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彼に抱き締められたまま、ずんどこ凹みまくってた

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で、今まで無視して無視して無視して気にしないようにしてきた、抑えに抑えてきた気持ちが爆発しちゃった暴風のような一時ひとときが過ぎて落ち着いた私は、

『やっちまった~……!』

と一人、休憩用のスペースにしつらえられたベッドの中で彼に抱き締められたまま、ずんどこ凹みまくってた。しかも、『自分の気持ちに正直になった』が故に彼のすべてを、そう、文字通り<彼のすべて>を自分の体で受け入れてしまったことで、

『どうしよう……』

なんてことも考えてしまってた。

そりゃまあね。この世界じゃ既に<いき遅れのBBA>同然の私だけど、これでも日本じゃまだ、<健康な若い女性>の範疇には入るのよ。

となると当然、可能性はある訳で……

『でもまあ、いいか……どうせいずれはそうなってたかもしれないし……』

と、半ば諦めのような形で今後に起こりえるであろう展開について、算段を始めてたのだった。

すると彼は、そんな私を見透かしたかのように、

「もちろん、責任は取ります。いいえ、むしろ取らせてほしい……」

とかなんとか、甘~い声で囁くように言ってきやがった。

だけど私は逆にそれにムッと来て、高くてきれいな形をした彼の鼻にガブッと歯を立ててやった。

でも―――――

「痛たたたたっ!」

って悲鳴を上げる彼がなんだか急に可愛く見えて、

「ごめん……」

って……

そんな私にも彼はやっぱり優しかった。

「あなたの複雑な気持ちも私は理解したいと思います。あなたのすべてを、支えさせてください……」

だって。

ぐは~っ! そんなセリフを躊躇わずにすんなりと吐けるとか、天井突き抜けたハイスペックな男だよ、あんたは……!

なんであんたみたいのが、私なんかを好きになってくれたのよ……

「私なんかでいいの……?」

問い掛ける私に、間髪入れずに、

「あなたが、いいんです……」

などと返してきやがる。

ああもう……っ!

胸がキュンキュンしちゃうわバカヤローっ…!

なんて思いながら、勝手に涙が溢れてた。しかも、

「一生大事にしてくれないと、呪うぞ……」

とか口に出ちゃった。さすがにこんな風に言うつもりなかったのに。それでも彼は、

「呪われるのは困りますね。でも、その心配は無用です。あなたを大事にできない私には何の値打ちもありませんから……」

って返してくる。

「……それは、私のセリフだよ……」

そうだ。

私は、<貴族の妻>なんかになれない私のせいで彼が困るのが嫌だったから身を引いたっていうのもあるんだ。

彼のことが大事だから…大切だから……

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