何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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あらかじめ注意点が説明されてるのにそれを無視して

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でも改めてお雑煮を食べてみて思ったけど、サイニで小さめに刻んだお餅を入れるのは、もしかしたら喉に詰まらせたりする危険性を回避する目的もあるのかなと頭をよぎった。

だから、

「お雑煮のお餅は大きいから、しっかりと噛んでから食べるんだよ。でないと喉に詰まったりするからね」

って注意させてもらった。

「確かに、その危険性はありますね」

アルカセリスが応える。

「私もそれは懸念していました。食文化の違いとはいえ、気を付けないといけませんね」

とは、ベントの弁。

「そうだね。だから私は、お雑煮をここで広めようとは思わないんだ。せっかくサイニで安全な食べ方できるのに、わざわざ事故が起こる危険性を高める必要もないし」

そう言った私に、

「え~? うちでも作ろうかなって思ったのに……」

ティンクラウラが残念そうに言う。

「ありがとう。それだけ気に入ってくれたんだね。嬉しい。だけど新しいものというのは、そこにどんなリスクが隠れてるのか、事前に十分に検証するのは難しいからね。でも、だからってお雑煮が危険な食べ物だとは思いたくない。そんなレッテルを貼られたくないから敢えて広めないっていう選択もあると思う」

「そっかあ……そうだよね。せっかく美味しいのに悲しいことがあったら嫌だもんね」

ティンクラウラも、残念そうにしながらも理解してくれた。

フィクションなんかじゃここでティンクラウラが勝手に家でお雑煮作ったりしてそれで事故が起こるってパターンなのかもしれないけど、私は、回避できる危険は回避するべきだと思ってる。それでつまらなくなってしまっても構わない。人が苦しんだり悲しんだりすることを娯楽だとは思いたくない。

「だからさ、もしお雑煮が食べたいんだったらうちに来てくれたらいいよ。うちでみんなで、気を付けながら食べたらいいんだしさ」

こういうことは下手に広めると、ちゃんと理解できてない人にまで広まってしまうことも多いと思う。それで事故が起きるんだろうな。

日本でも、食品による、いや、食品に限ったことじゃないけど、あらかじめ注意点が説明されてるのにそれを無視して危険を招く人って後が絶えなかったと思う。実際にそれで事故も起こってる。

本当にそういうのが後を絶たない。

実は、私がこれまで教えてきた堆肥の使い方でも、あれだけ口を酸っぱくして用法・用量を守って使うようにと言ってるのにそれを無視する人が少なからずいた。

幸い、ここまでは。そんなことをやらかす人が一度にたくさん出てきてないから被害も限定的で済んだけど、堆肥の使い過ぎで河川や水源が汚染されたりっていうリスクは常につきまとってる。

私がもしそのことに注意を払わなくなったらその時こそ大きなしっぺ返しが来るだろう。

そんなことにならないように、私は常に自分に言い聞かせなきゃと思ったのだった。

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