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奴らの先祖が何をしたか、詳しくお話ししたいと思います……

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「奴隷がご迷惑をおかけしてませんか?」

朝、詰所に顔を出すと、ブルイファリドが神妙な顔つきでそんなことを訊いてきた。どういう表情をしていいのか分からない感じかな。

「別に。何も問題ないよ。それどころか思ったより使い物になりそうでホッとしてる」

敢えて尊大な言い方で応えた。そうした方が彼も安心するのが分かってるから。

本当はこんな面倒なことをせずに済めばそれに越したことはないんだけど、少なくとも今は仕方ないかな。

今日はティンクフルムの実家を通じて知り合った農家のところに出向いて堆肥化の魔法の講習と諸々の説明をすることになってる。

その為の資料の準備をしてる私に、ブルイファリドがまた話しかけてきた。

「…カリンさんにも、奴らの先祖が何をしたか、詳しくお話ししたいと思います……」

だって。

真剣な表情だったから蔑ろにしようとは思わないけど、正直、面倒臭いなとは思わなくもなかった。

だけど、ブルイファリドが話してくれた内容は、既に私が聞いてた内容と大差なく、目新しい情報はなかったと思う。でも、そういう風にせずにいられないくらい、彼らにとっては恨みが深いんだろうな。

何しろ、奴隷達の祖先の<裏切り>によって、彼らの祖先であった傭兵団は壊滅することになったんだから。

この国に来た彼らの祖先は、<東の果ての島国>をルーツに持つ傭兵団でも最大クラスの集団で、戦士三千人とそれを支える家族達七千人の大部隊だったそうだ。

そんな祖先達は奴隷達の祖先を守る為に周辺の国々と戦いつつ、今のガルフフラブラ王国へと連なる国の基礎を作り上げていったらしい。町も道路も、傭兵団とその家族達の技術によって作られたんだ。

だけどその時点では、<仕事>さえ終えたら次の場所へと移動することになってたって。

ブルイファリド達の祖先はそうやっていくつもの国を作り、その度に仲間の一部が作られた国に残って定着していったってことみたいだな、

でも、ここガルフフラブラ王国の基になった国は周辺の国々から攻められてて、その対応が難しくて、<仕事>が長引いてたとのことだった。

そこに更に<北の蛮族>と呼ばれる人達が攻め入ってきて激しい戦いになり、それでも武芸に秀でた傭兵達はそれらとも互角以上に戦ってたんだって。

なのに、奴隷の祖先達が裏切ったことでパワーバランスが崩れ、戦線が次々と崩壊し、三千人いた戦士達も多くが戦死し、全滅の危機に晒されたって。

この時、戦士の殆どが失われたことで、それを伝える人がいなくなり、ブルイファリド達には戦士としての技は伝わってないそうなんだ。

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