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これは世界がひっくり返るぞ……!

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この辺りは向こうの西ヨーロッパ辺りと同じで緯度が高いのか、日本ほどは夏も暑くなかった。文化だけでなく気候的にも似てるんだろうな。技術的にまだ正確な地図じゃないみたいだけど、取り敢えず地図を見る限りはユーラシア大陸に似た形の大陸にあるらしい。

一口に<異世界>と言ったって、大まかに分けて、完全に別の世界っていう場合と、平行世界的な、地球とは微妙に異なる歴史を辿った世界っていう、二種類のパターンがあるように思う。私が今いるところは、地図を見た時に後者かなっていう気がした。

元居た世界と違って魔法というものが自然に存在することで異なる歴史を辿ってる感じかもしれない。

だから、もしかしたら東の方に行くと日本に相当する国もあったりするのかな。ちょっと見てみたい気もする。ただ、今が例え大航海時代のように海を越えて様々なところへ行ってる頃だとしても、日本となるとそれこそ異世界のような未知の世界だっただろうし、簡単にはいかないだろうなあ。

それに、話を聞く限りじゃまだそこまで行ってさえないみたいだし。

大航海時代って十五世紀頃からだったっけ?。歴史はあまり得意じゃないから自信ないけど、たぶんそれが始まる前ぐらいなのかなあ。今は。

なんてことも考えてるうちに、小麦畑はなかなか壮観な景色になってた。大規模農法とかを見慣れてた私にとっては別に特別じゃなくても、ここの人達にとってはさすがに言葉を失うレベルだったらしい。小麦畑の大きさもそうだけど、小麦そのものの生育具合もまるで違うって。

「すげえ……ホントにすげえな。としか言いようがないぜ」

子供の頃から畑を手伝ったりしてたバンクハンマでも見たことない光景に、彼も興奮が抑えきれないみたいだった。

もちろんそれは、バンクハンマに限ったことじゃない。多少なりとも畑のことを知ってる者は皆、そんな感じだったかな。

メロエリータもね。

「ふふふ……ふはは……! すごいな、まさかこれほどとはな……! 私が工面した金など、この光景を前にすればいかほどのものと言えるのか。レンガトレントの様子も見てきたが、向こうも負けず劣らずだった。

これは世界がひっくり返るぞ……! 我が国の国力は計り知れないものとなる……!!

だが、これを我が国だけが独占しようとするとそれを欲する国との間で間違いなく戦争になるな。少なくとも友好国には早いうちに技術供与せねばなるまい。それによって一層の同盟強化を図るのだ。その上で、対立する諸国との取引材料にもできるだろう。

カリン! 忙しくなるぞ!!」

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