら待て待て。俺は受けるとは言ってないぞ?」
と諫めたが、アガルトライツは、
「それではパーティを組んで一緒にやりませんか?」
とか言ってきやがった。するとリョウは、
「おう! そういうことならアリだ!!」
って言いだしやがって……
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