何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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頭では分かってても気持ちの上では納得できないってことは

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アルカセリスは、以前は実家から通ってたけど、宿舎の方が私の家に近いっていうこともあって、宿舎に、それも、最初は別の部屋だったのを今では私が以前いた部屋に移り住んでた。

なんと言うか、そういう辺りがまったくストーカーっぽいと言えばそうなんだろうけど、別に私自身はそれを不快に思ってる訳でもないから、他人にあれこれ言われたって関係ない。

でも今日のところは宿舎を後にして、家に帰ることにする。

「本当に重ね重ね申し訳ありません」

ブルイファリドがそう頭を下げてくるけど、それも、

「私が気にしてないんだからそこまで恐縮する必要はないんだよ」

と言わせておいてもらった。もっとも、そうは言っても彼の立場だったら頭を下げるしかないのは分かってるから、責めてる訳でもないんだけどさ。

「じゃ、あとは夫婦水入らずってことで、ここでね」

放っておいたら『家まで送ります』とか言い出しかねないから、敢えてそう言わせてもらった。『夫婦の時間を邪魔しちゃいけない』っていうお題目でもないと引き下がれないだろうからね。

もっとも、そう言えば引き下がってくれるからわきまえてくれてるんだろうな。

ここで、

『いえ、そういう訳にはいきません!』

とか言ってついてこられたらそれはそれで困るしさ。

真面目なのと偏執的なのとはちょっと違うと私は思ってる。

偏執的なのって、相手の言持ちとか考えとか考慮しないんだ。結局、自分のことしか考えてないって気がするんだよ。

アルカセリスもそういう部分はあるけど、まあ、それが相手にとってはいささかマイナスで、結果として自分の評価を下げたり立場を悪くしたりっていうのがあるってのを気付いてくれたらいいんだけどね。

いや、たぶん、彼女ももう気付いてると思うんだ。後は自分がそれに納得するかどうかのだけの段階だと思う。

人間、頭では分かってても気持ちの上では納得できないってことはよくあると思うんだ。

他人のそういう部分を認められない人間は、自分のそういう部分を他人に認めてもらえないことも覚悟しなきゃいけないだろうね。

だってそうじゃなきゃ、ただのワガママだし。

自分ばっかり認めてもらいたくて、他人は認めないなんてさ。



とかいうこともありつつ、私はベントと一緒に家に帰った。ほろ酔い加減で二人きりで夜道を歩くのって、気分がいいね。この程度ならお酒もいいんだけどね~。

月明かりに照らされてる彼の顔を何気なく見ると、なんだかドキッとしてしまった。

『好き……!』

って脈絡なく思ってしまった。だけどそういう部分でも、私は彼のことが好きなんだなって改めて実感してしまったんだよね。

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