上 下
470 / 535

こういう流れになるだろうなっていうのは元々分かってたし

しおりを挟む
二年後、単身赴任することになる私だけど、でもその前に、ここですることはまだたくさんあるんだよね。

その一つが、ウンチの最終処分場での堆肥化だ。

サイサアルメド州での試験的なそれが評判を呼んで、あんなに渋ってた主都の担当役人達までが手の平を返してきたんだ。しかも主都だけじゃなくて、他の州でもね。

調子のいい態度には、正直、思うところがなかったと言ったら嘘になるけど、うん、でもいいよ、結果が良ければさ。

こういう流れになるだろうなっていうのは元々分かってたし。

役人ってこういうところあるよねって感じでさ。

だけど、役人って立場上、実績のないものには慎重になるしかないけど、逆に実績があるとなれば国益のために積極的にならないとっていうのがあるのも、今なら分かるんだ。

そんな訳で、堆肥化のシステム作りを一気に進めた。私自身、サイサアルメド州での経験があったことで、スムーズに進めることができた。

処分場にキリンを連れていくのはさすがに不安があったから彼女のことはベントに任せてたけどね。

セリス商会については順調で、ベントはキリンを連れて出社しても余裕で仕事ができてたみたい。現場を受け持ってくれる人達がどんどん育ってくれてたから、彼は指揮するだけでよかったそうだし。

だけどそれでも、社員はちゃんとやってくれてても、魔法使いである私が、

『堆肥は決まった通りに使わないと、畑が精霊に呪われますよ』

って言うのと説得力が違うのか、横着する人はちょくちょくいて、そのフォローにも私が出向くことは何度もあった。

そんなこんなで、キリンに会えるのは、夜、彼女が寝てしまってからってことが普通になってきた。

だから寂しい思いさせてるんじゃないかと思ったりもしたけど、ベントが言ってくれた。

「カリン、キリンは私とあなたの子です。あなたが忙しい時は私を頼ってください。私とあなたの二人でこの子を育てていくんです。それを忘れないで」

ってさ。くっそ~、相変わらずイケメンが過ぎるぞ、ベント。

しかもキリンってば、しっかり会社の方でもすっごく愛想良くしてるからかアイドル化してしまってて、みんなに可愛がってもらえてるおかげか、あまりぐずったりもしないそうだ。

しかも家では、エマがしっかりと彼女の相手をしてくれてる。

「エマ、エマ♡」

名前とかもちゃんと言えるようになったキリンは、彼女の名前を呼んで、いつも後をついて回ってるって。

だからエマもちょっと戸惑いながらも、キリンを受け入れてくれてた。

キリンにとっては、<お姉さん>と言うか、<もう一人のお母さん>って感じなのかもしれない。

もう少し大きくなってきたら節度を持った接し方を教えてあげないといけないと思うけど、今はまだ、ね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

もういらないと言われたので隣国で聖女やります。

ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。 しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。 しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

排泄時に幼児退行しちゃう系便秘彼氏

mm
ファンタジー
便秘の彼氏(瞬)をもつ私(紗歩)が彼氏の排泄を手伝う話。 排泄表現多数あり R15

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...