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うちのスタッフに欲しいくらいだよ

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こうして、議会の方には、費用の一切を私が持つ形での<社会実験>として承認してもらうことにした。

議員の数は二十五人。そのうちの半数以上に既にブルクバンクレンさんが接触して根回しを行ってくれてた。

有能すぎる…!

それでもメロエリータに比べればまだまだかもしれなくても、うちのスタッフに欲しいくらいだよ。

まあ、今回については、彼自身の望みというのもあるんだろうけどさ。そして彼はこうやって根回しはできるけど、『音頭をとる』ということができない。神輿にはなれないタイプだろう。そこを私が受け持つんだ。みんなを扇動して風を起こす。歯車を回す。

こうやって、それぞれが自分の役目を果たすことで物事は動いていく。一人だけの力で動くんじゃないんだよ。

ただ、役所の職員でも、簡単には志願者は集まらなかった。さすがに他人のウンチをどうこうするというのは若干ハードルが高かったか。

でも、二十人が志願してくれて、そのうちの三人に堆肥化魔法の適性があった。

ファルトバウゼン王国では、堆肥化魔法程度なら二十人中十八人くらいは使えるようになるから、比率がほぼ逆だな。ガルフフラブラ王国では二十人中十人くらいだった。奴隷は、最終的には二十人中一人ほどだったか。この辺りは遺伝的なものが影響してる可能性はあるな。

素の身体能力については黒人の人達に優れた才能があるみたいな?

取り敢えず三人だけでも確保できたのは良かった。まずは私を含めた四人で、街を埋め尽くすウンチの堆肥化を始める。

ネズミの捕獲と換金については、狙い通り順調だった。

ただ、意外なことに、子供よりも大人が熱心だったな。特に男性。中には一日で二十匹以上捕まえて持ってきた人もいたそうだ。銀貨二枚相当。約二万円くらいかな。結構な小遣いになるよね。

ネズミを〆るのは家畜業者に頼んだ。元々、家畜の子を齧ったりするってんでネズミを捕まえては〆たりしてたから慣れたものだ。

それらと並行して、ヘリーバンクレン病、いや、<ネズミ食い>の治療も行う。これは、ブラドフォンセス王国から提供された<抗生物質>を使った。正直、私一人で<抗細菌魔法>を使って治療するには負担が大きすぎたからね。

そしてさらに、リオドレクに用意してもらった壊れた樽を半分に切ってもらって、それぞれ<プランター>として土と堆肥を混ぜて入れ、そこに<二十日大根>の種を植えた。そうして芽が出たものをトカマクラさんのところに、

『二十日大根です。これがどう育つか見てください』

というメッセージを添えて持っていってもらったのだった。

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