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まずそこから協議するっていうのが実にまどろっこしい

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『親の想いはいつか必ず子供に伝わる』

私は、そんなの信じない。実際、私は私の両親の気持ちなんてまったく理解できない。他人を威圧して自分が優位に立とうとするような人のことなんてね。

『自分が親になったら親の気持ちが分かる』

なんて、要するに親がいかに自分自身に甘かったか、甘えてたか、甘えて楽をしたがってたか、自分も親になって同じように甘えて楽をしたいって気持ちになってみて分かったってだけじゃないの?って思ってしまう。

自分の勝手でこの世に送り出した子供のことを本気で考えるんじゃなくて、自分のやりたいことを優先してそのついでで子供の面倒をみてるだけってやり方をしたくなる気持ちが分かるってだけじゃないの?。

でも、そんな両親の下であっても生まれてきたからこそベントやキリンに出逢えたんだ。その点では感謝もしてる。

『死んでしまえばいい』とまでは思ってない。

そもそも私も、キリンのことをさて置いて仕事を優先してるんだから、他人のことは言えないし。

だけど少なくとも、それを理由にキリンが私を恨むようになったとしても、そのこと自体を受け止めなきゃと思ってる。キリンの所為にはしたくない。

ただそれも、もうちょっとキリンが大きくなってきてからの話だろうな。

だから今はとにかく、目先の仕事を片付ける。

と、そんな私の下に、ある知らせが届いた。

同盟国の国の一つで、恐ろしい病が発生したというものだった。

一番恐れていた事態が発生したんだ。

「状況は!?」

ファルトバウゼン王国の大使と一緒に大臣のところに出向いてそう問い掛けるけど、当然、詳しいことまでは分からない。現代の地球みたいに、すぐさま情報が伝わるわけじゃないからね。

でも、さすが事が事だけに、普段は機密扱いで簡単には使わせてもらえない<念話>による情報交換が、同盟国間で協議されることになった。まずそこから協議するっていうのが実にまどろっこしい。

とは言え、国と国との関係ってこういうものだろう。

それでもさすがの緊急事態に、数日後には念話による情報交換が認められることになった。

そこに、私も加わる。

私は<念話>はあまり得意じゃない。魔法の一種ではあるんだけど、魔法の種類によって求められる適性は少しずつ違う。念話に使われる魔法微生物との相性が、私はあまりよくないらしいんだ。

逆に、他の魔法は使えないけど念話だけは使えるっていう人もいたりする。<念話交換士>とか言われたりする人達だ。

でもなあ。この<念話>。信頼性がまだまだなんだよね。というのも、念によって伝わってきた情報を言葉にする時、どうしても念話交換士自身の知識や感性や価値観とかの影響を受けちゃって微妙なニュアンスが変わっちゃったりするんだよ。

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