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いや~、何という見事な役人気質
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ここでも雪瓜の栽培を試してみてそれなりの結果が得られて、私は悪くない手応えを掴んでいた。農家の人達の反応もいい。もちろん、全員が全員、手放しに受け入れてくれてる訳じゃないにしても、この現実を前にそれをわざわざ捨てる人はそんなにいないと思う。
役人があれこれ言ってきたところで、それぞれ自主的に堆肥を用意する農家も出始めた。
実は、役人達も堆肥を使うこと自体に反対しているのは少数派だった。なにしろ現に結果が出ている以上、認めざるを得ないという流れはできつつある。
それなのに何をごねているのかと言えば、ひとえに、
『排泄物の処分場そのものを堆肥工場に転換したとして万が一失敗した場合に、誰が責任を取るのか?』
ということに外ならないみたいだね。
いや~、何という見事な役人気質。
どうにもこうにも、昔、エマ達の祖先の裏切り(と言われてるもの)によって戦う力を失い孤立し、それでも何とか生き延びる為に周囲と折り合うことを選んだ先人達の苦労が、
『上手くいってるのなら無理に冒険して新しいことに挑戦しない』
っていう気質を醸成したのかもしれないね。
今の日本の役人が、前例主義で変化を嫌うのも、敗戦後に、人類史上でも稀有な復興と発展を遂げたという<事実>があるから、その成功体験をわざわざ外すようなことはしたくないという気持ちはあるのかもしれないと思った。
だって、高度成長期の日本って、割といろんなことに挑戦してきたみたいだしさ。企業とかも。
外国の技術もどんどん取り込んで吸収して改良して、最初は外国製品の真似だったものが元の製品よりも高性能かつ信頼性の高いものにしちゃったりして、それが日本製品の信頼へと繋がっていったみたいだし。
食べ物とかでもそうだよね。外国の美味しい料理やスイーツをどんどん取り入れて魔改造しちゃって、下手したら本家よりも美味しくしちゃったりとか。
そんなことをやってのけたのは新しいことにどんどん挑戦していったからだと思うんだけど、それで成功しちゃうとつい守りに入りたくなるのも分からなくもないんだ。
排泄物を回収して一括で処分するという今の仕組みが上手くいってる以上、それを変えてしまうのが不安だというのも分かる。
だから、その不安を上回るような<実績>が必要だと思うんだよね。
冬真っただ中で大規模な耕作はできないけど、だからこそ今のうちに土壌の改良を進めたい。その為の指導なんだ。
今のうちにそれをしておけば、春に作付けを行ったらすぐに結果が出る。
次の春以降が勝負だ。
役人があれこれ言ってきたところで、それぞれ自主的に堆肥を用意する農家も出始めた。
実は、役人達も堆肥を使うこと自体に反対しているのは少数派だった。なにしろ現に結果が出ている以上、認めざるを得ないという流れはできつつある。
それなのに何をごねているのかと言えば、ひとえに、
『排泄物の処分場そのものを堆肥工場に転換したとして万が一失敗した場合に、誰が責任を取るのか?』
ということに外ならないみたいだね。
いや~、何という見事な役人気質。
どうにもこうにも、昔、エマ達の祖先の裏切り(と言われてるもの)によって戦う力を失い孤立し、それでも何とか生き延びる為に周囲と折り合うことを選んだ先人達の苦労が、
『上手くいってるのなら無理に冒険して新しいことに挑戦しない』
っていう気質を醸成したのかもしれないね。
今の日本の役人が、前例主義で変化を嫌うのも、敗戦後に、人類史上でも稀有な復興と発展を遂げたという<事実>があるから、その成功体験をわざわざ外すようなことはしたくないという気持ちはあるのかもしれないと思った。
だって、高度成長期の日本って、割といろんなことに挑戦してきたみたいだしさ。企業とかも。
外国の技術もどんどん取り込んで吸収して改良して、最初は外国製品の真似だったものが元の製品よりも高性能かつ信頼性の高いものにしちゃったりして、それが日本製品の信頼へと繋がっていったみたいだし。
食べ物とかでもそうだよね。外国の美味しい料理やスイーツをどんどん取り入れて魔改造しちゃって、下手したら本家よりも美味しくしちゃったりとか。
そんなことをやってのけたのは新しいことにどんどん挑戦していったからだと思うんだけど、それで成功しちゃうとつい守りに入りたくなるのも分からなくもないんだ。
排泄物を回収して一括で処分するという今の仕組みが上手くいってる以上、それを変えてしまうのが不安だというのも分かる。
だから、その不安を上回るような<実績>が必要だと思うんだよね。
冬真っただ中で大規模な耕作はできないけど、だからこそ今のうちに土壌の改良を進めたい。その為の指導なんだ。
今のうちにそれをしておけば、春に作付けを行ったらすぐに結果が出る。
次の春以降が勝負だ。
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