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何でもかんでも自分の思い通りになるのはむしろ変

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キリンは、すくすくと、本当に健やかに成長してくれた。

私とはまったく違って。

私の場合は、物心ついた時にはもう、

『自分は生まれてきちゃいけなかったんだな……』

って思ってたしさ。

だけどキリンがそんなのをぶち壊してくれる。生まれてこなきゃこの光景もなかったんだ。それを思えばあんな人生だって意味があったんだよ。

反面教師として役立てるっていうさ。

ああもうたまらない…! 幸せすぎるぅ!!

子供を産む為に生まれてきたんじゃないのは分かってても、やっぱりこれは、キリンを生んだからこその喜びだよ。それじゃなかったら得られなかった。

『何のために子供を生むかだって?』

そんなもん、意味は自分で作るもんだよ! 生むなら生んだ意味を、生まないなら生まないことでしか得られない意味を、自分でね。

自分と違う選択をした人間を貶めることで相対的に自分の価値を上げようとするとか、意味分かんない。

正直、キリンが将来どんな人になってくれるのか、もう何も心配要らないって思う。これだけ愛されてるんだから、どういう形かは分かんないけど、自分なりの幸せを掴んでくれるよ。

ハイハイでどこへでも行こうとするキリンを、

「まてぇ~♡」

と追い掛け回しながら、私は満たされてた。

離乳食が始まって、少し同じメニューが続いただけで、

「飽きた!」

って感じで遊び食べしたり、そっぽ向いて食べようとしなかったりしても、

「ひい~~~!」

とか思いながらもそれ自体を楽しんでた。

ベントと一緒に、キリンが美味しく食べてくれるメニューを考えて、でも結局、バナナに敗北したりして凹んでも、でもそれはそれで楽しいんだ。

上手くいかないのは当たり前。何でもかんでも自分の思い通りになるのはむしろ変。

畑と同じかな。

上手くいかなかったら、それは自分のやり方が適切じゃないからだ。自分が当たり前だと思ってることは、子供にとっては当たり前じゃないからだ。

自分の当たり前を相手に押し付けようとするから上手くいかない。食べてくれない時には無理しない。キリンの前で私も楽しそうに食べる。そしたらキリンも真似してくれる。

楽しい雰囲気こそが一番の味付けなんだな。

あと、キリンが食べてるものとほとんど同じように調理したものを、一緒に食べるようにしたんだ。そしたらキリンも、パパやママと同じものを食べてるって思ってくれたみたい。

私が食べてるものを欲しがったことがあったから。

離乳食風に調理したものなんて味気ない、美味しくないって思うかもだけど、それも一時的なことだから。私達と同じものを食べられるようになったら、戻せばいいから。

その程度の我慢は、大人だったらできなきゃね。って思うんだ。

子供に我慢を教えたいのなら。

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