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逗留

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こうして翌日は、俺とリョウが<魔獣退治>。ノーラは引き続き<引っ越し作業>という形で仕事に出ることになった。プリムラはノーラから見えるところで待っててもらう。

しかも待ってる間、読み書きの自習もしてもらえば、一石二鳥だな。

一応、この街には<学校>もあるものの、当然、入学するには金が要る。となれば金を稼がないと結局はどうにもならん。

ま、その点、原野で暮らせば金は必要なくなるけどよ。必要な食料を狩猟や採集という形で賄うことにはなるが、それさえなんとかなりゃ生きてはいけるんだ。前世ほど、

『金がなきゃ生きることもままならない』

ような社会じゃないんだよ。一応、

<原野に思えても誰かの所有地>

ということもあるにはあるが、どうしたって管理が行き届かないこともあって、勝手に狩猟しても採集しても、気付かれなきゃお咎めなし、ってか、『咎めようがない』ってのも事実なんだ。

その辺りについては、前世よりもかなり緩い。前世じゃ、どこ行っても誰かの所有地だったりするからな。で、勝手に入り込んで猟をしたり生ってるものを勝手に採れば罪に問われる。

『どっちが正しい』って話じゃねえ。そういう社会なら折り合うしかないってことだ。代わりにここは、社会保障は充実してないしな。<生活保護>なんてものも存在しない。その分、

『原野に住んで利用されてない資源で生きていく分には大目に見てもらえる』

ってだけの話だよ。どっちの世界でも取り敢えず生きるための手段はまああるってこった。

あれじゃねえか? 前世における<ニート>って奴も、自分が生きていける程度の食糧が確保できる原野にでも放り込んでやれば、勝手に生きていくんじゃないか?

動かなきゃ死ぬだけでも、動けば取り敢えず食糧が得られて命が確保できるならやるかもな。しかもそれなら、煩わしい人間関係に悩まされることはないだろ? 腹が減ったら食いもんを探しに行って、腹が膨れりゃ寝てればいい。

悪くねえと思うけどな。

……ん? そう考えたら、昔だって『ニートがいなかった』ってわけじゃなくて、

『社会に適応できない奴でもなにがしかの形で生きられる道があった』

ってだけのことか……?

なんてことも思いつつ、俺はリョウと一緒に、魔獣が出るという場所へと向かった。そこは、街から馬車で半日という場所にある小さな村だった。村の近くに魔獣が出るから退治してくれっていう依頼だ。

街には軍も駐留してるが、この手の僻地の村とかについてはいちいち軍を派遣してたら金がかかって仕方ない。しかも兵士が怪我でもしたら補償もしなきゃならない。その点、冒険者については、冒険者ギルドで加入できる保険はあるが、それ以外の補償は一切ないんだよな。

が、<死ねない者>な俺にはそれこそ関係ねえし、リョウも魔法で自分を強化してるから滅多なことじゃ潰れねえしで、まさしくうってつけなんだ。

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