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正直、嬉しかったんだ。ティンクラウラにそう言ってもらえたのが

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慎ましい夕食をしっかりと味わっていただいた後、ティンクラウラが、

「ねえ! 一緒にお風呂入らない?」

って私の手を取った。

それに彼女の両親は慌てて、

「これ! 失礼はやめなさい!」

と声を上げたけど、私はそれを制して、

「いえ、構いません。前の仲間ともよく一緒に入ってましたから」

そう、メロエリータとよく一緒に入ったことを思い出しながら応えさせてもらった。

それに、正直、嬉しかったんだ。ティンクラウラにそう言ってもらえたのが。それだけ私に気を許してくれてるんだって感じて。

「やったあ♡」

あどけない、子供らしい笑顔でティンクラウラが跳ねるように喜んでくれた。それがまた嬉しくて、私は頬が緩んでしまう。

『私にも子供がいたらこんな感じなのかな』

実際、ここでは、今の私の年齢なら彼女くらいの子供がいても何も不思議じゃなかった。成人として認められるのは十八でも、十五~六で結婚して子供を産む女性も珍しくないし。

だけど、一緒にお風呂に入って彼女の体を見てみると、メロエリータとはかなり違ってるのを感じてしまった。

メロエリータはさすがに貴族の子女だけあって肌も綺麗で、目立った傷とかもなかったけど、ティンクフルムのそれは、浅黒く、腕や脚にはたぶん畑仕事をしてる時についたであろう無数の傷があった。しかも、その手は皮膚が荒れて分厚くなって、明らかに<子供らしい手>って感じじゃなくなってた。

確かに、美しくはないのかもしれない。でも、真面目な働き者の手だと思う。両親を支えてもっと幼い頃から頑張ってきたんだ。

だから私は、

「こっちにおいで。洗ってあげる」

って。

でもティンクラウラは、

「え? そんな、偉い人にそこまでさせたら本気で怒られちゃう」

と遠慮したけど、

「いいのいいの。子供が遠慮なんかしない。他の人には無理でも、私には甘えてくれていいんだよ」

なんて言いながら抱き寄せた。

「ホントにいいの…?」

上目がちで問い掛けてくるその様子がまた可愛くて、胸がキュンってなってしまう。

「もちろん。じゃなかったらこんなことしないよ」

「うれしい♡ カリン、大好き♡」

子供って意外と抜け目ないし計算高いところもあるからもしかしたらそれも彼女の演技とかだったかもしれないけど、それでもよかった。そういうところも含めて彼女のことを受け止めてあげたいと思った。

もしかしたら私には結婚のチャンスは巡ってこないかもしれないけど、こうやってこれからもティンクラウラみたいな子の力になれれば、それは子供を生み育てる代わりくらいにはなるかもしれないな。

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