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どこがおかしいか気付かない人がいるっていうのが私は怖い

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私の両親と兄は、本当に身勝手で刹那的で享楽的で近視眼的で横暴で野卑で、他人が不愉快と感じることを敢えて選んで行うのが得意な人達だった。

しかもそれを当然だと思ってるんだ。

古い国産車を改造し、窓には真っ黒なスモークフィルムを張り、世間からは<DQN>と呼ばれてたよ。

私は別に、DQNと呼ばれる人達を見下したい訳じゃない。ただ、自分の両親や兄の振る舞いが許せないだけなんだ。

気に入らないことがあれば、相手が例え保育園に通う幼児であっても殴り、蹴り、罵倒して威圧して自分の方が立場が上だ、偉いんだ、だから自分に従えとやってくるような人達だった。

その所為で、何回か、危うく死にかけたことがある。保育園に通ってた頃だから普通なら覚えてないようなことの筈なのに、さすがに何が原因だったのかは覚えてないけど、父親が鬼のような顔をして私を思い切り平手打ちして、体が吹っ飛んで、テーブルの天板の縁に思い切り頭をぶつけて頭蓋骨骨折、脳内出血の重傷を負ったことがあったんだ。

で、私は病院に搬送され、警察まで来る騒ぎになったのに、父親は、

「言うことを聞かないから躾として少しはたいただけだ。ただの事故だ!」

と言い張り、しかも当時はまだ虐待についてまだそんなに厳しくなかったからか、警察もそれで引き下がってしまったんだ。

もちろん、頭を打って以降のことは後から聞いた話だけどね。

こんな話でも、世間には、

『どうせガキの方が親の言うことを聞かなかったんだろ。ガキが悪い』

なんて言う人がいるんだ。だけどこの話のどこがおかしいか気付かない人がいるっていうのが私は怖い。

だってそうでしょ?

三十過ぎの大人の男vs保育園児の女の子。

だよ? 何をどう頑張ったって女の子が勝てる筈がないじゃない。武器でも使って寝てるところを襲いでもしたらワンチャンあるかもだけど、そうじゃない、お互いに向かい合ってでだよ? その状態で女の子の体が吹っ飛ぶくらいに張り飛ばす必要がどこにあるっていうの? そうしなきゃ自分が死ぬかも知れない状況だったの?

この世界に来て、

『相手を殺さなきゃ自分が死ぬ』

っていうリアルな状況も目の当たりにしたからこそ、絶対に自分が負ける筈のない相手に手を上げるなんてことがどれほど卑怯なことか、よ~く分かったわよ。

確かに、相手が自分と同等以上の力を持ってて明らかに攻撃の意思を持って敵対してきたのなら、その現実に即した対応が必要だっていうのも分かる。

でも、それで言うなら、<保育園児の女の子>を張り飛ばさなきゃいけない理由なんて、微塵もないと思うんだけど?

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