351 / 535
こっちでできた<家族>については、縁を切りたくないな
しおりを挟む
エマと同じく奴隷だったリレ達のことは、今でも気になってる。
エマのことは、
『一生手放さない』
とか言いながらリレ達の下を去った私を、
『矛盾している!』
と非難する人もいるだろう。
だけど、リレ達ならもう大丈夫だ。
だって、手紙が届いたから。アウラクレアからだけどね。
その手紙の中に、リレ達が今も頑張ってる様子が詳細に記されてた。カリン商会を退職したアウラクレアだけど、今でも<相談役>として関わることはあって、実際、それで報酬も受け取ってるらしかった。
だからホントに<顧問>とか<相談役>とかって立場なんだろうな。
そんな彼女のところには、ファルトバウゼン王国のカリン商会だけじゃなく、ムッフクボルド共和国を構成する小国、プリエセルエラ公国の<アリエ商会>や、ヘルデカイラス公国の<タルハ商会>とかの<従業員>のことも伝わってくる。
特にアリエ商会については、リレが実質的な代表として機能してるそうだ。頑張ってるんだな。
さすがに同じくムッフクボルド共和国を構成する小国、メトラカリオス公国の<ミスト商会>は、メトラカリオス陛下を代表とした完全な別会社だから詳しい情報は伝わってこないそうだけど、それでも順調だって話だった。
そう、リレはもう、私の手を離れて自分で立派に生きてる。『公式には奴隷は存在しないことになってる』ムッフクボルド共和国だからこそのことでも、実際にそうなんだから。
だったら<離れて暮らしてる家族>みたいなものじゃないのかな。
リレ達のことは今でも忘れてない。
本当は、エマもそうなってほしいんだけどね。
ただ、少なくともこの国にいる間は無理だろうな。ファルトバウゼン王国以上に奴隷達を取り巻く状況が悪いから。
可能なら、いずれアリエ商会と合流してそこで社員として雇ってもらうことも考えたい。
『一生手放さない』というのは、『一生手元に置く』っていう意味じゃないんだ。あくまで<家族みたいなもの>という意味でさ。家族は、離れてたって家族だから。
もっとも、こんなこと、昔はぜんぜん思ってなかった。それどころか、
『さっさと自立してあんな人達とは縁を切りたい』
って本気で思ってた。
『縁を切る』っていう点では、それこそ物理的に縁が切れちゃったから願いが叶った形だけど、それは本音で言わせてもらえば嬉しいけど、こっちでできた<家族>については、縁を切りたくないな。
アウラクレアともリレ達とも、離れて暮らしてても繋がってる。
その実感がすごく嬉しい。
エマともそうなりたいってことなんだ。
そのためにも、彼女には自分の力で生きていける能力を身に付けてもらわなきゃ、ね。
エマのことは、
『一生手放さない』
とか言いながらリレ達の下を去った私を、
『矛盾している!』
と非難する人もいるだろう。
だけど、リレ達ならもう大丈夫だ。
だって、手紙が届いたから。アウラクレアからだけどね。
その手紙の中に、リレ達が今も頑張ってる様子が詳細に記されてた。カリン商会を退職したアウラクレアだけど、今でも<相談役>として関わることはあって、実際、それで報酬も受け取ってるらしかった。
だからホントに<顧問>とか<相談役>とかって立場なんだろうな。
そんな彼女のところには、ファルトバウゼン王国のカリン商会だけじゃなく、ムッフクボルド共和国を構成する小国、プリエセルエラ公国の<アリエ商会>や、ヘルデカイラス公国の<タルハ商会>とかの<従業員>のことも伝わってくる。
特にアリエ商会については、リレが実質的な代表として機能してるそうだ。頑張ってるんだな。
さすがに同じくムッフクボルド共和国を構成する小国、メトラカリオス公国の<ミスト商会>は、メトラカリオス陛下を代表とした完全な別会社だから詳しい情報は伝わってこないそうだけど、それでも順調だって話だった。
そう、リレはもう、私の手を離れて自分で立派に生きてる。『公式には奴隷は存在しないことになってる』ムッフクボルド共和国だからこそのことでも、実際にそうなんだから。
だったら<離れて暮らしてる家族>みたいなものじゃないのかな。
リレ達のことは今でも忘れてない。
本当は、エマもそうなってほしいんだけどね。
ただ、少なくともこの国にいる間は無理だろうな。ファルトバウゼン王国以上に奴隷達を取り巻く状況が悪いから。
可能なら、いずれアリエ商会と合流してそこで社員として雇ってもらうことも考えたい。
『一生手放さない』というのは、『一生手元に置く』っていう意味じゃないんだ。あくまで<家族みたいなもの>という意味でさ。家族は、離れてたって家族だから。
もっとも、こんなこと、昔はぜんぜん思ってなかった。それどころか、
『さっさと自立してあんな人達とは縁を切りたい』
って本気で思ってた。
『縁を切る』っていう点では、それこそ物理的に縁が切れちゃったから願いが叶った形だけど、それは本音で言わせてもらえば嬉しいけど、こっちでできた<家族>については、縁を切りたくないな。
アウラクレアともリレ達とも、離れて暮らしてても繋がってる。
その実感がすごく嬉しい。
エマともそうなりたいってことなんだ。
そのためにも、彼女には自分の力で生きていける能力を身に付けてもらわなきゃ、ね。
0
お気に入りに追加
72
あなたにおすすめの小説
お姉さまは酷いずるいと言い続け、王子様に引き取られた自称・妹なんて知らない
あとさん♪
ファンタジー
わたくしが卒業する年に妹(自称)が学園に編入して来ました。
久しぶりの再会、と思いきや、行き成りわたくしに暴言をぶつけ、泣きながら走り去るという暴挙。
いつの間にかわたくしの名誉は地に落ちていたわ。
ずるいずるい、謝罪を要求する、姉妹格差がどーたらこーたら。
わたくし一人が我慢すればいいかと、思っていたら、今度は自称・婚約者が現れて婚約破棄宣言?
もううんざり! 早く本当の立ち位置を理解させないと、あの子に騙される被害者は増える一方!
そんな時、王子殿下が彼女を引き取りたいと言いだして────
※この話は小説家になろうにも同時掲載しています。
※設定は相変わらずゆるんゆるん。
※シャティエル王国シリーズ4作目!
※過去の拙作
『相互理解は難しい(略)』の29年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の27年後、
『王女殿下のモラトリアム』の17年後の話になります。
上記と主人公が違います。未読でも話は分かるとは思いますが、知っているとなお面白いかと。
※『俺の心を掴んだ姫は笑わない~見ていいのは俺だけだから!~』シリーズ5作目、オリヴァーくんが主役です! こちらもよろしくお願いします<(_ _)>
※ちょくちょく修正します。誤字撲滅!
※全9話
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる