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まだまだカリンの役に立たないといけませんからね

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私は根本的に企業経営ってものがよく分かってないから、普通に競合する企業ができ始めるときっと今回のようなことがまたすぐ起こりそうな気がする。

私が会社を興せるのだって、単に、<会社っていう名の私の代理人>を立ててるだけって感じで、役所はあくまで私に対して必要な経費を払ってるっていう感覚なんだ。

払った分は国がまた補填してくれるから、役人達は自分の懐を痛めるわけじゃないしね。

この辺は、日本の役所に近い感じかな。

なんてことを思ってると、今度は、ムッフクボルド共和国を構成する小国、ヘルデカイラス公国に作ったタルハ商会までもがトゥルカ商会に乗っ取られたと連絡が入った。

「やっぱりか~…」

正直、アリエ商会とその関係会社が乗っ取られた時点で予測はしてた。アリエ商会やタルハ商会の業績とその業務内容に魅力を感じたんだろうからね。

タルハ商会についても、私に支払う役員報酬にする予定でプールされてた資金も含めて丸ごと取られてしまったらしい。

ただ、当時のムッフクボルド共和国の首長だったメトラカリオス陛下が代表を務めるミスト商会については、ムッフクボルド共和国を構成する小国の一つとはいえれっきとした国家であるメトラカリオス公国の元首の<持ち物>だけあって、さすがに乗っ取れないようだ。

と、ブルクバンクレンさんからまた届いた手紙には記されてた。

いやあ、油断も隙も無いですな。

今はまだ、ムッフクボルド共和国内での話とはいえ、仮にもカリン商会の系列会社が次々と乗っ取られてるわけだから、カリン商会の方も危ういかもしれない。

そこで私は、カリン商会の現在の代表である、ガーラフェイルにも手紙を送った。

『トゥルカ商会という会社が、カリン商会の系列会社を次々と乗っ取ってる』

って。

もちろん向こうでもそのことは承知してるはずだけど、念の為にね。

するとガーラフェイルからは、

『お元気そうで何よりです。トゥルカ商会のことは、リレからの手紙でこちらでも把握してます。用心はしてますので。易々とはやられませんよ。まだまだカリンの役に立たないといけませんからね』

って返事が来た。

相変わらずの豪快な感じがする力強い文字で綴られたそれに、私はなんだかホッとするのを感じた。元気でやってるんだろうなっていうのがすごく伝わってきたし。

会社として上手くいってるというのは、私に支払われた役員報酬の額で分かってたけどさ。

もし、カリン商会まで乗っ取られたとしても、正直、私としては別に困らない。ただ従業員達が路頭に迷ったり、カリン商会として農業指導を行ってる人達が困らないかっていうのが心配なだけでね。

それさえ大丈夫なら、私は役員でなくなったとしてもいいんだよ。

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