50 / 100
逗留
50ページ
しおりを挟む
こうして翌日は、俺とリョウが<魔獣退治>。ノーラは引き続き<引っ越し作業>という形で仕事に出ることになった。プリムラはノーラから見えるところで待っててもらう。
しかも待ってる間、読み書きの自習もしてもらえば、一石二鳥だな。
一応、この街には<学校>もあるものの、当然、入学するには金が要る。となれば金を稼がないと結局はどうにもならん。
ま、その点、原野で暮らせば金は必要なくなるけどよ。必要な食料を狩猟や採集という形で賄うことにはなるが、それさえなんとかなりゃ生きてはいけるんだ。前世ほど、
『金がなきゃ生きることもままならない』
ような社会じゃないんだよ。一応、
<原野に思えても誰かの所有地>
ということもあるにはあるが、どうしたって管理が行き届かないこともあって、勝手に狩猟しても採集しても、気付かれなきゃお咎めなし、ってか、『咎めようがない』ってのも事実なんだ。
その辺りについては、前世よりもかなり緩い。前世じゃ、どこ行っても誰かの所有地だったりするからな。で、勝手に入り込んで猟をしたり生ってるものを勝手に採れば罪に問われる。
『どっちが正しい』って話じゃねえ。そういう社会なら折り合うしかないってことだ。代わりにここは、社会保障は充実してないしな。<生活保護>なんてものも存在しない。その分、
『原野に住んで利用されてない資源で生きていく分には大目に見てもらえる』
ってだけの話だよ。どっちの世界でも取り敢えず生きるための手段はまああるってこった。
あれじゃねえか? 前世における<ニート>って奴も、自分が生きていける程度の食糧が確保できる原野にでも放り込んでやれば、勝手に生きていくんじゃないか?
動かなきゃ死ぬだけでも、動けば取り敢えず食糧が得られて命が確保できるならやるかもな。しかもそれなら、煩わしい人間関係に悩まされることはないだろ? 腹が減ったら食いもんを探しに行って、腹が膨れりゃ寝てればいい。
悪くねえと思うけどな。
……ん? そう考えたら、昔だって『ニートがいなかった』ってわけじゃなくて、
『社会に適応できない奴でもなにがしかの形で生きられる道があった』
ってだけのことか……?
なんてことも思いつつ、俺はリョウと一緒に、魔獣が出るという場所へと向かった。そこは、街から馬車で半日という場所にある小さな村だった。村の近くに魔獣が出るから退治してくれっていう依頼だ。
街には軍も駐留してるが、この手の僻地の村とかについてはいちいち軍を派遣してたら金がかかって仕方ない。しかも兵士が怪我でもしたら補償もしなきゃならない。その点、冒険者については、冒険者ギルドで加入できる保険はあるが、それ以外の補償は一切ないんだよな。
が、<死ねない者>な俺にはそれこそ関係ねえし、リョウも魔法で自分を強化してるから滅多なことじゃ潰れねえしで、まさしくうってつけなんだ。
しかも待ってる間、読み書きの自習もしてもらえば、一石二鳥だな。
一応、この街には<学校>もあるものの、当然、入学するには金が要る。となれば金を稼がないと結局はどうにもならん。
ま、その点、原野で暮らせば金は必要なくなるけどよ。必要な食料を狩猟や採集という形で賄うことにはなるが、それさえなんとかなりゃ生きてはいけるんだ。前世ほど、
『金がなきゃ生きることもままならない』
ような社会じゃないんだよ。一応、
<原野に思えても誰かの所有地>
ということもあるにはあるが、どうしたって管理が行き届かないこともあって、勝手に狩猟しても採集しても、気付かれなきゃお咎めなし、ってか、『咎めようがない』ってのも事実なんだ。
その辺りについては、前世よりもかなり緩い。前世じゃ、どこ行っても誰かの所有地だったりするからな。で、勝手に入り込んで猟をしたり生ってるものを勝手に採れば罪に問われる。
『どっちが正しい』って話じゃねえ。そういう社会なら折り合うしかないってことだ。代わりにここは、社会保障は充実してないしな。<生活保護>なんてものも存在しない。その分、
『原野に住んで利用されてない資源で生きていく分には大目に見てもらえる』
ってだけの話だよ。どっちの世界でも取り敢えず生きるための手段はまああるってこった。
あれじゃねえか? 前世における<ニート>って奴も、自分が生きていける程度の食糧が確保できる原野にでも放り込んでやれば、勝手に生きていくんじゃないか?
動かなきゃ死ぬだけでも、動けば取り敢えず食糧が得られて命が確保できるならやるかもな。しかもそれなら、煩わしい人間関係に悩まされることはないだろ? 腹が減ったら食いもんを探しに行って、腹が膨れりゃ寝てればいい。
悪くねえと思うけどな。
……ん? そう考えたら、昔だって『ニートがいなかった』ってわけじゃなくて、
『社会に適応できない奴でもなにがしかの形で生きられる道があった』
ってだけのことか……?
