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地球でもこういうことはあったのかな~。細かい歴史はちょっと
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「今年は一・三倍増で終わったけど、来年は例年の二倍の収穫を目指す!」
今年の収穫の殆どが終わった頃、私は、アウラクレアとメロエリータの前でそう宣言させてもらった。
「おお、それは豪儀な話だな。して、勝算は?」
「もちろんある。と言うか、理屈の上ではむしろそうならないとおかしいんだ。今年使った畑も、来年またそのまま使うからね。今年休ませていた畑と合わせて二倍の作付面積になる。しかも堆肥を使って土壌も改良する。これで二倍にならないとしたら、それはどこかおかしいってことだよ」
「確かに。理屈の上ではそうだ。だが、農民達はそれまでのやり方でずっと続けてきてそれに慣れている。作付面積が二倍になれば当然、それだけ人手もいる。しかしその為の労働力がない。となれば、おのずと限界も見えてくる。単純に二倍とはいかないぞ」
さすがにメロエリータはその辺りのことも察していた。アウラクレアも彼女の説明で、
「あ、そうか。畑を見る人が足りなくなるんだ」
と理解できたらしい。
「奴隷を使うという方法もあるし、実際に奴隷に畑仕事をさせている国などもあると聞く。しかし、我がシャフセンバルト家の領地のみならずこの国では<奴隷は汚らわしいもの>という認識が一般的だ。だから食べ物を扱わせることを嫌う。『奴隷が触ったモノとか食えるか!』とか言ってな。
作付面積が二倍になるから収穫も二倍になるとは、軽々に言えん」
本当に、とても十五歳とは思えない思考してるなあ。メロエリータは。
実際、バンクハンマ達も、私の奴隷達でさえ畑に入ることを嫌がる。あくまで堆肥を運んでくるだけならまだいいけど、それ以上は関わらせたくないっていうのが分かる。
最近では多少、奴隷のことを見直してくれてて評価もしてくれるものの、やっぱり長年受け継がれた感覚というのは簡単には覆らないし、バンクハンマ達は良くても、奴隷が触った作物を消費者側が嫌がるとこれまた意味がない。
ましてや領主である貴族に収める税としての作物を奴隷が収穫したなんて、貴族達が認めてくれるとも思えない。
「労働力の確保が問題か…」
こうなると、せっかく子供達は学校に通わせるという習慣が根付いているこの国でも、畑仕事をさせる為に子供達を学校に行かせる暇が無くなるということも起こりえる。それもダメだ。
その時、メロエリータが言った。
「実は、この国ではもう五十年ほど戦乱がなくてな。他国の要請に応じて兵を出すようなことはあってもこの国自体が攻められるということが無くなっている。その所為もあって、正直、兵の能力が下がってきているのだ。父上もそれで頭を悩ませている。
そこで、だ。暇を持て余している兵達に畑を手伝わせようと私は思うのだ」
今年の収穫の殆どが終わった頃、私は、アウラクレアとメロエリータの前でそう宣言させてもらった。
「おお、それは豪儀な話だな。して、勝算は?」
「もちろんある。と言うか、理屈の上ではむしろそうならないとおかしいんだ。今年使った畑も、来年またそのまま使うからね。今年休ませていた畑と合わせて二倍の作付面積になる。しかも堆肥を使って土壌も改良する。これで二倍にならないとしたら、それはどこかおかしいってことだよ」
「確かに。理屈の上ではそうだ。だが、農民達はそれまでのやり方でずっと続けてきてそれに慣れている。作付面積が二倍になれば当然、それだけ人手もいる。しかしその為の労働力がない。となれば、おのずと限界も見えてくる。単純に二倍とはいかないぞ」
さすがにメロエリータはその辺りのことも察していた。アウラクレアも彼女の説明で、
「あ、そうか。畑を見る人が足りなくなるんだ」
と理解できたらしい。
「奴隷を使うという方法もあるし、実際に奴隷に畑仕事をさせている国などもあると聞く。しかし、我がシャフセンバルト家の領地のみならずこの国では<奴隷は汚らわしいもの>という認識が一般的だ。だから食べ物を扱わせることを嫌う。『奴隷が触ったモノとか食えるか!』とか言ってな。
作付面積が二倍になるから収穫も二倍になるとは、軽々に言えん」
本当に、とても十五歳とは思えない思考してるなあ。メロエリータは。
実際、バンクハンマ達も、私の奴隷達でさえ畑に入ることを嫌がる。あくまで堆肥を運んでくるだけならまだいいけど、それ以上は関わらせたくないっていうのが分かる。
最近では多少、奴隷のことを見直してくれてて評価もしてくれるものの、やっぱり長年受け継がれた感覚というのは簡単には覆らないし、バンクハンマ達は良くても、奴隷が触った作物を消費者側が嫌がるとこれまた意味がない。
ましてや領主である貴族に収める税としての作物を奴隷が収穫したなんて、貴族達が認めてくれるとも思えない。
「労働力の確保が問題か…」
こうなると、せっかく子供達は学校に通わせるという習慣が根付いているこの国でも、畑仕事をさせる為に子供達を学校に行かせる暇が無くなるということも起こりえる。それもダメだ。
その時、メロエリータが言った。
「実は、この国ではもう五十年ほど戦乱がなくてな。他国の要請に応じて兵を出すようなことはあってもこの国自体が攻められるということが無くなっている。その所為もあって、正直、兵の能力が下がってきているのだ。父上もそれで頭を悩ませている。
そこで、だ。暇を持て余している兵達に畑を手伝わせようと私は思うのだ」
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