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なんて話じゃないのが一つや二つあったっていいんじゃないかな

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普通に考えたら貸し切りの公衆浴場でのあの一時で決まりってのが一般的な展開なんだろうと思うよ。

でもさ、人間ってそんな簡単な生き物じゃないよね。自分がこうやって生身の人間として現実の中で生きてるとさ。物語の中で出てくるような<分かりやすい展開>とか、<一度決まった流れは覆らない>なんてことの方がむしろ少ないなって実感しかないよね。

あんなに上手くはいかないんだ。

当然か。<物語>っていうのは、読んでて気持ち良くなれるようにそんな風に<構成>されてるんだからさ。

だけど時々、そういう風に都合のいい<物語>を真に受けちゃって、現実の自分との違いに絶望しちゃう人もいるみたいだね。

私はそういうの、すごく損だなって思う。現実は元々そういうものなのに、変に都合よく解釈しちゃって、でも当然ながらその通りには行かなくて、それで嫌な気分になるってさ、やっぱり損だよ。もったいないよ。

上手くいかないのが<人生>なんだ。そして、結果として上手くいった部分を切り貼りして再構成したものが<物語>なんだ。

ハッピーエンドで終わった物語のその後がどうなるかなんて誰にも分からない。苦しんで苦しんで最後に大逆転で良かった良かったざまーみろ、で終わった物語が本当にそのままで行けるのかなんて誰にも分からない。

逆に、バッドエンドで終わったように見えた物語が、その、誰かにとってのバッドエンドがあったことで救われることになったり、命を落とさずにすんだり、不幸な事件が起こらずに済んだってこともあるかもしれない。

私がこれまで語ってきたことも、実は一部をかいつまんで説明してるだけっていうのはある。調子よくいってるように見えて実際にはすご~く嫌な思いをしたことだってあった。その中で特に思い出したくもないようなものについては敢えてスルーしてきた。

もっとも、そういうのの大半が、<個人的に嫌な人>にまつわることで、話の大筋には関係なかったりするから、詳しく語ると<ただの愚痴>とか<陰口>とか<一方的な悪者扱い>ってことにもなりかねないからさ。

私、そういうの好きじゃないんだ。

という訳で、たぶん今後も、私の視点からでは、

『こいつ死んだ方がよくね?』

的な印象を持たれそうな人のことについては敢えてスルーするか、必要があって触れるとしてもサラッと流す感じにしていくことにする。その所為で<物語>として見た時にはメリハリが少なくなって盛り上がりに欠けてもそれは別に構わない。

私を引き立てる為に誰かを悪者扱いするっていうの、嫌いだから。

<物語>なんて本当に無数にあるんだからさ。嫌な奴が出てきて、そいつに報いを受けさせてスカッとする、なんて話じゃないのが一つや二つあったっていいんじゃないかな。

『決まり切った形に収まってないと許せない』とみんなが言う。

そういうのを<同調圧力>って言うんじゃないの?

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