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最初から完璧にできる人なんてまずいない
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だからって、苦労が全くなかった訳じゃない。キリンが「イヤイヤ!」ってやってついイライラしてしまうことも何度かはあった。でもそういう時は無理をせずに、彼女の気持ちが落ち着くのを待って、彼女の様子をゆっくりと見て対応することを心掛けた。
見てるとね、分かるんだ。癇癪を起してたはずのキリンが、フッと素にかえる瞬間があるのが。その時にすかさず、
「どうしたい?」
って尋ねると、彼女は、
「あのねあのね…」
と応えてくれた。
そこでもし私やベントが、
「もう知らない! 勝手にしろ!」
とか言ってしまってたら、彼女はきっと私達を信頼してくれなかっただろうな。
もちろん、私だって常に完璧にできてたわけじゃない。数回、
「勝手にすれば!?」
って言ってしまったことがあった。するとキリンはハッとなって、縋りつくような様子を見せたんだ。
だけど、だからってそこで怒鳴るのが効果があると思ってそれを多用すればすぐに逆効果になるのは分かってた。ハッとなるのは、それまで滅多に私が声を荒げたりしなかったから驚いただけっていうのは分かってたんだ。でもそんなのは、何度もやればすぐに慣れてしまう。慣れて効果がなくなってくればさらに大きな声を張り上げることになる。でもそれにも慣れてしまっていうことを聞かなくなるからもっともっと強く怒鳴ることになる。
典型的な悪循環だ。
ショック療法的なのは、伝家の宝刀のように普段は秘めていて、『ここだ!』っていうタイミングで出すから効果があるんであって、日常的に使ってると陳腐化するんだよね。
それに、後から考えたら分かるんだ。怒鳴ってしまったのは自分が未熟だっただけで、本当は怒鳴る必要なんてなかったっていうのがさ。
必要なのは本人をよく見てその上でこっちが働きかけるタイミングを計ることだったんだって、今なら分かる。
あの時の私にはそれを待つだけの忍耐力がなかっただけなんだって。
甘えてたんだよ。自分自身に。
大人である私がそうやって自分に甘かったりするんだから、幼いキリンがワガママを言うのは当然のことなんだ。
そんな彼女のワガママさえ丸ごと受け止めて、その上で、
『一緒に頑張ろう?』
って声を掛けてあげることが必要だったんだって、後になると分かってくる。
親も、最初は未熟なんだよ。何もかもが初めての経験で、不慣れなんだ。最初から完璧にできる人なんてまずいない。
だからさ、経験者の協力が必要なんだと思うんだ。
私達の場合は、私がたまたま<知識>を持ってたからそんなに困ることもなかったけど、よくよく考えたらその知識だって、私以外の誰かがもたらしてくれたものだ。決して何もないところから私が編み出したんじゃない。
こういうところからも、
『人は一人では生きていけない』
っていうのが分かるよね。
見てるとね、分かるんだ。癇癪を起してたはずのキリンが、フッと素にかえる瞬間があるのが。その時にすかさず、
「どうしたい?」
って尋ねると、彼女は、
「あのねあのね…」
と応えてくれた。
そこでもし私やベントが、
「もう知らない! 勝手にしろ!」
とか言ってしまってたら、彼女はきっと私達を信頼してくれなかっただろうな。
もちろん、私だって常に完璧にできてたわけじゃない。数回、
「勝手にすれば!?」
って言ってしまったことがあった。するとキリンはハッとなって、縋りつくような様子を見せたんだ。
だけど、だからってそこで怒鳴るのが効果があると思ってそれを多用すればすぐに逆効果になるのは分かってた。ハッとなるのは、それまで滅多に私が声を荒げたりしなかったから驚いただけっていうのは分かってたんだ。でもそんなのは、何度もやればすぐに慣れてしまう。慣れて効果がなくなってくればさらに大きな声を張り上げることになる。でもそれにも慣れてしまっていうことを聞かなくなるからもっともっと強く怒鳴ることになる。
典型的な悪循環だ。
ショック療法的なのは、伝家の宝刀のように普段は秘めていて、『ここだ!』っていうタイミングで出すから効果があるんであって、日常的に使ってると陳腐化するんだよね。
それに、後から考えたら分かるんだ。怒鳴ってしまったのは自分が未熟だっただけで、本当は怒鳴る必要なんてなかったっていうのがさ。
必要なのは本人をよく見てその上でこっちが働きかけるタイミングを計ることだったんだって、今なら分かる。
あの時の私にはそれを待つだけの忍耐力がなかっただけなんだって。
甘えてたんだよ。自分自身に。
大人である私がそうやって自分に甘かったりするんだから、幼いキリンがワガママを言うのは当然のことなんだ。
そんな彼女のワガママさえ丸ごと受け止めて、その上で、
『一緒に頑張ろう?』
って声を掛けてあげることが必要だったんだって、後になると分かってくる。
親も、最初は未熟なんだよ。何もかもが初めての経験で、不慣れなんだ。最初から完璧にできる人なんてまずいない。
だからさ、経験者の協力が必要なんだと思うんだ。
私達の場合は、私がたまたま<知識>を持ってたからそんなに困ることもなかったけど、よくよく考えたらその知識だって、私以外の誰かがもたらしてくれたものだ。決して何もないところから私が編み出したんじゃない。
こういうところからも、
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