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出逢ったばかりの頃は『どうかなあ』って感じる相手でも
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夫婦だって、それどころかまだ恋人同士のうちから何となくあんまりにも当たり前にいるから、ときめきとか新鮮味とかが失われて、そこから倦怠期に入っていくことってあるよね。
だけど、本当はそこから関係が始まると私は思うんだ。
ときめきとかっていうのは、えてして自分が相手に対して勝手に抱いてる幻想が大きく影響してるって気がしてる。それがあるうちは、冷静に客観的に相手のことを見られないんじゃないかな。
だから、ときめいたり昂ったりっていうのがなくなって、冷静に相手を見られるようになってから、<ひととなり>をしっかりと確かめるんだ。
私とベントとは、仕事で一緒に行動してる間にそういう時期を迎えてた。いつもそばにいて一緒に行動してて、遠慮なく思ったことを口にできて、お互いのいいところも『ここはちょっと…』って思うところも曝け出した上で、
『この人なら』
って思えるから、私は彼と結婚したんだ。
アルカセリスも、そうやって私のことを見られるようになってほしい。気持ちが昂ってる時の印象って、五割増しくらいで美化されてると思うしさ。それがなくなってからが本番なんだよ。
ちなみに私から彼女を見た印象としては、
『いい子だし親しくはしたいと思うけど、やっぱり<伴侶>じゃないよね。どこまでいっても友達止まり』
なんだ。ベントに対しては感じるものが、彼女にはない。
私がそう感じてることを、彼女もいつか分かってくれるかな。
と言うか、冷静に私のことを見られるようになれば、自分に向けられた私の視線とか態度とかが、友達以上のものじゃ決してないっていうのも分かると思うんだ。
彼女にはきっと、もっと素敵な相手がいると思う。彼女のことを、私がベントに抱いてる気持ちと同じもので見てくれる人がいると思う。彼女にはそれだけの魅力があるんだよ。
真面目で、頑張り屋で、才能もあって、そしてあたたかい心の持ち主でもある。
要は、彼女と合う人と巡り合えるかどうかだけの問題なんだ。
私はベントと巡り合えた。彼女が巡り合えない理由はない。
それにベントだって、出逢ったばかりの頃は、いかにも貴族らしい、驕り高ぶった一面もあったよ。聞き分けのない農民相手に剣を抜きかけたこともあった。彼にもそういう一面はあった。
だけど人間は成長するんだ。出逢ったばかりの頃は『どうかなあ』って感じる相手でも、成長するに従って人間的な厚みとかが出てくることもある。ベントがまさにそうだった。
彼は、自分の拙い部分と向き合って、それを更新していくことができる人だったんだ。
私が彼を好きになったのは、それができる人だったからっていうのもあるんだよ。
だけど、本当はそこから関係が始まると私は思うんだ。
ときめきとかっていうのは、えてして自分が相手に対して勝手に抱いてる幻想が大きく影響してるって気がしてる。それがあるうちは、冷静に客観的に相手のことを見られないんじゃないかな。
だから、ときめいたり昂ったりっていうのがなくなって、冷静に相手を見られるようになってから、<ひととなり>をしっかりと確かめるんだ。
私とベントとは、仕事で一緒に行動してる間にそういう時期を迎えてた。いつもそばにいて一緒に行動してて、遠慮なく思ったことを口にできて、お互いのいいところも『ここはちょっと…』って思うところも曝け出した上で、
『この人なら』
って思えるから、私は彼と結婚したんだ。
アルカセリスも、そうやって私のことを見られるようになってほしい。気持ちが昂ってる時の印象って、五割増しくらいで美化されてると思うしさ。それがなくなってからが本番なんだよ。
ちなみに私から彼女を見た印象としては、
『いい子だし親しくはしたいと思うけど、やっぱり<伴侶>じゃないよね。どこまでいっても友達止まり』
なんだ。ベントに対しては感じるものが、彼女にはない。
私がそう感じてることを、彼女もいつか分かってくれるかな。
と言うか、冷静に私のことを見られるようになれば、自分に向けられた私の視線とか態度とかが、友達以上のものじゃ決してないっていうのも分かると思うんだ。
彼女にはきっと、もっと素敵な相手がいると思う。彼女のことを、私がベントに抱いてる気持ちと同じもので見てくれる人がいると思う。彼女にはそれだけの魅力があるんだよ。
真面目で、頑張り屋で、才能もあって、そしてあたたかい心の持ち主でもある。
要は、彼女と合う人と巡り合えるかどうかだけの問題なんだ。
私はベントと巡り合えた。彼女が巡り合えない理由はない。
それにベントだって、出逢ったばかりの頃は、いかにも貴族らしい、驕り高ぶった一面もあったよ。聞き分けのない農民相手に剣を抜きかけたこともあった。彼にもそういう一面はあった。
だけど人間は成長するんだ。出逢ったばかりの頃は『どうかなあ』って感じる相手でも、成長するに従って人間的な厚みとかが出てくることもある。ベントがまさにそうだった。
彼は、自分の拙い部分と向き合って、それを更新していくことができる人だったんだ。
私が彼を好きになったのは、それができる人だったからっていうのもあるんだよ。
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