何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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彼がいかに現場から上がってくる情報に耳を傾けているか

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『基本的には誰も損をしない』

というのは、実は<ハッタリ>なんだけどね。

パッと考えた範囲ではまあ誰も損をしてない気もするんだけど、実際にはどこにどういう影響が出るか分からないし、もしかしたら処分場で働いてる奴隷達には、配置換えとかがあったりするかもしれない。世の中っていうのはそういうものだ。

ただ、今の時点では『誰も損をしない』ってことで通させてもらう。なにか不具合があった時には、その時点でまた別に対処することになると思うし。

正直、どう突っ込んでくるかと内心では身構えてた私に、ぐいと身を乗り出すようにサイサスリスト氏は言った。

「……分かりました。あなたにはリト村(甘イモの村)で実際に結果を出してみせた実績がある。そのあなたの言うことだ。ただの調子のいい口先だけではないんだろう。具体的に何をどうすると言うのか、教えてほしい」

<実績>と言っても、まだ収穫が済んだ訳じゃない。なのに現時点での甘イモの生育状態を把握した上で彼はそう言ってくれたんだ。

彼がいかに現場から上がってくる情報に耳を傾けているかという証拠だった。

確かに全体を生かす為に少数は切り捨てる冷酷な判断を下す人物には違いないんだろう。だけどそれはあくまで、現状で彼にできることをやろうとした結果に過ぎない。彼はそれをしなきゃいけない立場の人間だというだけの話だ

そこで私は、しっかりと説明する。

「すること自体は単純です。<堆肥化の魔法>によって排泄物を肥料に変える。これだけです。

<堆肥化の魔法>は簡単な魔法が使える人なら子供にでも使える。これを奴隷に覚えてもらって、処分場の排泄物をすべて肥料に変えてしまうんです。そしてできた肥料をサトウキビ畑に使う。使い切れない分は周辺の町に売る。これでサイサアルメド州そのものが潤う。という寸法ですね」

「…だが、そんなに上手くいくのか? 奴隷に魔法を覚えさせる? あれにそんなものが覚えられるとは思えんが」

「大丈夫ですよ。私がいたファルトバウゼン王国では実際に奴隷でも使えるのはいました。単に精霊との相性の問題です。できない人は使えるようにはなりませんけど、使える人は数時間で使えるようになります」

そこまで言ったところで、私は、部屋の隅に控えてた秘書の女性を見て、

「試しにあなた、やってみませんか?」

と声を掛ける。

「え? 私ですか……?」

唐突に話を振られた女性は呆気にとられた表情になったけど、サイサスリスト氏に、

「やってみたまえ」

と言われて、戸惑いながらも私の傍にやってきた。

その彼女に向かって、箱を取り出し蓋を開ける。そこには、水に濡れた落ち葉が入ってた。<堆肥化の魔法>を試す為に用意したものだ。

そして私は、彼女に<堆肥化の魔法の呪文>を教えたのだった。

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