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ここでは今はまだ何も成し遂げられていないから
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『努力は必ずしも報われない』
それは事実だと思う。
『頑張れば必ず結果は出る』
とか、やたらとポジティブな人は言ってたりするけど、そんなのは嘘だ。
……いや、必ずしも<嘘>じゃないのか。<結果>は確かに出る。それが自分の望んだものかどうかは保証の限りじゃないというだけで。
なんて言うか、<言葉のアヤ>ってやつだよね。言われた方はついつい、
『頑張れば良い結果が出る…!』
って受け取ってしまいがちだけどさ。まったくもってズルい言い方だよ。
そういうのに踊らされてバカを見た人も何人も見てきた。特に運動系の部活とかでは。
コーチや監督の口車に乗せられて時間を費やして、でも芽が出ずに、挙句の果てに体を壊したりして、でもそれ自体を本人に才能がなかったせいにされて、
『才能がない選手を、体を壊すほどに無理をさせた』
コーチや監督はその責任も取らずに、ただ次の<駒>を探すだけ。
もちろん、全部が全部そうだと言ってるんじゃない。でも、そうだった事例は確実にある。
私はそういうのは嫌なんだ。
誰かの口車に乗せられて、でもいかにも本人が自主的にやってるように見せかけて、できもしないことを無理してやって潰されるなんていうのはさ。
同じ無理をするにしても、余計なことを言われてやらされるんじゃなくて、自分で選んでやりたいんだ。
その上で、
『努力は必ずしも報われない』
ということを分かっていたい。分かった上でなお、自分が納得できるだけの努力はしたい。
報われないかもしれないからといって努力をしないのも違うと思う。
人間はたくさんの努力を重ねてきた。努力をしたからこそ発展もしたんだと思う。
もちろん、そのすべてが報われた訳じゃない。すべてがいい結果を生んだとは言わない。悪い結果を生んだものだってあったのは事実だ。
だけどそれを改めていけるのもまた人間だと思うんだ。
自分が興味を持てないことについてはさっさと諦めるけど、これと思ったことに対しては諦めが悪いのも私という人間だ。
ファルトバウゼン王国を追われたのを受け入れたのは、別に諦めたからじゃない。むしろ、あそこでの私の役目は終わったなと感じたというのがあったからというのもある。
だからここでは今はまだ何も成し遂げられていないから諦めない。
エマのことも、アルカセリスのことも。
ティンクラウラから自分の家に帰る道中の馬車の上で、私はそう決意を新たにしてた。
「いい顔をしてますね」
不意にベントがそんなことを言う。
「そう? ありがと」
少し気恥しさもありながら、彼の言葉に、私は素直に嬉しくなっていたのだった。
それは事実だと思う。
『頑張れば必ず結果は出る』
とか、やたらとポジティブな人は言ってたりするけど、そんなのは嘘だ。
……いや、必ずしも<嘘>じゃないのか。<結果>は確かに出る。それが自分の望んだものかどうかは保証の限りじゃないというだけで。
なんて言うか、<言葉のアヤ>ってやつだよね。言われた方はついつい、
『頑張れば良い結果が出る…!』
って受け取ってしまいがちだけどさ。まったくもってズルい言い方だよ。
そういうのに踊らされてバカを見た人も何人も見てきた。特に運動系の部活とかでは。
コーチや監督の口車に乗せられて時間を費やして、でも芽が出ずに、挙句の果てに体を壊したりして、でもそれ自体を本人に才能がなかったせいにされて、
『才能がない選手を、体を壊すほどに無理をさせた』
コーチや監督はその責任も取らずに、ただ次の<駒>を探すだけ。
もちろん、全部が全部そうだと言ってるんじゃない。でも、そうだった事例は確実にある。
私はそういうのは嫌なんだ。
誰かの口車に乗せられて、でもいかにも本人が自主的にやってるように見せかけて、できもしないことを無理してやって潰されるなんていうのはさ。
同じ無理をするにしても、余計なことを言われてやらされるんじゃなくて、自分で選んでやりたいんだ。
その上で、
『努力は必ずしも報われない』
ということを分かっていたい。分かった上でなお、自分が納得できるだけの努力はしたい。
報われないかもしれないからといって努力をしないのも違うと思う。
人間はたくさんの努力を重ねてきた。努力をしたからこそ発展もしたんだと思う。
もちろん、そのすべてが報われた訳じゃない。すべてがいい結果を生んだとは言わない。悪い結果を生んだものだってあったのは事実だ。
だけどそれを改めていけるのもまた人間だと思うんだ。
自分が興味を持てないことについてはさっさと諦めるけど、これと思ったことに対しては諦めが悪いのも私という人間だ。
ファルトバウゼン王国を追われたのを受け入れたのは、別に諦めたからじゃない。むしろ、あそこでの私の役目は終わったなと感じたというのがあったからというのもある。
だからここでは今はまだ何も成し遂げられていないから諦めない。
エマのことも、アルカセリスのことも。
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「いい顔をしてますね」
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「そう? ありがと」
少し気恥しさもありながら、彼の言葉に、私は素直に嬉しくなっていたのだった。
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