何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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そこを横着すると疑念を持たれてかえって手間が増える

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ここまでウンチ塗れだったら、当然、地下水も汚染されてるだろう。その辺りは、必ず煮沸してからでしか飲用も料理にも使わないことで何とかなってる。

それでも汚染された水を使うことは、現代日本に暮らしてる人にとっては抵抗があるだろうな。私もそうだ。

だけど、魔法使いである私には、水中にいる細菌そのものの存在を感じ取ることができる。

だから水が綺麗かどうかが感覚的に分かるんだ。

もっとも重金属や化学物質までは、そのままじゃ察知できないけどね。

だけどそれも、検出する方法はある。化学物質や重金属を取り込もうとするタイプの微生物をわざと放つと、その反応で分かるからさ。

その方法で水質検査したけど、基本的にはそのままでは飲用にできないレベルの大腸菌がいるだけで、まあ安心した。しっかり煮沸してやったら実際に菌がほぼ死滅したのも確認した。だからこれまで通りの利用方法で大丈夫だ。

ただし、堆肥をまとめて大量に放置してると今度はそれが汚染源になるし、堆肥による汚染は煮沸じゃ綺麗にならない。それどころか煮沸して水分が蒸発するとかえって濃度が高くなる。

だから扱いはより一層注意しないといけなくなる。堆肥化したものはなるべく早いうちに使ってしまわないと。

それと同時に、新しい堆肥の保管場場所を作らないとね。水を通さない。分厚い漆喰で固められた床を持つ、屋根のある保管場所が必要だ。

その工事を、街の大工に発注する。費用はもちろん私持ち。

持ってきた資金がたちまち底を突きかけたから、ヘリーバンクレンの街を包囲する軍隊の中でガルフフラブラ王国から来ている軍隊に随伴している役人を通じてファルトバウゼン王国の大使に連絡を取り、私に対して支払われた役員報酬を、軍の交代を利用して届けてもらった。

また、私がこうして街を包囲する軍隊と接触することでスパイの疑いをかけられないように、ヘリーバンクレンの街の役人にも同行してもらう。

その役人は、<ネズミ食い>に感染していないことを、軍医としてついてきている魔法使いにも確認してもらった。

こうやってそれぞれの立場の人間に何度も確認してもらうことで、潔白であることも担保する。

面倒だけど、面倒だからって手は抜けない。そこを横着すると疑念を持たれてかえって手間が増える。

『急がば回れ』

だよ。

資金も補充し、街に戻って役所の周辺のウンチを堆肥化し、それをまずは役所に仮設した堆肥保管場所へと運んでもらう。

すると、みるみる役所の周りが綺麗になっていった。

もちろんそこにまたウンチが捨てられるけど、同時に、役所の周囲に住む住人達一人一人に事情を説明し、協力を求めたのだった。

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