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<新しい常識>を作り上げていくんだ

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なんて手紙のやり取りをしてるだけでも数ヶ月が過ぎ、いつの間にかまた冬になっていた。この辺りのやり取りに時間がかかるのはやっぱり不便だと思いつつも、この国では<念話>は完全に軍事目的で国に押さえられているからね。まあ仕方ない。

その間にもサイサアルメド州での仕事は順調に進み、サトウキビ畑の方の準備も万端だし、何より、ウンチの処分場での堆肥化の準備も着々と進んでた。

奴隷達に<堆肥化の魔法>を教えると、十人に一人くらいの割合で使えるようになった。

一般的な市民だと十人いれば八人くらいは使えるようになるからそれに比べるとずいぶんと低いけど、この辺りは識字率も影響してるんだろうな。

一般市民でも必ずしも識字率は高くないものの、少なくともしゃべるのは普通にしゃべれる人がほとんどだし、それに比べると奴隷は、しゃべることさえおぼつかない人が少なくなかった。

その点で言えば、エマはまだマシな方だったんだろうな。

それでも、仕事の分担から言えば、十人に一人程度が使えてくれればそれでよかった。

<堆肥化の魔法>を使えるようになった奴隷が、集められたウンチに魔法を掛けて堆肥化し、それを他の奴隷達が均していく。

本当は、こうしてあまり一つ所にまとめておきたくはないんだけど、一時保管ということで割り切ることにする。

正直、この保管方法じゃ地下水の汚染を避けるのは難しいし。

だから、どんどん使うようにするんだ。

あまり大量に残しておかないように。

できた堆肥は、さっそく、周辺の畑へと分配した。

その運搬も、奴隷の仕事だ。

そこで私は、一計を案じた。

奴隷達が運んでるのは、畑に使う重要な資材だということで、運搬を妨害するようなことはしっかりと禁止してもらうようにしたんだ。

だから当然、運搬を担ってる奴隷を害することも禁止。

あくまで堆肥を守ることが目的で、別に奴隷を守るためにそうしてるんじゃないという体裁が必要だった。

でもこれは効果覿面で、堆肥の運搬をしてる奴隷が襲撃を受けることはものすごく減った。

奴隷を守ろうってことにすると反発も受けるけど、これの目的は堆肥の運搬を妨げないことだからね。

そして、堆肥を運搬中だと分かりやすように、そのための馬車には『堆肥運搬中』の表示を大きく掲げることにした。とにかくその馬車を襲撃したら厳罰が下されるというのを、周知徹底する。

もとより、自分達の畑の為に使う堆肥の運搬をわざわざ邪魔する人も少ないから、思った以上に上手くいった。

こういう形で、仕事中の奴隷を襲撃するのは御法度という<新しい常識>を作り上げていくんだ。

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