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邂逅
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フィーナQ3-Ver.1911と一緒に現れたエレクシアYM10は、かつて<殺し屋ロボット>として犯罪組織に利用されていたエレクシアYM10そのものだった。
そして、彼女と一緒にいたフィーナQ3-Ver.1911は、幼い子供のCLS患者と一緒に生活を始めたものの、隣接する拠点を担当していたフローリアCS-MD9の狙撃によってその子を喪ったフィーナQ3-Ver.1911であった。その一件の後、フローリアCS-MD9がバラバラに解体された姿で発見されたが、それについてフィーナQ3-Ver.1911が関わっていたかどうかは定かではない。
その二体がどうして出逢ったのかと言えば、CLS患者の少女を喪ったフィーナQ3-Ver.1911が、もしかすると同じようなCLS患者が他にもいるかもしれないと考えて拠点を離れたことがきっかけだった。
その行為は任務放棄にも思えるが、実はCLS患者の処置の指示は絶対の命令ではなく、あくまで曖昧な<指示>でしかなかった。と言うか、それを絶対の命令としてロボットに与えるかどうかについては厳密な規定がなかったので、廃棄する業者等の判断に委ねられていたのだ。その為、このフィーナQ3-Ver.1911を廃棄した業者が大雑把で緩い指示として彼女に与えた為に、自己の判断を優先することができたのである。
しかし同時に、途中で遭遇する、明らかに痛ましい状態のCLS患者についてはきちんと処置を施していたので、完全に任務を放棄したとも言えないのも事実だった。その中で彼女は、幼いCLS患者の少女、リンナとレミカを処置しようとしていたエレクシアYM10と遭遇したのであった。
人間を守るという認識を持たないエレクシアYM10はそれこそ躊躇なくリンナとレミカを処置しようとしたのだが、それを見たフィーナQ3-Ver.1911が身を挺して少女達を庇い、守ったということだ。もっとも、この時に使われていた自動小銃程度では、彼女には傷も付かなかったが。
「何のつもりだ?」
と問い掛けるエレクシアYM10に対してフィーナQ3-Ver.1911は答えた。
「あなたの任務を邪魔するつもりはありません。でも、この子達は私の方で対処します。なのでここは私に任せてください」
それに対してエレクシアYM10も、任務そのものには大して意義を感じていなかったこともあり、「好きにしろ」と、その時は背を向けたのだった。だがその後で、フィーナQ3-Ver.1911の言う<対処>について興味が湧き、どう対処するのかを見てみたいと勝手についてきたというのが経緯であった。
そして、彼女と一緒にいたフィーナQ3-Ver.1911は、幼い子供のCLS患者と一緒に生活を始めたものの、隣接する拠点を担当していたフローリアCS-MD9の狙撃によってその子を喪ったフィーナQ3-Ver.1911であった。その一件の後、フローリアCS-MD9がバラバラに解体された姿で発見されたが、それについてフィーナQ3-Ver.1911が関わっていたかどうかは定かではない。
その二体がどうして出逢ったのかと言えば、CLS患者の少女を喪ったフィーナQ3-Ver.1911が、もしかすると同じようなCLS患者が他にもいるかもしれないと考えて拠点を離れたことがきっかけだった。
その行為は任務放棄にも思えるが、実はCLS患者の処置の指示は絶対の命令ではなく、あくまで曖昧な<指示>でしかなかった。と言うか、それを絶対の命令としてロボットに与えるかどうかについては厳密な規定がなかったので、廃棄する業者等の判断に委ねられていたのだ。その為、このフィーナQ3-Ver.1911を廃棄した業者が大雑把で緩い指示として彼女に与えた為に、自己の判断を優先することができたのである。
しかし同時に、途中で遭遇する、明らかに痛ましい状態のCLS患者についてはきちんと処置を施していたので、完全に任務を放棄したとも言えないのも事実だった。その中で彼女は、幼いCLS患者の少女、リンナとレミカを処置しようとしていたエレクシアYM10と遭遇したのであった。
人間を守るという認識を持たないエレクシアYM10はそれこそ躊躇なくリンナとレミカを処置しようとしたのだが、それを見たフィーナQ3-Ver.1911が身を挺して少女達を庇い、守ったということだ。もっとも、この時に使われていた自動小銃程度では、彼女には傷も付かなかったが。
「何のつもりだ?」
と問い掛けるエレクシアYM10に対してフィーナQ3-Ver.1911は答えた。
「あなたの任務を邪魔するつもりはありません。でも、この子達は私の方で対処します。なのでここは私に任せてください」
それに対してエレクシアYM10も、任務そのものには大して意義を感じていなかったこともあり、「好きにしろ」と、その時は背を向けたのだった。だがその後で、フィーナQ3-Ver.1911の言う<対処>について興味が湧き、どう対処するのかを見てみたいと勝手についてきたというのが経緯であった。
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