なんてことも思いつつ、俺はリョウと一緒に、魔獣が出るという場所へと向かった。そこは、街から馬車で半日という場所にある小さな村だった。村の近くに魔獣が出るから退治してくれっていう依頼だ。
街には軍も駐留してるが、この手の僻地の村とかについてはいちいち軍を派遣してたら金がかかって仕方ない。しかも兵士が怪我でもしたら補償もしなきゃならない。その点、冒険者については、冒険者ギルドで加入できる保険はあるが、それ以外の補償は一切ないんだよな。
が、<死ねない者>な俺にはそれこそ関係ねえし、リョウも魔法で自分を強化してるから滅多なことじゃ潰れねえしで、まさしくうってつけなんだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~
海獺屋ぼの
ライト文芸
ある日、女子校に通う夏木聖那は『魔法少女募集』という奇妙な求人広告を見つけた。
そして彼女はその求人の日当二万円という金額に目がくらんで週末限定の『魔法少女』をすることを決意する。
そんな普通の女子高生が魔法少女のアルバイトを通して大人へと成長していく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
風ノ旅人
東 村長
ファンタジー
風の神の寵愛『風の加護』を持った少年『ソラ』は、突然家から居なくなってしまった母の『フーシャ』を探しに旅に出る。文化も暮らす種族も違う、色んな国々を巡り、個性的な人達との『出会いと別れ』を繰り返して、世界を旅していく——
これは、主人公である『ソラ』の旅路を記す物語。
桐壺の更衣になるはずだった私は受領の妻を目指します
白雪の雫
恋愛
美容オタクというか休みの日は料理を作ったり、アロマオイルマッサージをしたり、アロマオイルを垂らしてバスタイムを楽しんでいるアラフィフ女な私こと桐谷 瑞穂はどうやら【平安艶話~光源氏の恋~】という源氏物語がベースになっている乙女ゲームに似た世界に、それも入内したら桐壺の更衣と呼ばれる女性に転生した・・・らしい。
だって、私の父親が按察使の大納言で母親が皇族だったのだもの!
桐壺の更衣ってあれよね?
父親が生きていれば女御として入内出来ていたかも知れないのに、父親が居ない為に更衣として入内するしかなかった、帝に愛されちゃったが故に妃達だけではなく公達からも非難されていた大納言家の姫にして主人公である光源氏の母親。
そして主人公が母親の面影を求めて数多の姫達に手を出すと同時に、彼女達を苦しめ不幸となる切っ掛けともなった女性──・・・。
ゲームでは父親の遺言から幼い光源氏を残して逝くところまでが語られるけど、実は後見人が居ない状態で入内する前に私を心配して保護しようとしてくれている年上男性の存在が語られているし立ち姿もちゃんとあるのよね~。
その男性は智寿といって受領で超金持ち!長身のゴリマッチョ!しかもセクシーな低音ボイス!
実は女性受けしそうな外見をしている帝や光源氏、頭中将達といったキャラよりも筋骨隆々な智寿様が推しだったのよね~♡
今の私は大納言の姫とはいえ根は二十一世紀の日本で生きていた庶民。
そんな私が帝の妃として・・・否!何もかも占いで行動が決められるという窮屈な場所で生きて行けるはずがない!
よしっ!決めた!
二十一世紀・・・とは言わないけれど、せめて健康的で清潔な生活を送る為に私は智寿様の妻になる!!!
私が入内しなければ藤壺も葵の上も六条の御息所も・・・皆不幸にならないもの!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義です。
異世界ブンドド ~夢とロマンに生きる王女~
あてだよ
ファンタジー
ブンドドしたい!
それだけを夢見た一人の女の子が、転生を切っ掛けに夢とロマンを追い求める物語。
飛行機事故で只一人死亡した主人公は、神様からロボット物の映像作品を見放題のスキルをもらい受け、異世界アークにある王国の王女、ティアル・ノインクーゲルへと転生を遂げる。
SFとは真逆の、剣と魔法の世界で、ティアルは巨大ロボへの憧れを実現するべく、一人突っ走る。
跼蹐のゴーレムマスター~ビビリ少女ラヴィポッドはゴーレムに乗って~
現 現世
ファンタジー
森で作物を育てながらひっそりと暮らす少女──ラヴィポッド。
彼女はとある魔術を成功させた。
古代に用いられていた、失われた魔術。
『ゴーレム錬成』
主の命令に忠実な自動人形──ゴーレムを作り出す魔術。
臆病な少女は母を探すため、ゴーレムと共に冒険に出る。
体を丸めてガクブルと震える姿から、少女は後にこう呼ばれた。
『跼蹐のゴーレムマスター』と。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる