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人間関係ってそんな風に都合よくキリの良いところで終わりってなって

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思ったより時間を割いちゃったけど、突然のルイスベントの来訪によるあれこれはこれにて<完>だ。



―――――と言いたいところだけど、人間関係ってそんな風に都合よくキリの良いところで終わりってなってくれないんだよね。

正直、仕事の方がよっぽど楽だ。

『自分はこんなに仕事で頑張ってるんだから家のことなんかやってる暇がない!』

なんてことを声高に叫ぶ人がいるけど、それって結局、

『自分は仕事してる方が気が楽でありがたいタイプ』

ってことを言ってるだけに過ぎないと思うんだよね。家の中でのことが煩わしいから仕事に逃げてるだけなんだよ。

私がまさにそのタイプ。たとえ子供ができても、可能であれば、頼める相手がいれば、子育てとか丸投げしたいと思ってる。

彼と最後まで行っちゃったことで子供ができても仕方ないとは覚悟も決めたけど、それは人を雇ったりとかできちんと対応する覚悟を決めたっていうだけのことで、私一人で何もかも面倒を見るっていう意味じゃない。

親としては無責任かもしれないけど、自信がないんだよね。私の両親や兄がしてきたことを思うと。あの人達を間近で見てきて、あの人達の『子供との接し方』しか知らなくて、それを反面教師にしようとは思ってても、つい無意識に同じことをしちゃうんじゃないかっていう不安も実はあるんだ。

だから私のできる<親としての責任の取り方>って、

『私よりうまく子育てできる人を見付けて力を借りる』

って感じかな。

まともに子供を育てる才覚のない親の下に生まれて、そんな親を子供として見てきて、自分に能力がない事実を見て見ぬふりしていい加減なことをしてきた実例に触れたからこその結論だよ。

子供が生まれなきゃ人間なんて百年もしないうちに滅びる。だから子供を作る必要はあるんだろう。

だけど、子供を育てる適性があるかどうかなんて、やってみなくちゃ分からない。

私自身、自信はないけどやってみたら上手くいったりするかもしれない。でも、確証はない。だったら、あらかじめ<次善の策>を用意しておくっていうのも、親としての責任の取り方の一つじゃないかな。

できもしないのに立派な親のふりをして無理をして子供を苦しめるなんて、大人のすることじゃないと私は思ってる。

でも、私自身が立派な親になれる自信もないのに彼と結婚しようだなんて考えてるダメ人間なんだから、本当は他人に偉そうに言える立場じゃないんだよね。

もしかしたらアルカセリスの方が、<お母さんとしての適性>が高かったりするかもしれないし、さ。

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