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そんなことを簡単に俺達みたいなのに話して良かったんですかい?

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『二倍どころか、やり方次第では八倍以上にもできる』

私のその言葉に、

「八倍だと!? バカな……っ!!」

さっきまでは余裕の態度だったリオドレクが、目を見開いて呆気にとられた。

それに対して、私は論理的に説明する。

「単純な話ですよ。作物にもよりますけど、今は一年交代で畑を休ませながら年一回の収穫を得てますよね。でもこの土を使うと、同じやり方をしてても収穫量は倍になります。しかも収穫した次の年は休ませていたのが毎年収穫できるようになって、これで四倍。さらに、同じ畑で年に二回、作物を収穫できるようにもなるから、これで八倍です。

もちろんあくまで単純計算の話だし、作物によってはそこまでできない場合もありますからいつもいつもとはいきませんけど、もう実際にそれで従来の数倍の収穫を上げてる国があるんです」

その話を聞いて、リオドレクはハッとなった。思い当たることがあったようだ。

「ここ何年か、やけに景気の好い国があるってのは話に聞いてたが、もしかしてそれが……?」

「はい、それのことですね。方法そのものはそれぞれの国が機密扱いにしてるみたいであんまり知られてないみたいですけど、仕掛けたのは私です」

腕を組み、やや胸を反らし、私はものすごいドヤ顔でそう言ってみせた。

唖然とした様子でしばらく私を見詰めたリオドレクだったけど、突然、

「ふひっ…!」

と声を上げた。そして、

「あんた、そんなことを簡単に俺達みたいなのに話して良かったんですかい? そんなこと知られたら、あんたを攫ってどっかの国に高値で売りつけたりする奴が出てくるかもしれませんよ?」

と、ものすごく悪い表情かおで笑いながらリオドレクは言った。

だけど私は、彼に対して、

「そんなマネしようとしたら、このブルクバンクレンさんが黙ってませんよ。だから大丈夫です」

って満面の笑顔で返した。その私の言葉を受けて、ブルクバンクレンさんも懐に手を入れて何かを掴んでいる仕草をしてみせる。まるで、私を拉致して馬車の中で斬りかかろうとしてベントに止められた時みたいにね。

それを見て、リオドレクは、すべてを察したようだった。

「お前ら、グルだったってわけか……なるほどなるほど。そりゃあんたらと組んだ方が得だわ、確かに。いいでしょう。商売の話に移りましょう」

さすがに損得の計算が早い。ブルクバンクレンさんの怖さもちゃんと察してるみたいだ。だから私のこのハッタリも効果を発揮した。

ブルクバンクレンさんがいてくれて、しかもちゃんと根回ししてくれてたことで、すごく手間が省けたよ。

ありがとう。

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