51 / 100
魔獣ファダルフォン
51ページ
しおりを挟む
<魔獣ファダルフォン>
それが、その村の近くに現れるようになったという魔獣の名前だった。そいつは、でかい鳥の魔獣だそうだ。でかすぎて飛べなくなってるそうだが。
元々は、<ダルフォン>って名前の、鷲に似た猛禽類的な鳥なんだと。それが魔獣化して人を襲い、巨大化。並みの猛獣よりも強いから空を飛んで逃げる必要もなくなったことで、我が物顔で居座ってるらしい。
正直、話を聞いてるだけじゃ、軍が<弩>でも用意して取り囲み、一斉射して弱らせたところに火矢でも射かけてやりゃ倒せそうな気がする。もちろん素人がそれだけの準備をするとなりゃ大変だし、たぶん、武器を用意するだけでもヴォーンローグ銀貨二百枚程度じゃ済まないだろう。
加えて軍はすぐには来てくれない。だから冒険者に依頼する。
そういうことだ。
村から街に産品を届けその帰りに村への物資の輸送を行う馬車に便乗して向かい、
「あんたらが、冒険者……?」
あからさまにがっかりした様子の村長に、
「まあ取り敢えず任せてください」
俺は笑顔で応える。ギルドに支払う仲介料を含むヴォーンローグ銀貨二百二十枚を用意して雇った冒険者が、<細っこいショタ>と<変な恰好をした小娘>じゃ、そりゃそんな様子にもなるだろう。だから結果を出してみせるしかない。
で、村からも見える見晴らしのいい高台に巣食っているという<魔獣ファダルフォン>をとにかく確かめるために、まずは<威力偵察>に出る。
だいたいのところは聞いてるし予測はしてるものの、現物と実際の能力を確認した上で無理なく確実に仕留めたい。
が、
「ふふふ~ん♪」
リョウは久しぶりに暴れられるってんで鼻歌交じりのご機嫌だ。まったく。緊張感のない奴だよ。
なるほど、場合によっちゃこの威力偵察で片付けてしまう可能性もあると考えては向かってるが、しかしあんまり舐めてると痛い目みるぞ。とは思うかな。
と、高台の麓に辿り着いたその時、俺達の視界に、でかい影が。地面すれすれを滑空してくる、幅十五メートルくらいの、鳥。
「ファダルフォンか!?」
俺は叫んだ。まあ、このサイズの鳥は存在しないはずだから、間違いないだろう。しかし空は飛べないと聞いてたが……?
なるほど、『飛んでる』と言うよりは、
<地面効果を活かした滑空>
ってことか。しかも、高いところから低いところへ向けて『落ちてる』形になるから、加速もできると。
このために見晴らしのいい開けた高台を陣地に選んだか。これにより相手の出鼻をくじき、戦いを有利に進めようという感じだな。
こいつ、思ったよりも頭もよさそうだぞ。
それが、その村の近くに現れるようになったという魔獣の名前だった。そいつは、でかい鳥の魔獣だそうだ。でかすぎて飛べなくなってるそうだが。
元々は、<ダルフォン>って名前の、鷲に似た猛禽類的な鳥なんだと。それが魔獣化して人を襲い、巨大化。並みの猛獣よりも強いから空を飛んで逃げる必要もなくなったことで、我が物顔で居座ってるらしい。
正直、話を聞いてるだけじゃ、軍が<弩>でも用意して取り囲み、一斉射して弱らせたところに火矢でも射かけてやりゃ倒せそうな気がする。もちろん素人がそれだけの準備をするとなりゃ大変だし、たぶん、武器を用意するだけでもヴォーンローグ銀貨二百枚程度じゃ済まないだろう。
加えて軍はすぐには来てくれない。だから冒険者に依頼する。
そういうことだ。
村から街に産品を届けその帰りに村への物資の輸送を行う馬車に便乗して向かい、
「あんたらが、冒険者……?」
あからさまにがっかりした様子の村長に、
「まあ取り敢えず任せてください」
俺は笑顔で応える。ギルドに支払う仲介料を含むヴォーンローグ銀貨二百二十枚を用意して雇った冒険者が、<細っこいショタ>と<変な恰好をした小娘>じゃ、そりゃそんな様子にもなるだろう。だから結果を出してみせるしかない。
で、村からも見える見晴らしのいい高台に巣食っているという<魔獣ファダルフォン>をとにかく確かめるために、まずは<威力偵察>に出る。
だいたいのところは聞いてるし予測はしてるものの、現物と実際の能力を確認した上で無理なく確実に仕留めたい。
が、
「ふふふ~ん♪」
リョウは久しぶりに暴れられるってんで鼻歌交じりのご機嫌だ。まったく。緊張感のない奴だよ。
なるほど、場合によっちゃこの威力偵察で片付けてしまう可能性もあると考えては向かってるが、しかしあんまり舐めてると痛い目みるぞ。とは思うかな。
と、高台の麓に辿り着いたその時、俺達の視界に、でかい影が。地面すれすれを滑空してくる、幅十五メートルくらいの、鳥。
「ファダルフォンか!?」
俺は叫んだ。まあ、このサイズの鳥は存在しないはずだから、間違いないだろう。しかし空は飛べないと聞いてたが……?
なるほど、『飛んでる』と言うよりは、
<地面効果を活かした滑空>
ってことか。しかも、高いところから低いところへ向けて『落ちてる』形になるから、加速もできると。
このために見晴らしのいい開けた高台を陣地に選んだか。これにより相手の出鼻をくじき、戦いを有利に進めようという感じだな。
こいつ、思ったよりも頭もよさそうだぞ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています
ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら
目の前に神様がいて、
剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに!
魔法のチート能力をもらったものの、
いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、
魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ!
そんなピンチを救ってくれたのは
イケメン冒険者3人組。
その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに!
日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
伯爵夫人のお気に入り
つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。
数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。
喜ぶ伯爵夫人。
伯爵夫人を慕う少女。
静観する伯爵。
三者三様の想いが交差する。
歪な家族の形。
「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」
「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」
「家族?いいえ、貴方は他所の子です」
ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。
「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。
家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる