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本人の頑張りとか能力とかを無視して
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もちろん私だって、『ざまあみろ!』って言ってやりたい気持ちはあるし、それをモチベーションにしてきたことがあるのも事実だ。
って言うか、今でもそれは実はある。
だけど、実際に面と向かって『ざまあみろ!』とは言わないようにしてるんだ。心の中でガッツポーズをとりながら、
『ざまあみろぉーっ!!』
と叫んでる感じ。
ガッツポーズをとるくらいはいいんじゃないかと思いつつ、ルールに則った、フェアなスポーツの場とかならともかく、そうじゃないところじゃ恨みもわだかまりもなくって訳にはいかないからね。
私が勝ち誇ることを快く思わない人は間違いなくいると思う。
それに、結果さえ出してしまえば、誰が負け惜しみ言ってたってその事実は覆らないしさ。
ああでも、出た結果を、自分の手柄にしちゃおうっていう人はいたりするのか。実際、私がファルトバウゼン王国で出した結果を、まるで自分の手柄のように吹聴してる人はいたっけか。
私がまだ王国にいた頃から。
「いつでもどこでもそういう輩はいる。気にするな」
と、リータは言ってくれてた。
言われるまでもなく、私もそういうのは相手にしないようにしてた。
だって、前にも言ったけど、私の目的は地位でも名誉でも富でもないから。
私自身が、
『やれることはやった』
って思える結果を出すことだからさ。
それを思えば小さなことなんだよ。その程度は。
なんてことを考えつつも今日も仕事を終えて、詰所に帰る。
ところで、ティンクラウラのことばかり触れてたけど、ティンクフルムも頑張ってくれてたんだよ。
ただ、ベントやブルイファリドと違って迫力不足だからか、私に食って掛かったり露骨に厭味を言ったりする人を抑えるところまでは行かないけどさ。それでも<助手>として一生懸命だし、あんまり酷い態度の人がいたりしたら、
「カリンさんは皆さんの収穫を上げる為に来てくれてるんですよ!」
と言い返してくれたりはするんだ。その気持ちだけで嬉しい。そんな風に思ってくれる人がいるという事実だけで、厭味なんか聞き流せる。力が湧いてくる。
「すいません…僕が力不足なばっかりに……」
今日もそれなりに厭味なことを口にする人がいたことで、私以上にティンクフルムが凹んでた。
するとティンクラウラが、
「そうだよお兄ちゃん! お兄ちゃんがカリンさんを守らなきゃいけないんだからね! もっとしっかりしてよ! だらしない!」
と叱責する。
だけど私はそんな彼女に向かって、
「ラウラ、あなたがそう言ってくれるのは私の為だって分かってるし、その気持ちは嬉しい。だけど、フルムもちゃんと頑張ってくれてるのは私も分かってる。
だけど世の中には、本人の頑張りとか能力とかを無視して年齢や性別だけで判断する人がいるのも事実なんだ。そういう人は、フルムの頑張りとか見えてないんだよ」
と諭させてもらったのだった。
って言うか、今でもそれは実はある。
だけど、実際に面と向かって『ざまあみろ!』とは言わないようにしてるんだ。心の中でガッツポーズをとりながら、
『ざまあみろぉーっ!!』
と叫んでる感じ。
ガッツポーズをとるくらいはいいんじゃないかと思いつつ、ルールに則った、フェアなスポーツの場とかならともかく、そうじゃないところじゃ恨みもわだかまりもなくって訳にはいかないからね。
私が勝ち誇ることを快く思わない人は間違いなくいると思う。
それに、結果さえ出してしまえば、誰が負け惜しみ言ってたってその事実は覆らないしさ。
ああでも、出た結果を、自分の手柄にしちゃおうっていう人はいたりするのか。実際、私がファルトバウゼン王国で出した結果を、まるで自分の手柄のように吹聴してる人はいたっけか。
私がまだ王国にいた頃から。
「いつでもどこでもそういう輩はいる。気にするな」
と、リータは言ってくれてた。
言われるまでもなく、私もそういうのは相手にしないようにしてた。
だって、前にも言ったけど、私の目的は地位でも名誉でも富でもないから。
私自身が、
『やれることはやった』
って思える結果を出すことだからさ。
それを思えば小さなことなんだよ。その程度は。
なんてことを考えつつも今日も仕事を終えて、詰所に帰る。
ところで、ティンクラウラのことばかり触れてたけど、ティンクフルムも頑張ってくれてたんだよ。
ただ、ベントやブルイファリドと違って迫力不足だからか、私に食って掛かったり露骨に厭味を言ったりする人を抑えるところまでは行かないけどさ。それでも<助手>として一生懸命だし、あんまり酷い態度の人がいたりしたら、
「カリンさんは皆さんの収穫を上げる為に来てくれてるんですよ!」
と言い返してくれたりはするんだ。その気持ちだけで嬉しい。そんな風に思ってくれる人がいるという事実だけで、厭味なんか聞き流せる。力が湧いてくる。
「すいません…僕が力不足なばっかりに……」
今日もそれなりに厭味なことを口にする人がいたことで、私以上にティンクフルムが凹んでた。
するとティンクラウラが、
「そうだよお兄ちゃん! お兄ちゃんがカリンさんを守らなきゃいけないんだからね! もっとしっかりしてよ! だらしない!」
と叱責する。
だけど私はそんな彼女に向かって、
「ラウラ、あなたがそう言ってくれるのは私の為だって分かってるし、その気持ちは嬉しい。だけど、フルムもちゃんと頑張ってくれてるのは私も分かってる。
だけど世の中には、本人の頑張りとか能力とかを無視して年齢や性別だけで判断する人がいるのも事実なんだ。そういう人は、フルムの頑張りとか見えてないんだよ」
と諭させてもらったのだった。
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