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快人物にしてツルペタロリ。たぶん、稀代の傑物、メロエリータ
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『誰が<面白い顔>じゃ! このクソガキが!』
なんて思ってしまう程に第一印象は最悪だったメロエリータだけど、本人には全く悪気がなく、しかも明朗闊達とした、小さな体とは裏腹の、気持ちのいい女の子だった。
とは言え、最初の頃には、
「おいお前、今、私のことをクソガキとか思っただろう? いくら取り繕っても顔に出てるぞ。こう見えても私はもうすぐ十六だ。その辺りはわきまえてもらおう」
とか、腕を組んでふんぞり返った態度で言われて、ギョッとしつつもかなりムッときたりもしたけどさ。
でも同時に、『十六!?』と驚かされたりもした。ちょっと背の高い、でも十歳くらいの子供かなっていうのが嘘偽りない印象だったから。
なのに、私が『クソガキ』とか思ってたのをずばり言い当てたりしつつも、彼女はそれを強く責めなかった。
「まあいい。私は、能力のある人間が好きだ。お前は優秀だと聞き及んでいる。その伝聞が事実なら、少々の無礼など厭わん」
そう言い放ってニヤリと笑ったその姿は、思わず見惚れてしまうような懐の深さと器の大きさを感じさせた。それが誰かに似てる気がして、不思議と嫌じゃなかった。
そして気が付いたんだ。
『この子、先輩に似てる…!』
って。それに気付いた瞬間、私は彼女を受け入れてたのかもしれない。
事実、メロエリータは、貴族のご令嬢なのに気取ったところのない、悪く言えば品のない、良く言えば厭味のない女の子だった。仕事を終えたリレが私のところに報告に来て自分の視界に入っても、嫌そうな顔を全くしなかった。
身分の高い人間は、かなりの確率で奴隷が自分の視界に入ることを嫌う。『目が穢れる』とか言って。だから奴隷は使いつつも自分の目には触れさせないようにしてたりもした。
なのに彼女は、自分の視界に入ったリレに対して、
「おお、実に勤勉だなお前。感心感心」
と笑い掛けて、貴族の前に姿を出してしまったことに怯えたリレを更に怯えさせたりもした。奴隷が貴族に声を掛けられるなんて、訳の分からない理由で死罪(と言うか<処分>だね)を言い渡される時くらいだし。
その様子からも、私は、メロエリータが普通の貴族とはかなり違うと感じていた。
そんな直感通り、彼女は翌日も訪ねてきて、私の研究についていろいろ尋ねてきた。さすがにきちんと教育も受けてる貴族の子女らしく博識で、しかも自分が初めて目にした事柄、耳にした話についてもすぐにそれを理解することができた。
私が、
「魔法を実現するのに力を貸してくれるという<精霊>は、実は人間の目には見えない程の小さな生き物なのです」
と説明しただけで、
「なんと!? つまり魔法とは、その目に見えない小さな生き物に働きかける技術であったか!」
と応えるくらいだったし。
なんて思ってしまう程に第一印象は最悪だったメロエリータだけど、本人には全く悪気がなく、しかも明朗闊達とした、小さな体とは裏腹の、気持ちのいい女の子だった。
とは言え、最初の頃には、
「おいお前、今、私のことをクソガキとか思っただろう? いくら取り繕っても顔に出てるぞ。こう見えても私はもうすぐ十六だ。その辺りはわきまえてもらおう」
とか、腕を組んでふんぞり返った態度で言われて、ギョッとしつつもかなりムッときたりもしたけどさ。
でも同時に、『十六!?』と驚かされたりもした。ちょっと背の高い、でも十歳くらいの子供かなっていうのが嘘偽りない印象だったから。
なのに、私が『クソガキ』とか思ってたのをずばり言い当てたりしつつも、彼女はそれを強く責めなかった。
「まあいい。私は、能力のある人間が好きだ。お前は優秀だと聞き及んでいる。その伝聞が事実なら、少々の無礼など厭わん」
そう言い放ってニヤリと笑ったその姿は、思わず見惚れてしまうような懐の深さと器の大きさを感じさせた。それが誰かに似てる気がして、不思議と嫌じゃなかった。
そして気が付いたんだ。
『この子、先輩に似てる…!』
って。それに気付いた瞬間、私は彼女を受け入れてたのかもしれない。
事実、メロエリータは、貴族のご令嬢なのに気取ったところのない、悪く言えば品のない、良く言えば厭味のない女の子だった。仕事を終えたリレが私のところに報告に来て自分の視界に入っても、嫌そうな顔を全くしなかった。
身分の高い人間は、かなりの確率で奴隷が自分の視界に入ることを嫌う。『目が穢れる』とか言って。だから奴隷は使いつつも自分の目には触れさせないようにしてたりもした。
なのに彼女は、自分の視界に入ったリレに対して、
「おお、実に勤勉だなお前。感心感心」
と笑い掛けて、貴族の前に姿を出してしまったことに怯えたリレを更に怯えさせたりもした。奴隷が貴族に声を掛けられるなんて、訳の分からない理由で死罪(と言うか<処分>だね)を言い渡される時くらいだし。
その様子からも、私は、メロエリータが普通の貴族とはかなり違うと感じていた。
そんな直感通り、彼女は翌日も訪ねてきて、私の研究についていろいろ尋ねてきた。さすがにきちんと教育も受けてる貴族の子女らしく博識で、しかも自分が初めて目にした事柄、耳にした話についてもすぐにそれを理解することができた。
私が、
「魔法を実現するのに力を貸してくれるという<精霊>は、実は人間の目には見えない程の小さな生き物なのです」
と説明しただけで、
「なんと!? つまり魔法とは、その目に見えない小さな生き物に働きかける技術であったか!」
と応えるくらいだったし。
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