401 / 535
この世界の人達を強く責める権利は私にはないって思ってる
しおりを挟む
ちなみに今回は、堆肥についてはほとんど利用することがなかった。
というのも、甘イモは養分が豊富すぎると逆に上手く育たないからだ。
そんな訳でしばらく堆肥のことは触れてこなかったんだけど、今度はサトウキビの畑で、堆肥もそれなりに使うことになるはずだから、またお世話になるな。
だからまず、このサイサアルメド州のウンチの最終処分場へと顔を出すことにした。
「へえ……分かりました」
馬車の御者は露骨にイヤそうな顔をしながらも取り敢えず承諾してくれた。
臭いもそうだけど、奴隷達が多く働いてる場所だから、それがまず嫌なんだろう。
正直、奴隷に対する暴行や襲撃は、日常茶飯事だ。私があまり触れてこなかったからそんなに実感はないかもしれないけど、<使い捨ての消耗品>でしかない奴隷は、仕事中に殺されたとしても、使ってる方はそんなに気にしないらしい。
『壊れたから買いかえればいい』
程度の感覚なんだって。
私はそのことについては何もできないから触れてこなかったんだ。この国の人達についてあまり悪印象を持たれるのも嫌だったし。
この国の人達にとって、奴隷は人間じゃないんだよ。ホントにただの道具。使い捨ての消耗品。値段も安い。
しかも、奴隷達の祖先に裏切られて(ということになってる)命を落とした祖先達の復讐も兼ねてのことだから、
『祖先の無念を晴らさなきゃ』
っていうある種の<義務感>すらあって、罪悪感なんか欠片も感じてないんだ。
ここでは『そういうもの』なんだよ。そんなこの国の人達を悪者扱いしたってそれに意味があるとは私は思わない。これを覆すには、世界の仕組みそのものを根底から変えてしまわないといけない。
そしてそれには、何百年もの時間が必要だろう。
分かりやすく悪者を仕立て上げて私が<正義の味方>気取りをしてたってなにも変わらないんだ。
だからその件については詳しくは触れない。奴隷達の姿を見て察してもらうしかない。
この世界で生きていくには、それを受け止める覚悟も必要なんだと思う。
<異世界>って言っても、そこは普通に人間の暮らす世界だ。決して綺麗なだけじゃない。地球と同じだよ。
そして私はそれを黙認してる。その時点で私も同罪だ。この世界の人達を強く責める権利は私にはないって思ってる。
ただそれでも、どうしても納得はできないから、エマのことみたいに、些細な抵抗はしてしまったりするんだけどさ。
この世界に来た<異世界人>達は、どうしてたんだろうな。私と同じ矛盾を抱えて生きてたのかな。
まあ、あまり気にしても仕方ないんだけどね。
というのも、甘イモは養分が豊富すぎると逆に上手く育たないからだ。
そんな訳でしばらく堆肥のことは触れてこなかったんだけど、今度はサトウキビの畑で、堆肥もそれなりに使うことになるはずだから、またお世話になるな。
だからまず、このサイサアルメド州のウンチの最終処分場へと顔を出すことにした。
「へえ……分かりました」
馬車の御者は露骨にイヤそうな顔をしながらも取り敢えず承諾してくれた。
臭いもそうだけど、奴隷達が多く働いてる場所だから、それがまず嫌なんだろう。
正直、奴隷に対する暴行や襲撃は、日常茶飯事だ。私があまり触れてこなかったからそんなに実感はないかもしれないけど、<使い捨ての消耗品>でしかない奴隷は、仕事中に殺されたとしても、使ってる方はそんなに気にしないらしい。
『壊れたから買いかえればいい』
程度の感覚なんだって。
私はそのことについては何もできないから触れてこなかったんだ。この国の人達についてあまり悪印象を持たれるのも嫌だったし。
この国の人達にとって、奴隷は人間じゃないんだよ。ホントにただの道具。使い捨ての消耗品。値段も安い。
しかも、奴隷達の祖先に裏切られて(ということになってる)命を落とした祖先達の復讐も兼ねてのことだから、
『祖先の無念を晴らさなきゃ』
っていうある種の<義務感>すらあって、罪悪感なんか欠片も感じてないんだ。
ここでは『そういうもの』なんだよ。そんなこの国の人達を悪者扱いしたってそれに意味があるとは私は思わない。これを覆すには、世界の仕組みそのものを根底から変えてしまわないといけない。
そしてそれには、何百年もの時間が必要だろう。
分かりやすく悪者を仕立て上げて私が<正義の味方>気取りをしてたってなにも変わらないんだ。
だからその件については詳しくは触れない。奴隷達の姿を見て察してもらうしかない。
この世界で生きていくには、それを受け止める覚悟も必要なんだと思う。
<異世界>って言っても、そこは普通に人間の暮らす世界だ。決して綺麗なだけじゃない。地球と同じだよ。
そして私はそれを黙認してる。その時点で私も同罪だ。この世界の人達を強く責める権利は私にはないって思ってる。
ただそれでも、どうしても納得はできないから、エマのことみたいに、些細な抵抗はしてしまったりするんだけどさ。
この世界に来た<異世界人>達は、どうしてたんだろうな。私と同じ矛盾を抱えて生きてたのかな。
まあ、あまり気にしても仕方ないんだけどね。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる