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事情も知らず申し訳ないこと思ってしまいました

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農家の人達に納得してもらうのはそんなに難しくない。要するにやってみせればいいだけだから。これまで数えきれないくらい繰り返してきたことだから、その中では多少の失敗もして、その度に対処してきたことだから。

するとブルイファリドもティンクフルムもカマルクリスも、

「さすがファルトバウゼン国王陛下のお墨付きってのには偽りはなかった…!」

って認めてくれたんだ。その時、ブルイファリドが言った。

「正直言って、スクスミさんが持ってた米を見た時、『ホントに大丈夫かな』って思ったんです。粒は不揃いだし白すぎるし。でも、杞憂でしたね」

だって。

彼が見たのは、私がバンクハンマから餞別としてもらった、彼が作ってくれた米だった。だけど、何百年もずっと米を作ってきた、ううん、元々の彼らのルーツから考えたらもっと昔から米を作ってその品質を磨いてきた彼らからしたら心配になるくらいの出来だったんだ。だけどそれは当然だと思う。まったく未知のところから始めて数年だったんだもん。比べる方が申し訳ないレベルだよ。

でも、私が自分で炊いて食べる為に持ってきた米を研いでたところを見たブルイファリドの表情が微妙になったのは気付いてて、

『あ、こりゃ、不審がられてるな』

とは私も思ったんだよね。だけどあれこれ言い訳するよりは見てもらった方が確実だと考えて私も何も言わなかったんだ。

だから今こそ弁明する。

「あれは、ファルトバウゼン王国で試験的に作り始めた米でしたからね。それでも、毎年、良くなってきてたんですよ」

「そうだったんですか。事情も知らず申し訳ないこと思ってしまいました」

「いいですいいです。知らなければ当然ですよ。まさに今、この国で作られてる新しい作物と同じなんです。試行錯誤の真っ最中で。あちらも土がまだまだ米作りに適してるとは言い難いですからね。これから何十年と掛けて土を作り上げていくところだったんです」

「なるほど。己の不明を恥じ入ります」

申し訳なさそうに体を小さくして頭を下げるブルイファリドを、ティンクフルムもカマルクリスも驚いたような目で見てた。彼らにとっては頼りがいのある、でもちょっと怖い上司だったみたいだね。髭面も、見た目の威厳を演出する為に生やしてるらしい。

「いえいえ。未熟なのはお互い様ですよ。私だって関係各所の担当者達を上手く説得できないですし。以前、私のところにいたスタッフにその辺りを丸投げしてた報いがここで返ってきたって痛感してるんです」

苦笑いを浮かべながらメロエリータのことを思い出してると、ブルイファリドが言ったんだ。

「その役目、ぜひ私にお任せください。力不足かもしれませんが、努力はさせていただきます。

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