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逆に現実に自分が潰されることになるだけだ

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同性愛を認めるかどうかとか、本編とはまったく関係ない話をしてたようにも思えるかもしれないけど、実は『まったく無関係』という訳でもないと私は思ってる。

というのも、異世界とまでは言わなくても、自分にとって全く寄る辺ない環境とかに放り出された時に必要な<スキル>って、結局、

『目の前の現実を受け止めることができる』

ってことだと実感したよ。自分にとって都合が良いとか悪いとか関係なく、『そういうものだ』と受け止めて、その上で『どうすればいいのか』っていうのを冷静に考えることが必要だってね。

例えば自分にとって危険な敵がいるとしても、そうだな、私の場合には作物の病気とかも含め、それをただ『認められない!』と喚き散らして目を逸らしてても有効な対策は取れないけど、『そこに現に存在してる』ということを認めた上で、具体的な対処法を客観的に探ることで解決してきたんだ。

私が、実質的にはファルトバウゼン王国を追放される形でここガルフフラブラ王国に来たことだって、それを『認められない!』とごねたところで、この世界にそもそも基盤を持たない私を本気で庇ってくれる人は、いたとしても大勢を相手に覆せるほどのものじゃなかった。

ううん。むしろ私が敢えてごねなかったからこそ穏便に済ませることができたとも言える。

個人の主観や価値観やプライドや願望なんて、<現実>の前には紙でできた鎧みたいなものだよ。大切なのは<現実に即した対応>なんだ。

その上で、自分の手持ちのリソースで何ができるのかを考える。そこで無駄に喧嘩を売っても変えられないものは変えられない。現実にそこに存在するものは消えてなくなってくれない。むしろ喧嘩を売ったことでかえってリスクが増えるだけということが多い。

なるほど圧倒的に強大な存在を相手に『自分は負けない!』と言ってみせるのは確かにかっこよく見えるかもしれない。だけど、それが通用するのはフィクションの中だけってことが殆どなんだって、知った方がいいと思うよ。

まあ、そう言う私だって、

『負けるものか!』

っていう気概でここまでやってきたのは事実だよ。でもそれは、あくまで、

『挫けそうになる自分に負けない』

為であって、現実の方を私に都合よく改変するのが目的じゃないんだ。土に堆肥を混ぜて土壌を改良するのだって、土そのものを現実にはあり得ない、人間にとってただただ都合の良いものに変えてしまう訳じゃない。自然でもそうなる可能性のある中で最も『人間にとっても自然にとっても折り合いのつけられる点』を探るのが目的なんだ。

何でもかんでも自分の思い通りになると思っちゃいけない。自分が気に入らないからって何かの存在を無かったことにしようとしても、逆に現実に自分が潰されることになるだけだ。

それが、どちらの立場でもね。

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