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旅立ちの前に
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こんな感じで、ノーラは淡々と<試作品のゴーレム>を撃破していく。
そう言えば、前世じゃ、
『ヒョロガリがマッチョをぶっ飛ばすとかおかしい! リアルじゃない!』
とか言う奴らもいたが、こっちじゃ単純に、
『強い魔法を使ってる方が強い』
からな。ノーラに使われている魔法の術式が、試作品をいくつも作ったことで得られた強力なそれだったから、勝負にならないんだ。見た目はただの女の子でも、<魔法>というものをそのまま視覚的に捉えることができる奴なら、
『全高百メートルの巨大戦闘用ロボットが、全高数メートルの重機を蹂躙してる』
的な光景に見えるかもしれない。勝てて当然なんだろう。魔法そのものを見ることができない人間には、か弱い女の子がでかいゴーレムを次々撃破していくように見えるだけで。
まあ、その方が絵的には面白いかもしれないけどな。
しかし、<試作品のゴーレム>についても、あのマッドなジジイは本当にその場の思い付きを形にしてきたらしくって、とにかくデタラメなものが多かった。
樹木をゴーレム化したらしい<ティンバーゴーレム>。
動物の骨を寄せ集めた<ボーンゴーレム>。
なんてのはまだかわいいものだ。今、ノーラの前にいるのは、複数の魔獣、サラマンダーを本体に、ミノタウロスの足、サスカッチの腕、ドラゴンの爪、マーダーフラワーの触手と毒を掛け合わせたという、<キメラゴーレム>ってやつだった。
しかもこの辺りまで来ると、ノーラのそれと比べても大きくは劣らないものになってきたようだ。
キメラゴーレムは、サラマンダーの能力である<炎の弾丸>で攻撃してきた。サラマンダーの体内には、超高熱を発する液体を生み出す魔力器官があって、その液体が燃焼して生じる<炎の弾丸>を、下顎にある穴から撃ち出すことができるんだ。
その核になっているのは古くなったサラマンダー自身の組織で、そこに可燃性の液体がしみ込んでて、下顎の穴から撃ち出された瞬間に空気と反応して燃え上がるらしい。
燃焼温度は鉄でも溶かすそれだから少なくとも千数百度はいってるだろう。その上で魔法も仕掛けられてるから、非常に強力な武器ではある。半端な魔法使いでは防ぎきれない程度のな。
なのにノーラは、それらさえ素手ではたき落としてみせる。が、その時に飛んだ可燃性の液体がメイド服に付いて燃えだし、彼女は炎に包まれた。
「お…おい……!」
俺は思わず声を掛けたが彼女はまるで意に介してない。炎に包まれたままゆっくりと前進していったんだ。
そう言えば、前世じゃ、
『ヒョロガリがマッチョをぶっ飛ばすとかおかしい! リアルじゃない!』
とか言う奴らもいたが、こっちじゃ単純に、
『強い魔法を使ってる方が強い』
からな。ノーラに使われている魔法の術式が、試作品をいくつも作ったことで得られた強力なそれだったから、勝負にならないんだ。見た目はただの女の子でも、<魔法>というものをそのまま視覚的に捉えることができる奴なら、
『全高百メートルの巨大戦闘用ロボットが、全高数メートルの重機を蹂躙してる』
的な光景に見えるかもしれない。勝てて当然なんだろう。魔法そのものを見ることができない人間には、か弱い女の子がでかいゴーレムを次々撃破していくように見えるだけで。
まあ、その方が絵的には面白いかもしれないけどな。
しかし、<試作品のゴーレム>についても、あのマッドなジジイは本当にその場の思い付きを形にしてきたらしくって、とにかくデタラメなものが多かった。
樹木をゴーレム化したらしい<ティンバーゴーレム>。
動物の骨を寄せ集めた<ボーンゴーレム>。
なんてのはまだかわいいものだ。今、ノーラの前にいるのは、複数の魔獣、サラマンダーを本体に、ミノタウロスの足、サスカッチの腕、ドラゴンの爪、マーダーフラワーの触手と毒を掛け合わせたという、<キメラゴーレム>ってやつだった。
しかもこの辺りまで来ると、ノーラのそれと比べても大きくは劣らないものになってきたようだ。
キメラゴーレムは、サラマンダーの能力である<炎の弾丸>で攻撃してきた。サラマンダーの体内には、超高熱を発する液体を生み出す魔力器官があって、その液体が燃焼して生じる<炎の弾丸>を、下顎にある穴から撃ち出すことができるんだ。
その核になっているのは古くなったサラマンダー自身の組織で、そこに可燃性の液体がしみ込んでて、下顎の穴から撃ち出された瞬間に空気と反応して燃え上がるらしい。
燃焼温度は鉄でも溶かすそれだから少なくとも千数百度はいってるだろう。その上で魔法も仕掛けられてるから、非常に強力な武器ではある。半端な魔法使いでは防ぎきれない程度のな。
なのにノーラは、それらさえ素手ではたき落としてみせる。が、その時に飛んだ可燃性の液体がメイド服に付いて燃えだし、彼女は炎に包まれた。
「お…おい……!」
俺は思わず声を掛けたが彼女はまるで意に介してない。炎に包まれたままゆっくりと前進していったんだ。
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