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あきゃっ! きゃきゃきゃ♡

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「う~、あうあ…ほへ…?」

しっかりと首が座って寝返りもうてるようになった頃、<喃語>も出るようになった。いわゆる『ばぶばぶ』とかっていう<赤ちゃん言葉>ってやつかな。

だけど『ばぶばぶ』とは言わないものだね。もちろんそういう子もいるんだろうけど、キリンは、

「ふえ、はんは、ほふえ。んあ? たたたたた」

って感じで明らかに何かしゃべってるんだ。

だから私は、彼女の言葉に耳を傾けて、

「は~い? たたたたなのか~♡」

と応えるんだよ。そしたら彼女も嬉しそうに、

「たたたたたたた、ほは~っ」

だって。

ああ、そうか。こうやって子供の言葉に耳を傾けるのが大事なんだってすごく分かる。まだちゃんと会話になってない頃から親に自分の言ってることに耳を傾けてもらえてるかどうかっていうので親に対する信頼が築かれていくんだろうなって実感する。

なにしろ、私が他に気を取られてちょっと彼女に意識を向けられていないと、明らかに機嫌が悪くなるんだ。

「あーっ! まっ、まっ! ぶうーっ!」

みたいに、手をぶんぶんと振って怒る。

もうちゃんと<情動>があるんだな。ちゃんとした会話ができないからって疎かにしちゃいけないんだ。この頃の親の態度が無意識のレベルで子供の心理に影響するんだろうな。

ベントもそれは承知してくれてる。だから彼も、きちんとキリンと視線を合わせて、デレデレの顔で、

「はい、何でしょうか?」

って彼女に応えてくれる。そのおかげでキリンもすごく彼に懐いてる。

そうだよね。普段は自分のことをロクに見てもくれない、そのクセ、自分の気が向いた時だけ一方的に気持ちを押し付けてくるような父親なんて好きになれないよね。

それだけじゃない。キリンは、エマのことも好きみたいだ。

エマはそれこそ、キリンに対しても傅くみたいにして彼女の言葉に耳を傾けてる。エマの方は身を引いて触れようとしないのに、キリンはエマに触れようと手を伸ばすんだ。

「キリンに触れてあげて」

「あーっ! あーっ!」とエマに手が届かないのを悔しそうにしてるキリンを見て、私はエマにそう命令した。

するとエマも申し訳なさそうにしながらも、おずおずと手を差し出す。そんな彼女の指を握って、キリンはさらにエマを自分の方へ引き寄せようとする。それに逆らわず彼女が顔を寄せると、包帯まみれのエマの顔に触れて、ぺちぺち叩いて、キリンはやっと、

「あきゃっ! きゃきゃきゃ♡」

って笑顔になった。

そんなキリンに、包帯の間から覗くエマの目も柔らかいものになったのが分かったんだ。

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