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これならきっとロクでもない男に騙されたりは
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「ありがとうございます。カリン殿」
ヘリーバンクレンはまだ実際に救われたわけじゃないけど、本格的に動くことになるのはまだ数ヶ月先だけど、救うための下準備を私が始めたことで、ブルクバンクレンさんは私の前で膝をついて深々と頭を下げた。私が本気で動くことが実感できたからだった。
「カリン殿はやはり立派なお方だ。口先だけで結局は動こうとしない者も少なくない中で、自分の言葉に責任を持ってくださる。それだけでもう悔いはない。これでもうヘリーバンクレンがこの世から消え去ったとしても、カリン殿の想いだけで救われた……!」
だって。だけど、
「まだ早いですよ、ブルクバンクレンさん。私はこんなことで満足するつもりはないです。本当にヘリーバンクレンが救われないと納得できません。本番はまだまだ先です……!」
私はそう返した。すると彼は頭を上げて、
「あなたは本当に欲深い方だ。何もかもを手に入れようとなさる。ですが、あなたにはそれができてしまう。私はそういうあなただからこそ、こんな無茶なお願いができた。
私は神を信じないが、あなたをこの世にもたらしてくれたのが神だというのなら、信仰してもいいと思える」
やれやれ。大袈裟だな、
だけどその気持ちは、私にも想像できる気はする。ベントやキリンと出逢えたことが神様のおかげだっていうのなら、私だってそれくらいの気持ちにはなるし。
でも、まだだよ。結果が出るまで満足しちゃいけない。ここで満足してたら、手に入れられるものも手に入らない。
何かを成し遂げる人間って、ある意味じゃ強欲なんだ。それを手に入れるまで突き進むんだよ。たとえ時間はかけても、回り道をしてでも、止まらずに。
私はヘリーバンクレンの人々の命を手にれる。そのために必要なことはする。簡単には諦めない。
顔を合わせたこともない、言葉を交わしたこともない人々だけど、そこにも人の暮らしがあって、キリンのような子がいるのは間違いない。
その一方で、もし、キリンの命とヘリーバンクレンの人達の命とを秤に掛けられたら、私は迷わずキリンの命を取る。相手が何千人だろうと関係ない。
でもね、今はそうじゃないよ。どっちを取るかって話じゃない。だったら私は強欲になる。
ヘリーバンクレンを救う。手に入れる。
私にはそれができる<力>があるから。
翌日、ブルクバンクレンさんは滞在期限が切れたことで、一旦、ガルフフラブラ王国を出ることになった。
「また理由を作ってお伺いします。それまでの間にも何か必要なことがあればお知らせください。力になります」
そう言って彼は、力強く握手を交わした。
ただ、ベントに抱かれたキリンを見てフッと表情を緩めて、
「結局、彼女には最後まで気を許してもらえませんでしたね。でも、利口な子です。これならきっとロクでもない男に騙されたりはしないでしょう」
と、どこか嬉しそうに笑ったのだった。
ヘリーバンクレンはまだ実際に救われたわけじゃないけど、本格的に動くことになるのはまだ数ヶ月先だけど、救うための下準備を私が始めたことで、ブルクバンクレンさんは私の前で膝をついて深々と頭を下げた。私が本気で動くことが実感できたからだった。
「カリン殿はやはり立派なお方だ。口先だけで結局は動こうとしない者も少なくない中で、自分の言葉に責任を持ってくださる。それだけでもう悔いはない。これでもうヘリーバンクレンがこの世から消え去ったとしても、カリン殿の想いだけで救われた……!」
だって。だけど、
「まだ早いですよ、ブルクバンクレンさん。私はこんなことで満足するつもりはないです。本当にヘリーバンクレンが救われないと納得できません。本番はまだまだ先です……!」
私はそう返した。すると彼は頭を上げて、
「あなたは本当に欲深い方だ。何もかもを手に入れようとなさる。ですが、あなたにはそれができてしまう。私はそういうあなただからこそ、こんな無茶なお願いができた。
私は神を信じないが、あなたをこの世にもたらしてくれたのが神だというのなら、信仰してもいいと思える」
やれやれ。大袈裟だな、
だけどその気持ちは、私にも想像できる気はする。ベントやキリンと出逢えたことが神様のおかげだっていうのなら、私だってそれくらいの気持ちにはなるし。
でも、まだだよ。結果が出るまで満足しちゃいけない。ここで満足してたら、手に入れられるものも手に入らない。
何かを成し遂げる人間って、ある意味じゃ強欲なんだ。それを手に入れるまで突き進むんだよ。たとえ時間はかけても、回り道をしてでも、止まらずに。
私はヘリーバンクレンの人々の命を手にれる。そのために必要なことはする。簡単には諦めない。
顔を合わせたこともない、言葉を交わしたこともない人々だけど、そこにも人の暮らしがあって、キリンのような子がいるのは間違いない。
その一方で、もし、キリンの命とヘリーバンクレンの人達の命とを秤に掛けられたら、私は迷わずキリンの命を取る。相手が何千人だろうと関係ない。
でもね、今はそうじゃないよ。どっちを取るかって話じゃない。だったら私は強欲になる。
ヘリーバンクレンを救う。手に入れる。
私にはそれができる<力>があるから。
翌日、ブルクバンクレンさんは滞在期限が切れたことで、一旦、ガルフフラブラ王国を出ることになった。
「また理由を作ってお伺いします。それまでの間にも何か必要なことがあればお知らせください。力になります」
そう言って彼は、力強く握手を交わした。
ただ、ベントに抱かれたキリンを見てフッと表情を緩めて、
「結局、彼女には最後まで気を許してもらえませんでしたね。でも、利口な子です。これならきっとロクでもない男に騙されたりはしないでしょう」
と、どこか嬉しそうに笑ったのだった。
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