何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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それも<努力>ってものの一つだと思うよ?

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「そこまで言うんなら、見せてもらおうじゃねえか。お前の御託が正しいかどうかをよ」

トカマクラさんは、憮然とした様子でそう言った。もちろん私は、

「はい、さっそく!」

とちょっと有頂天な感じで応えてた。

彼の様子を見てれば、正直なところはもう納得してくれてるんだろうけど、やっぱりちゃんと確かめておきたいっていうのもあるんだろうな。

それがまた素晴らしい。大事なことなんだ。

私は役所に戻って、山になった堆肥の一部を古い樽に詰めて馬車に積み、トカマクラさんのところへと運んでもらった。

トカマクラさんは元々、ここでは評判の作物を作ってみせる人で、町長からも信頼されてる古い知り合いだった。私の話に耳を傾けてくれたのも、実は町長が何度か会いに来て、私がどれだけ熱心に街を救おうとしてるかを話してくれてたおかげみたいだね。

そうだ。こういう意味でも、人の繋がりは大事なんだ。ここまでの誰かを蔑ろにしてたら、それは町長やトカマクラさんの耳に入って、私は信頼されてなかっただろう。

いくらブルクバンクレンさんが根回しをしてくれててもね。

上手くいかないとかなんとか嘆いてる人は、自分がこれまでやってきたことを改めて客観的に省みたらどうかな。その中で誰かを蔑ろにしてきたりしてないかな。そういうのが廻り回って自分に返ってきてるだけかもしれないよ?

誰かの所為にしたり社会の所為にしたりする前に、自分を省みてみようよ。

もちろん、自分には落ち度がなくても上手くいかないことはある。私は他人の所為にしたくないからあまり触れないようにしてるけど、私のしてることだって何度も言うけど何もかもスムーズにいってるわけじゃないんだよ。

実際ここに来てからだって、資金を送ってもらう時、念の為にいくつかの便に分けて送ってもらったんだけど、そのうちの一つが、輸送を担当してた部隊の一部ごと消息を絶つってことがあったんだ。部隊の人間が持ち逃げしたのか盗賊にでも襲われたのかは判然としないけど、まあ、こういうこともある。自分じゃどうしようもないってのもね。

だけどさ、自分のやったことが原因で上手くいかないことがあるなんて、バカバカしいじゃん。自分のやってることなんだから、自分で回避できるはずじゃん。私が軍人達に嫌われてて、それで嫌がらせで持ち逃げされたりしたんだったら、それこそバカみたいだよ。

他人を蔑ろにしてそれで恨みを買って足を引っ張られるとか、情けないじゃん。

だったら回避しようよ。それも<努力>ってものの一つだと思うよ?

私はキリンにそれを伝えていきたい。私の姿で具体的な事例を見せていきたい。

私はあの子の親だからね。他人はあの子に対してそんなことまで教えなきゃいけない義務も義理もない。親である私が教えてあげなきゃいけないんだ。

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