何でリアルな中世ヨーロッパを舞台にしないかですって? そんなのトイレ事情に決まってるでしょーが!!

京衛武百十

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表向きの態度だけで信頼できると判断して結果的にロクでもないことに

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な~んてことを考えつつ用意を済ませて、私は仕事へと向かった。

今日は、アルカセリスは詰所の方での仕事は休みだから、ついてきてもらう。

正直、家にエマと二人で残しておくのは不安だし、万が一のことがあってアルカセリスのことを責めない訳にはいかなくなるのも嫌だ。

私は、<事件>ってのは起こってから対処しても遅いと思ってる。起こってからじゃ、それはなかったことにはならないんだ。起こさないようにするのが鉄則だと思うんだよ。

アルカセリスのことを完全に信じられるようになるにはまだ実績が足りない。彼女の外面は真面目な働き者だって分かっても、本質の部分まではまだ見えてきてない。

外面なんていくらでも取り繕うことができてしまう。それはその人を信頼できるかどうかを測る物差しにはならない。

表向きの態度だけで信頼できると判断して結果的にロクでもないことになるなんていう事例は、私がまだ日本にいた頃にだって何度もあった。仕事ぶりは真面目でも、プライベートじゃストーカーだったり痴漢だったり、職場で横領とかセクハラとかやらかしてるなんて話はいくつもあった。

私の通ってた大学の職員とか教授とか、知り合いが経営してた会社とかでね。

当時まだ未成年だった私を酔わせてお持ち帰りしようとした奴だって、表向きには<面倒見のいい先輩>で通ってたし。

アイドルへの脅迫容疑で逮捕された学生もいるし、女性への性的暴行で逮捕された学生だっているし、オークション詐欺で逮捕された学生もいる。

そんな人達も、表向きは真面目そうにも見えたらしいし。

逮捕されたりまではいかなくても、表面は人畜無害を装いながらネチネチと他人に嫌がらせをしたり、ネットに気に入らない相手への誹謗中傷をアップしまくったりなんてのはそれこそ日常茶飯事だ。

だから私は人間なんて基本的には信用してないの。

ただ、例外的に、

『この人だったら信頼していいかな』

っていうのがたまにあるだけ。

翻って、自分が他人から信頼されてないことがあっても、

『まあ当然だよね』

と思うだけだ。

自分が他人を信頼してないのに自分のことは信頼されるべきなんて考えないようにしてる。

そんな身勝手な理屈が通るとは思ってない。思ってないから、信頼されてなくても腹を立てたりしない。少しでも信頼してもらえるように努力する。

それが、私が、

『例外的に信頼してもいいかな』

と思える人の条件。

信じてもらう為の努力もロクにしてない人をホイホイ信じちゃうような人は、自分のことも安易に信じてもらいたいのかもしれないけど、そんな人はそれこそ大事な役目には就いてほしくないんだ。

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