34 / 100
プリムラ
34ページ
しおりを挟む
女の子は、プリムラは、リシャールやシャミーレとすごく仲良くなっていた。特にシャミーレはプリムラのことが気に入ったらしいとリシャールが話してくれた。
するとプリムラがシャミーレを抱いて、そっと撫でて……
はっきり言って虫のような頭だけの気持ち悪いオブジェ同然のそれなのに、プリムラは本当に愛おしそうに撫でるんだ。それがシャミーレも気持ちいいのか、なんか落ち着いてる感じがする。
「驚いたな。シャミーレがこんなに他人に懐くなんて……」
リシャール自身が戸惑ってる感覚が伝わってくる。
「俺達は人間に対してもあんまりいい思い出がなかったし、嫌な目にも遭ってきたからシャミーレは特に他人を怖がるようになってたんだ。プリムラが子供だからっていうのもあるかもしれないが、子供でも酷い奴は酷かったし」
まあ、そうだろうな。前世でのイジメとか考えても、えげつないのは本当にえげつなかったみたいだし。だけどプリムラはそういうタイプじゃないのは、俺にも分かる。だからシャミーレも心を許せたのかもしれないな。
ところで、リシャールとシャミーレは、今、水と小さな果実以外はまったく口にしていない。というのも、頭だけだから、顎を動かすこともできないんだ、果実についても、『食べている』というよりも、口に含んで染み出てくる果汁を味わってるだけと言った方がいいだろう。
しかし二人とも再生者だから、俺と同じく食べなくても死なない。この世界の大気に含まれる<マナ>を取り込んでそれで生命活動を維持できるんだ。
ただ、渇きや空腹感はあるから、それを少しでも紛らわせようということで、水や果実を口に入れてもらうわけだ。
プリムラに。
プリムラも、この気持ち悪いオブジェと化した二人のために、丁寧に水を口に含ませ、果実を口に入れてくれる。その姿はもはや<介護>だな。
彼女にしてみても、家族や仲間を喪ったことの一応の穴埋めみたいな意味があるのかもしれない。
それが事実かどうかは別にして、嫌々やってるわけじゃないし、任せておけばいいと思う。
その甲斐あってのことなのかどうかは分からないにしても、リシャールとシャミーレの<体>も、少しずつ大きくなってきてるようだ。この調子だと数ヶ月もすれば少なくとも子供程度の大きさにはなるかもしれない。
となれば俺は背負うのもつらくなってくるし、その辺りはまた何か考えなきゃいけないか。乳母車みたいなのがどこかで手に入ればいいんだが。
するとプリムラがシャミーレを抱いて、そっと撫でて……
はっきり言って虫のような頭だけの気持ち悪いオブジェ同然のそれなのに、プリムラは本当に愛おしそうに撫でるんだ。それがシャミーレも気持ちいいのか、なんか落ち着いてる感じがする。
「驚いたな。シャミーレがこんなに他人に懐くなんて……」
リシャール自身が戸惑ってる感覚が伝わってくる。
「俺達は人間に対してもあんまりいい思い出がなかったし、嫌な目にも遭ってきたからシャミーレは特に他人を怖がるようになってたんだ。プリムラが子供だからっていうのもあるかもしれないが、子供でも酷い奴は酷かったし」
まあ、そうだろうな。前世でのイジメとか考えても、えげつないのは本当にえげつなかったみたいだし。だけどプリムラはそういうタイプじゃないのは、俺にも分かる。だからシャミーレも心を許せたのかもしれないな。
ところで、リシャールとシャミーレは、今、水と小さな果実以外はまったく口にしていない。というのも、頭だけだから、顎を動かすこともできないんだ、果実についても、『食べている』というよりも、口に含んで染み出てくる果汁を味わってるだけと言った方がいいだろう。
しかし二人とも再生者だから、俺と同じく食べなくても死なない。この世界の大気に含まれる<マナ>を取り込んでそれで生命活動を維持できるんだ。
ただ、渇きや空腹感はあるから、それを少しでも紛らわせようということで、水や果実を口に入れてもらうわけだ。
プリムラに。
プリムラも、この気持ち悪いオブジェと化した二人のために、丁寧に水を口に含ませ、果実を口に入れてくれる。その姿はもはや<介護>だな。
彼女にしてみても、家族や仲間を喪ったことの一応の穴埋めみたいな意味があるのかもしれない。
それが事実かどうかは別にして、嫌々やってるわけじゃないし、任せておけばいいと思う。
その甲斐あってのことなのかどうかは分からないにしても、リシャールとシャミーレの<体>も、少しずつ大きくなってきてるようだ。この調子だと数ヶ月もすれば少なくとも子供程度の大きさにはなるかもしれない。
となれば俺は背負うのもつらくなってくるし、その辺りはまた何か考えなきゃいけないか。乳母車みたいなのがどこかで手に入ればいいんだが。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。




幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界起動兵器ゴーレム
ヒカリ
ファンタジー
高校生鬼島良太郎はある日トラックに
撥ねられてしまった。そして良太郎
が目覚めると、そこは異世界だった。
さらに良太郎の肉体は鋼の兵器、
ゴーレムと化していたのだ。良太郎が
目覚めた時、彼の目の前にいたのは
魔術師で2級冒険者のマリーネ。彼女は
未知の世界で右も左も分からない状態
の良太郎と共に冒険者生活を営んで
いく事を決めた。だがこの世界の裏
では凶悪な影が……良太郎の異世界
でのゴーレムライフが始まる……。
ファンタジーバトル作品、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる