54 / 100
魔獣ファダルフォン
54ページ
しおりを挟む
そんなわけで、森の中で体勢を立て直してる間、ファダルフォンは高台の上に陣取り、堂々とした様子を見せていた。ムカつくくらいに堂々とした、な。
でもまあそんなことを気にしてても始まらない。とにかく今は作戦を実行するだけだ。
「うおおりゃあああーっ!!」
リョウが雄叫びを上げながら森を駆け抜け、開けたところに出ると、すでにファダルフォンが目の前まで迫っていた。
ゲッ〇ービームを放つには間合いが足りなかったリョウは、魔法のステッキを振り回す。
しかしファダルフォンはそれをひらりと躱し、地面に降り立ってからも華麗なステップでリョウの攻撃を躱しつつ、嘴や足の爪で攻撃を行う。強い。少人数のパーティじゃ普通は対処しきれない強さはある。
ましてやリョウ一人じゃ、やられはしなくても勝ち切れない。最近、そんな奴ばっかり相手にしてる気がするな。
なんて愚痴を言っても始まらん。これが冒険者の仕事ってもんだ。
で、ファダルフォンも倒しきれないと察し、仕切り直そうとしたか、高台に向けて猛スピードで走り出した。だが、リョウがそれを許さない。最高速度になる前に何とか瞬発力で勝って追いつき、魔法のステッキを叩きつけようとする。それを躱すために横っ飛びしたことで、ファダルフォンも再びリョウの方に向き直るしかなかった。なるべく引き付けておいてくれという俺の注文を聞いてくれたんだ。
「そんなつれなくすんなよ! もっと遊ぼうぜえ!!」
さぞかし邪悪な笑みを浮かべながら言ってるんだろうなと感じつつ、役目を果たしてくれてることには感謝する。
「おらおらおらおらおらおらおらおらあっ!!」
相変わらず、声だけ聞いてりゃとても<魔法少女>が発してるものとは思えないそれを耳にしつつ、俺も準備を行う。そこに、魔法障壁で攻撃を弾かれたリョウが、足の爪の一撃を食らい、派手に血飛沫を上げた。
『リョウっ!!』
さすがに思わず声を出してしまいそうになったもののそれは飲み込んで、あいつを信じる。
そしてファダルフォンの方は、とどめの全力攻撃を仕掛けるべく、斜面を駆け上ってくる。普通に考えたらそのまま連続攻撃を繰り出した方がいいような気がするが、そこは所詮は鳥頭か。
そうして駆け上ってきたファダルフォンに、俺は、
「よう。また会ったな」
地面に掘った穴に寝そべった状態で、声を掛けた。
「!?」
俺に気付いたファダルフォンが体を翻そうとしたが、遅い。
「ぶっ飛べ!!」
俺はそう叫びながら、ノータイムで爆発するように、仕掛けた爆弾に魔法で火を点けたのだった。
でもまあそんなことを気にしてても始まらない。とにかく今は作戦を実行するだけだ。
「うおおりゃあああーっ!!」
リョウが雄叫びを上げながら森を駆け抜け、開けたところに出ると、すでにファダルフォンが目の前まで迫っていた。
ゲッ〇ービームを放つには間合いが足りなかったリョウは、魔法のステッキを振り回す。
しかしファダルフォンはそれをひらりと躱し、地面に降り立ってからも華麗なステップでリョウの攻撃を躱しつつ、嘴や足の爪で攻撃を行う。強い。少人数のパーティじゃ普通は対処しきれない強さはある。
ましてやリョウ一人じゃ、やられはしなくても勝ち切れない。最近、そんな奴ばっかり相手にしてる気がするな。
なんて愚痴を言っても始まらん。これが冒険者の仕事ってもんだ。
で、ファダルフォンも倒しきれないと察し、仕切り直そうとしたか、高台に向けて猛スピードで走り出した。だが、リョウがそれを許さない。最高速度になる前に何とか瞬発力で勝って追いつき、魔法のステッキを叩きつけようとする。それを躱すために横っ飛びしたことで、ファダルフォンも再びリョウの方に向き直るしかなかった。なるべく引き付けておいてくれという俺の注文を聞いてくれたんだ。
「そんなつれなくすんなよ! もっと遊ぼうぜえ!!」
さぞかし邪悪な笑みを浮かべながら言ってるんだろうなと感じつつ、役目を果たしてくれてることには感謝する。
「おらおらおらおらおらおらおらおらあっ!!」
相変わらず、声だけ聞いてりゃとても<魔法少女>が発してるものとは思えないそれを耳にしつつ、俺も準備を行う。そこに、魔法障壁で攻撃を弾かれたリョウが、足の爪の一撃を食らい、派手に血飛沫を上げた。
『リョウっ!!』
さすがに思わず声を出してしまいそうになったもののそれは飲み込んで、あいつを信じる。
そしてファダルフォンの方は、とどめの全力攻撃を仕掛けるべく、斜面を駆け上ってくる。普通に考えたらそのまま連続攻撃を繰り出した方がいいような気がするが、そこは所詮は鳥頭か。
そうして駆け上ってきたファダルフォンに、俺は、
「よう。また会ったな」
地面に掘った穴に寝そべった状態で、声を掛けた。
「!?」
俺に気付いたファダルフォンが体を翻そうとしたが、遅い。
「ぶっ飛べ!!」
俺はそう叫びながら、ノータイムで爆発するように、仕掛けた爆弾に魔法で火を点けたのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
転生しました、脳筋聖女です
香月航
恋愛
少々異色なアクション乙女ゲーム世界に転生したのは、かつての廃人プレイヤー。
記憶もバッチリ、いざ戦場で無双!を決意するも……転生先はまさかの儚げ聖女な主人公!?
与えられた技能は回復魔法とサポート特化。でもやっぱり戦いたい突っ込みたい!
そんな聖女(物理)な脳筋少女アンジェラと彼女に振り回される苦労人たちのラブコメディ。恋愛要素? ……ああ、いいヤツだったよ。
【レジーナブックス様より前半部分が書籍化しました】
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる