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子供まで働かせなくても十分な収穫が得られるようになれば
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ティンクラウラもそうだったけど、この世界の子供達はすごく働き者だ。
自分の役目をよく理解して、しっかりと親を手伝ってくれる。
でも、そんな<美談>の陰で、それを奨励することで身分の固定化を図っているという現実も確かにあるんだよね。
平民の子の多くは勉強の機会も与えられず、世界の仕組みを知ることもなく、身分制度の欺瞞を知ることもなく、ただ何も考えずに一部の階級を支えるために働いて死んでいくんだ。
とは言え、限られたリソースを分け合わなきゃいけない今のこの世界では、身分制度にもそれなりの合理性があるのも事実ではある。
それを覆す為にも、十分なリソースを確保する必要がある。私がしてることも、結局はそれなんだ。
作業の機械化による省力化もその方策の一つだけど、私はそっち方面には明るくない。灌漑施設の充実を提唱することによって事実上の省力化を図ったりもするし、水車を使った給水とかくらいは思い付いても、それ、もうここでは導入されてるんだよね。だから、
『すごい発明だろ! どやぁ!』
ってできないんだよ。
だけど、とにかく子供まで働かせなくても十分な収穫が得られるようになれば、その分、勉強に向けることもできるようになる。地球だってそうやってきたんだ。
そして知識を得た子供達がさらなる知恵を生み出していく。技術を生み出していく。それが常に幸福だけをもたらすとは限らないのも事実だとしても、<変化>そのものが生き物の本質だ。環境に合わせて自らを変化させていくっていうね。
そんなこんなで、甘イモの方は何とか順調だ。と言っても、サイサスリスト氏が期待してるレベルには程遠いだろうけどさ。彼としてはそれこそ、適した農地に匹敵する収穫を期待してるだろう。そこには遠く届かない。
けれど、ここの人達の不満を和らげることができれば、それ自体が<利>になる。不満が爆発するのを遅らせられれば、その間にさらに収穫量を増やす為の手段を講じることもできる。
加えて、苗の定着率が六割程度しかなかったのも、普通に耕す以上に土を攪拌することになったせいで、ある程度は現在の環境に適応してた甘イモにとってそれがまた大きく変わったからだろう。
こういうこともある。
私が魔法で微生物に働きかけて環境を整えるという方法もあるけど、それだと、今後も全ての畑に私が出向いて魔法を掛けなきゃいけなくなる。私は一人しかいないのに無茶な話だ。他の魔法使いに伝授するとしても、果たしてどの程度使えるようになるかは分からないし、そもそも魔法使いの絶対数も足りない。
土が馴染むまでにしばらく時間がかかるという事実を承知してもらう方がいいんだ。
農は、一朝一夕では成果は得られない。現場の人達はそれを理解してても、上はそうじゃない。簡単に結果が得られると思われると、後が大変なんだよね。
自分の役目をよく理解して、しっかりと親を手伝ってくれる。
でも、そんな<美談>の陰で、それを奨励することで身分の固定化を図っているという現実も確かにあるんだよね。
平民の子の多くは勉強の機会も与えられず、世界の仕組みを知ることもなく、身分制度の欺瞞を知ることもなく、ただ何も考えずに一部の階級を支えるために働いて死んでいくんだ。
とは言え、限られたリソースを分け合わなきゃいけない今のこの世界では、身分制度にもそれなりの合理性があるのも事実ではある。
それを覆す為にも、十分なリソースを確保する必要がある。私がしてることも、結局はそれなんだ。
作業の機械化による省力化もその方策の一つだけど、私はそっち方面には明るくない。灌漑施設の充実を提唱することによって事実上の省力化を図ったりもするし、水車を使った給水とかくらいは思い付いても、それ、もうここでは導入されてるんだよね。だから、
『すごい発明だろ! どやぁ!』
ってできないんだよ。
だけど、とにかく子供まで働かせなくても十分な収穫が得られるようになれば、その分、勉強に向けることもできるようになる。地球だってそうやってきたんだ。
そして知識を得た子供達がさらなる知恵を生み出していく。技術を生み出していく。それが常に幸福だけをもたらすとは限らないのも事実だとしても、<変化>そのものが生き物の本質だ。環境に合わせて自らを変化させていくっていうね。
そんなこんなで、甘イモの方は何とか順調だ。と言っても、サイサスリスト氏が期待してるレベルには程遠いだろうけどさ。彼としてはそれこそ、適した農地に匹敵する収穫を期待してるだろう。そこには遠く届かない。
けれど、ここの人達の不満を和らげることができれば、それ自体が<利>になる。不満が爆発するのを遅らせられれば、その間にさらに収穫量を増やす為の手段を講じることもできる。
加えて、苗の定着率が六割程度しかなかったのも、普通に耕す以上に土を攪拌することになったせいで、ある程度は現在の環境に適応してた甘イモにとってそれがまた大きく変わったからだろう。
こういうこともある。
私が魔法で微生物に働きかけて環境を整えるという方法もあるけど、それだと、今後も全ての畑に私が出向いて魔法を掛けなきゃいけなくなる。私は一人しかいないのに無茶な話だ。他の魔法使いに伝授するとしても、果たしてどの程度使えるようになるかは分からないし、そもそも魔法使いの絶対数も足りない。
土が馴染むまでにしばらく時間がかかるという事実を承知してもらう方がいいんだ。
農は、一朝一夕では成果は得られない。現場の人達はそれを理解してても、上はそうじゃない。簡単に結果が得られると思われると、後が大変なんだよね。
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