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というわけで何か大きな事件が起こる<フラグ>ってわけでもないし

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ファルトバウゼン国王陛下が使節団を通じて届けてくれたカリン商会の売り上げは、ここ、ガルフフラブラ王国の一般的な役人の年収の百年分に相当する額だった。

まあ、日本で言えば五億円くらいかな。

ガルフフラブラ王国でも通用する金貨だったから、使おうと思えばそのまま使える。

庶民の感覚からすれば大変な金額だけど、使節団達は国交に関係する様々な費用も持ってきてたから、それに比べれば大した金額じゃなかったけどね。

さすがに大きな金額を持ってたってことで警備も厳重で、一個大隊?五百人規模で来たらしい。

これは、ガルフフラブラ王国及び、途中に通過する国々と共同の軍事演習も兼ねたものなんだって。なんでも、同盟国としての連携を確認するためだとか。

だからって何かキナ臭いことになってるっていうんじゃなくて、通常の軍事演習だそうだ。あと、対立関係にある国々への、

『我々の備えは万全だ』

アピールでもあるとか。

正直、私はその辺りはさっぱりだから、

『大袈裟だなあ』

とか思っちゃったりもするけど、別に軍事的には普通なんだろうな。

まあ、特に周辺諸国との緊張が高まってるとかじゃないそうだからその辺は置いといて、問題はこのお金だよ。

商人だったらこの程度の金額は持ってるのが当たり前だから、強盗とかに狙われる危険性が高まるってわけでもない。屋敷の周囲は軍隊が常駐してて警備も万全だ。

その状態が普通だから私も今さらそれを意識はしてない。

そもそも、国からもらってる手当だけでも役人の平均年収の数倍だ。私はあまり使わないから貯まる一方なんだよな。モグラレンコンの株を手配した時に、まとまって使ったくらいか。

というわけで何か大きな事件が起こる<フラグ>ってわけでもないし、ま、これについてはいざという時の備えとしておいとくことにしよう。

しかし、なんだかんだと大金を稼いでる人達って、どうやってそれを使ってるんだろうな。メロエリータとかなら役に立てる方法とかも詳しいんだろうけど。

そう言えば、情報を集めるためとかで、カリン商会の役員としての収入もじゃんじゃん使ってたみたいだ。

それが、彼女の持つネットワークを作り上げてるんだろう。

私が使うとしたらやっぱり農業関係なんだけど、そっちに必要な資金は別途支給されてるからなあ。

贅沢する趣味もないし。

それもあって、ここでも会社を立ち上げることにした。畑のフォローの為だ。私一人で全部を回るのも現実的じゃないしね。

役人だといろいろ縛りがあって動けない部分もこれで対応できる。

ただ、正直、メロエリータがいないから会社の運営とかには不安があるんだよ。

と思ったら、さっそく、雇った人が一人、預けた運営資金の一部を持ち逃げした。

こういうことがあるのも珍しくないし、事件としては割と些細なことだとはいえ、

『なんだかなあ』

とは思ってしまったのだった。

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